宮崎駿の『風の谷のナウシカ』にも影響を与えた、
フランスの漫画『Arzach』の和訳です。
[
『Arzach』(アルザック)解説]
[
メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳1]
[1(11)]
LA DEVIATION
まわり道
OU LES MESAVENTURES QUASI-DEMENTES
D'UNE PETITE FAMILLE
AU COURS D'UN VOYAGE EN AUTO A TRAVERS LA FRANCE
EN VUE DE PASSER UN BON MOIS DE VACANCES A L'ILE DE RE(1)
あるいは、
レー島でのバカンスへ向けて車でフランスをひた走る、
とある一家が出遭った世にも奇妙な旅のいきさつ(1)
DOCUMENTAIRE ROMANCE DESSINE A LA PLUME PAR JEAN GIRAUD
SUR UNE ABSENCE DECONCERTANTE DE SCENARIO DUE AU MEME (2)
何が飛び出すか分からない、ジャン・ジローによる
実録小説風行き当たりばったりモノクロ漫画 (2)
[1(11)>欄外]
(1)
TOUTE RESSEMBLANCE ENTRE DES PERSONNES REELLES
ET CELLES QU'ON VOIT DANS CE RECIT
A ETE TRES DIFFICILE A OBTENIR...
この物語に登場する人物は、
実在の人物とは一切関係ありません。
……多分。
(2)
JE TIENS EGALEMENT A PRECISER
QUE L'HISTOIRE QUI VA SUIVRE EST REELLEMENT ARRIVEE
DANS LES DELAIS DE LIVRAISON
ET QUE C'EST UN "CHAQUN SON TRUC" (N.D.T.)
今から語られることは、
原稿執筆中のジロー氏に実際に起こったものです。
ただし、人それぞれに見方の違いはあるかも知れません。
(訳注)
*「N.D.T.」は「note du traducteur」の略で、
「訳注」という意味です。
“この欄外の注はジャン・ジローの手に拠るものではない”、
という設定になっているのだとは思いますが、
なぜそれが「訳」の注なのかが今ひとつ良く分かりません。
また、「CHAQUN SON TRUC」は「人それぞれ」という意味の
慣用句だと思うのですが、これも今ひとつ自信がありません。
あとから訂正を入れると思います。
[1(11)]
JEAN CHERI,
JE ME DEMANDE SI ON A BIEN FAIT DE LA PRENDRE...
ねえ、ジャン、
この道って……、
QUOI DONC ?
ん? 何?
LE MAINS 3KM
ル・マンまで3キロ
*道路際の看板に書いてある文字です。
*「ル・マン」(LE MANS)はフランス北西部にある都市の名前です。
「ル・マン24時間耐久レース」で有名なあのル・マンです。
● 「multimap.com」内「Country:France, Town:LE MANS, 」
(「Scale:1/10,000,000」)
パリとレー島のちょうど中間に位置します。
上記リンクの地図で赤丸の付いているところがル・マン、
その右斜め上に「PARIS」とあるオレンジ色の四角がパリ、
赤丸の左下、「Nantes」と「Bordeaux」のちょうど中間地点の沿岸に、
レー島があります。
● 同上内「Scale:1/100,000」
● グーグルマップ内ル・マン市周辺
「multimap」の地図と見比べてもらえば、
川の形から、グーグルマップで同地を特定できると思います。
グーグルマップの左下には縮尺も示されているので、
おそらく、「ル・マンまで3キロ」の地点というのは、
このグーグルマップの右上一体の地域ではないかと思われます。
漫画では三角形の山が立ち並ぶ岩地といった描き方がされていますが、
グーグルマップを見る限りではむしろ平らな緑地のようです。
● ウィキペディア日内「ル・マン」
● ウィキペディア仏内「Le Mans」
● ル・マン市公式サイト
[2(12)]
EH BIEN. MAIS...
LA DEVIATION !
あの、
まわり道って言うか……、遠回りになってない?
*「LA DEVIATION」をどう訳すかますます迷って来ました。
「まわり道」「遠回り」「寄り道」のいずれか、かな。
この台詞は「あの、……
遠回りになってない?」と
シンプルに訳しておくほうが自然だよなぁ……。
でも、「遠回り」って題名としてはそぐわない気がするし……。
LES GRANDS AXES ROUTIERS SONT DEVENUS TROP DANGEREUX MON CHOU !
LES JOURNAUX, LA RADIO, LA T.V. NE CESSENT DE LE CLAMER !
BON !
JE RECONNAIS QUE CETTE ROUTE SECONDAIRE EST PASSABLEMENT SINISTRE,
MAIS...
いやッ、大きな道ってのは逆に危ないらしいぜ。
新聞、テレビ、ラジオ、みんなそう言ってる。
ま、しかし、たしかに薄気味悪いね、ここら辺。
でもさ、
...SONGE, QU'OUTRE LE FAIT Q'ELLE AUGMENTE NOS CHANCES DE SURVIE,
ELLE NOUS DONNE L'OCCASION DE MUSARDER UN PEU DANS CETTE FRANCE
SI MAL CONNUE DES PARISIENS QUE NOUS SOMMES,
(AUTANT L'AVOUER)
回り道ってのも悪かないぜ。
人生とおんなじさ。
俺たちみたいなパリの人間ってのはあくせくし過ぎる。
もっとゆったり過ごせば、寿命も延びるってもんだろ?
(まずったな、迷ってるって白状しちゃうか?)
EFFECTIVEMENT !
MAIS GAGNONS-NOUS AU CHANGE ?
MOURIR DANS UN ACCIDENT DE LA ROUTE
EST PRESQUE RASSURANT DE BANALITE !
ALORS QUE MAINTENANT... (1)
そうね……。
でも、こんなところで事故に遭って死んじゃったら、
寿命が延びるどころの話じゃないんじゃない?
それより今は……
(1)
LES POINTS DE SUSPENSION DONNENT A LA PHRASE
UN CONTENU SINISTRE QUI TROUVE SA JUSTIFICATION DANS CE QUI SUIT
その時、彼らは何か違和感を感じて口をつぐんだ。
その原因は……
OH MAIS....
QUE SE PASSE-T-IL ?
おいッ、あれ……、何だ?!
QUI EST CE TYPE?
なんだこいつ!
UN... UN GRAND DE SURFACE !
うわっ、きょ、巨人?!
《付記》
うーん、登場人物のキャラがつかめてないから
訳文がぎこちない……。
それに、原文そのものも難しいっす。