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by moebius-labyrinth
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記者会見記事抄訳の下訳1:「宮崎駿―メビウス」展
対談動画の和訳のついで、と言っては何ですが、
対談動画その2で触れられている記者会見の様子が
記事となってウェブ上にアップされていて、
メビウスと鈴木プロデューサーの発言がそのまま引かれているので、
該当部分を和訳しておきたいと思います。
ちょっと長いので、何回かに分かれてしまうと思います。

● 「ANIMELAND.COM」内「-Miyazaki Moebius : coup d'envoi-」

*直接話法(発言がそのまま引かれている部分)は、
元の記事ではイタリック体で表記されていますが、
読みやすさを考慮して、通常の字体で表記します。


Le premier contact entre les deux hommes remonte aux annees 80,
se souvient MOEBIUS :
《je viais alors a Los Angeles.
Mon fils, qui avait environ 10 ans,
frequentait l'ecole franco americaine.
Il y a rencontre une bande de fanatiques du manga,
qui se passaient des cassettes piratees venant du Japon.
J'avais notamment remarque une cassette sans titre,
qui s'est averee n'etre autre que... Nausicaa !
J'etais impressionne, conquis par le genie de MIYAZAKI ;
mais je pensais alors qu'il resterait un auteur esoterique et meconnu.
Puis son talent s'est inscrit dans la duree,
et j'ai suivi son travail (Laputa, Kiki, Totoro...).
J'etais ebloui :
chaque film supplantait l'autre en qualite,
tout en restant fidele aux memes themes.》
MOEBIUS devient ainsi fan de l'oeuvre de MIYAZAKI,
au point d'avoir appele sa premiere fille... Nausicaa!
《Nous avons eu un bon feeling,
car elle ressemble vraiment a une heroine de MIYAZAKI !》


二人の初めての出会いは、80年代にさかのぼる。
メビウスは当時のことを思い出しながら、こう語ってくれた。
「私は当時ロサンジェルスに住んでいました。
私の息子が、10歳くらいの頃だったでしょうか、
現地のフランス人学校に通っていたんです。
そこで、日本の漫画が大好きなグループと友達になったらしくて、
日本のアニメの海賊版のビデオテープをよく貸し借りしているようでした。
で、その中の、タイトルも書いていないような一本のビデオテープに、
私が心奪われてしまったんです。
それが他でもない、『風の谷のナウシカ』だったというわけなんですよ。
私はすっかりまいってしまいました。
宮崎さんの才能に魅了されてしまったんです。
しかし、彼はまだマニアの占有物というか、
才能の認められていない埋もれた作家、という感じでもありました。
それから、私はすっかり彼の才能のとりこになってしまって、
次々と彼の作品を観て行くようになりました。
例えば、『天空の城ラピュタ』だとか、『魔女の宅急便』
『となりのトトロ』と言った感じでしょうか。
もう本当に心を奪われてしまいましたね。
どれもが本当に素晴らしくて、どれか一本なんてとても決められない。
それぞれがそれぞれのテーマに沿って、
本当に誠実につくられているんです。」
こういう風にして、メビウスは宮崎作品のファンになった。
それが高じて、自分の長女に「ナウシカ」と名付けてしまったほどだ。
「僕たちは顔を合わせるたびに嬉しくなっちゃうんだ。
なぜって、彼女は宮崎作品のとあるヒロインに、
とっても似ているんだから。」


《補記》
メビウスが自分の「premiere fille」(長女)にナウシカと名付けた、
とありますが、
確かにメビウスの娘の名前はナウシカと言いますが、
彼女が「長女」であるかどうかには疑問が残ります。
ナウシカちゃんについては以下の記事を参照してください。
風の谷のメビウスの娘はネコバスでおおはしゃぎ
メビウスの娘ナウシカちゃんの写真発見

メビウスには、少なくとももう一人へレン(Helene, Helene Giraud)
という名前の娘がいるようです。
くわしくは以下の記事を参照してください。
メビウスと寿司と二人の娘

も、もしかして、とは思いますが、
ヘレンさんがメビウスの若奥様、ってことは無いですよねぇ……。
推定54歳で子供をもうけちゃうようなお方だから、
あながち否定できないのが恐ろしい。

「premiere fille」というのは、
直訳すると「最初の娘」というような意味になります。
もしかしたら「もっとも最近に出来た娘」というような意味にも
なるのかもしれませんが、
手元の仏和辞典の「premiere」の項には
「最初の、第1の、1版目の、始めのほうの、最初の」
といった語釈が記載されているだけで、
該当しそうな語釈はありませんでした。
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by moebius-labyrinth | 2004-12-31 22:45
メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳1
[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]

《おねがい》
ご訪問いただきありがとうございます。
記事本文を読んでいただくまえに、みなさんにお願いしたいことがあります。
今回僕が用意したメビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと和訳は、
著作権や翻訳権等、正当な諸権利への配慮を欠いた上に
成り立っているものと思います。
そのため、僕が偉そうなことを言えた立場ではないのですが、
以下のことをお願いさせて頂きたく思います。
まず、商用での転載はぜったいに止めてください。
また、非商用での転載も、
僕自身がこんなことを言えた身の程ではないんですが、
出来れば、止めていただければ幸いです。
引用やリンクやトラックバックまで禁止にしてしまうというのは、
さすがに無理がありすぎると思いますので、
僕の方から禁止をお願いすることはしません。
引用、リンク、トラックバックしていただいて結構です。
ただ、やはり難しい問題だということは忘れないで下さい。
また、対談のなかで
宮崎駿監督の『ハウルの動く城』が話題になっている箇所があります。
ネタバレに該当するような箇所もあるかと思いますので、ご注意ください。


 「メビウス・ラビリンス」管理人 




パリで開かれている「宮崎駿―メビウス」展に際して行われた
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと全和訳です。
動画の詳細は以下の記事を参照してください。
メビウス&宮崎駿の対談動画6種

メビウスの発言は動画の字幕をそのまま写してあります。
宮崎駿の発言は、読みやすさを考慮して、
かならずしも厳密には文字おこしはしていません。
表記の形式は以下のようになります。
フランス語(メビウスの発言)

メビウス:
日本語(メビウスの発言の和訳)

宮崎:
日本語(宮崎駿の発言)

「*」(アステリスク)から始まる文書は訳注です。

青色の部分はDVD収録版でカットされている箇所です。
『ハウルの動く城』DVDレポート(メビウス関連のみ)


この記事には抜粋動画その1~3が収められています。


[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
◆ 抜粋動画その1

Au niveau du travail,
c'est vrai que d'abord, on est
a peu pres de la meme generation,
et on a commence a travailler
dans un contexte qui etait commun,
et ca, deja, c'est une forme...
de similitude.
Ensuite, il y a eu des sensations.
Mais je ne sais pas comment
M.Miyazaki a percu mon travail.
Pour moi, c'est tres mysterieux.
J'aimerais savoir comment
il a rencontre mes dessins.
Par quels canaux il les a connus.
Si ce sont des canaux professionnels...


メビウス:
 *もしかしたらメビウスのこの発言のまえに、
 宮崎駿が、漫画の『ナウシカ』を描き始めたばかりのころ、
 メビウスの真似だと非難されていたことを
 話しているのかもしれません。
 『ナウシカ』の絵柄は、
 メビウスの影響を顕著に受けているとよく言われます。
作品を描き始めたばかりの頃というのは、
やはりどうしても、同じ世代の人間の影響を受けてしまうものですよ。
みんな、互いに似たような環境のなかで
制作を始めるものでしょう?
何と言うか、摸倣することから全てが始まるんですよ。
その次に初めて、
独自のフィーリングみたいなものを表現できるようになるんだ。
でも、私のばあいは、
宮崎さんが私の作品を見て感じ取ったようには行かなかった。
私のばあいは、大いなる「謎」から、すべてが始まったんです。
この日本の漫画家は、
いったいどうやって僕の作品に出会ったんだろう?
いったいどんな手段を使って知ったんだろう?
何か仕事の関係で知ったんだろうか?
そういう謎を、とにかく知りたいと思ったのです。

宮崎:
メビウスさんの『アルザック』が、
1975年だと思うんですけどね、
僕が出会ったのは1980年ごろですが、
大変な衝撃を受けました。
それは私だけじゃなくて、
日本の漫画家たちが、全体が、大変な衝撃を受けたんです。
ただ残念なことに、僕が出会った時には、
自分の絵がずいぶん固まっていて、
彼の影響を本当に上手に自分の発展のうえに役立てることは
出来なかったんですが、
でも、メビウスさんの空間感覚は、
いまだに本当に魅力を感じています。
『ナウシカ』って作品は、
明らかにメビウスの影響によってつくられたものです。
 *『アルザック』は、1975年に雑誌「メタル・ユルラン」の創刊号に
 初めて掲載されました。
 フランスの漫画に革命を起こしただけでなく、
 世界中の漫画家に影響を与えたことで有名です。
 くわしくは以下の記事を参照してください。
 [『Arzach』(アルザック)解説

C'est vrai que quand j'ai vu
Nausicaa de la vallee du vent...
Ca prouve que l'influence
importe peu, au fond.
Ce qui compte,
c'est qu'il y ait eu une communaute,
une certaine
communaute d'inspiration
qui preexistait
a la rencontre consciente
et qui fait que
au-dela des cultures,
et au-dela du temps ou de l'espace.
on peut rencotrer quelqu'un
avec qui on se sent en phase.


メビウス:
私がはじめて『風の谷のナウシカ』を見た時、
影響関係がどうのこうのなんてのは、
どうだっていいことだと思いましたよ。本当にね。
それよりも、大切なことは、
この作者とは何かを共有しているんだ、という実感だったんです。
共通のインスピレーション、とでも言うか、
とにかくその共有感覚は、
実際に出会って意識するようになる前にすでに存在していて、
文化の違いだとか、時代の違いだとか、場所が離れているだとか、
そんな差を越えてしまっているものだと感じたんです。
人は、自分とまったくおなじ感覚を持つ誰かと、
出会うことが出来るものなんだな、と。

宮崎:
あぁ、なるほどね。

Moi, ce qui m'a frappe,
ce ne sont pas nos similitudes.
C'est qu'on puisse voir
des ressemblances
alors que tant de choses
nous separent.
Parce que, ce qui m'a toujours
frappe chez M.Miyazaki,
c'est le fait d'avoir ete
presque un chef d'entreprise,
un chef d'industrie.
Le cinema d'animation,
je sais que
c'est une entreprise industrielle
qui demande beaucoup de pouvoir,
puisqu'il faut emmener
jusqu'a 100, 150 ou 200 personnes...
Et moi, ce qui m'epate,
c'est la permanence et la qualite
de son inspiration
malgre cette lourde machinerie,
sur des anness et des annees.
Je trouve ca
absolument fantastique
et c'est la chose
que j'admire enormement.
Moi qui suis tout seul,
qui suis solitaire.


メビウス:
私の猿真似、なんてとんでもない話ですよ。
むしろ、ほとんど接点なんてあるはずがないのに、
自分とおなじ感覚を共有する仲間を見つけて、
本当にびっくりしました。
それだけじゃない、宮崎さんの作品を観るたびに驚かされるのは、
あなたが一企業の社長というか、
経営者のようなものも兼任しているという事なんですよ。
ひとたびアニメ映画をつくるとなると、
ひとつの企業のようなものを組織して、
それを運営して行くために、
とても多くの力量が必要となってくるものでしょう?
100人、150人、200人、とか、
とにかく多くの人間を統率して行かなくちゃならないはずだ。
そういった仕事をこなしながら、
あなたのインスピレーションは衰えることを知らない。
何年にも渡って良質の作品を創りつづけて来ていらっしゃる。
それは本当に、並外れて凄いことですよ。
あなたの仕事ぶりには本当に感心するしかない。
私はずっと一人で、孤独にやって来たから。
 *メビウスも多くの映画にデザイナーとして参加しています。
 『トロン』『エイリアン』『時の支配者』
 『フィフス・エレメント』などが有名でしょう。

宮崎:
いや、僕は、アニメーションの現場の、
工場の、工場長だと思ってやってるんです。
経営者という発想は全然ありません。
職工の職工長、職人の親分という、
そういう風な気持でやってます。
 *じつは、メビウスの発言中の「un chef d'industrie」というのは
 「工場長」と訳されてしかるべき語だと思うのですが、
 宮崎駿のこの発言と矛盾しないように、あえて訳してありません。
 おそらく同時通訳の人が「会社の経営者」という風に
 訳してしまったのだと思います。
 ちなみに、「職人の親分」というのは
 「patron d'artisans」(アルチザンのパトロン)と訳されているようです。

C'est interessant de savoir ca
car c'est un grand mystere.
L'autorite et le pouvoir
de M.Miyazaki
s'expriment d'une facon
invisible et magique.
Ca prouve que
d'une facon magique...
l'autorite et le pouvoir
de M.Miyazaki
s'expriment d'une facon invisible.


メビウス:
それはおもしろいですね。
でもちょっと分からないな。
私は、宮崎さんの作品には、
宮崎さんの影響力というか支配力のようなものが、
目には見えない、何か不思議な感じで、
ちゃんと表現されているように思うんです。
不思議な感じではあるけれど、確実に、というか、
目には見えない形で、
宮崎さんの影響力というか支配力のようなものが、
表現されていると思うんですよ。


[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
◆ 抜粋動画その2

宮崎駿:
いや……。
 *仏訳では「Vous croyez?」
 (いえ、そんなことはないと思います)と訳されています。
 おそらく、宮崎駿のこの発言の前に、
 メビウスが宮崎駿を褒めまくっていたのではないかと思います。

Tout a l'heure, des questions
ont ete posees a M.Suzuki
pendant la conference de presse.
Il y avait une journaliste japonaise
qui disait que le film,
son dernier film
avait ete un peu critique au japon.
Et M.Suzuki a repondu
que M.Miyazaki aimait toujours
casser les systemes
sur lesquels il s'appuyait,
mais que sa preoccupation,
c'etait le public,
la satisfaction du public.
Il y a donc un melange d'aventure
et de souci du spectateur.


メビウス:
さっきも記者会見の場で、
鈴木プロデューサーが質問攻めに会っていましたよ。
日本人の記者がちょうどこの映画について訊いていたな。
「宮崎氏の最新作は、日本では、
 少々評判が良くないようですが?」と。
鈴木プロデューサーはこう答えていた。
「宮崎さんはつねに、
 固定観念を打破しようとしていますから。
 しかし、何よりも観客のことを第一に思っています。
 何よりも、映画を観れくれた人に満足してもらいたい、と
 思っているのです。
 だから、思い切って冒険したいという気持と、
 観客に分かってもらいたいという気持との間で、
 板ばさみになっているようです」と。

宮崎:
21世紀というのは、とても困難な、先が見えない時代なんです。
いままで自分達が当然だと思っていた色々な常識や考え方を、
ひとつひとつ検討し直さなければいけません。
それは、子供たちや、
エンターテイメントのお客さんたちに向う作品であっても、
今までこうだったから、あるいは、こうだから、
こういう悪役が出て来て、これをやっつければ良いんだ、
とかっていう風に、
簡単につくってはいけないという風に思っています。
一番大きな判断の基準は、
自分がこれで面白いと思うか、っていう。
面白くないからこれは止めた、って、
止めた止めた、ってやって行くうちに、
自分のスタッフもよく分からんっていう作品になってしまって、
私はとても困っているんです。

C'est vrai que son dernier film
est d'une grande complexite
dans les entrees
et les sorties des lieux,
sur l'age des personnages, etc.
Et d'une certaine facon,
ce qui est deroutant,
c'est que le temps consacre
a l'explication des choses
est legerement ampute.
Il y a plein de choses qui n'ont pas
d'explications dans le film.


メビウス:
なるほど、だからこそあなたの最新作は、
いろんな場所を行ったり来たり、
登場人物の年齢も変幻自在で、
とてもとても複雑なものになっているのですね。
で、その複雑さこそが作品全体の特徴になっているというか、
何が何だかよく分からない部分があるし、
いろいろな物事について説明しようとしているのに、
いまひとつ繋がりが悪かったりするのですね。
あの映画のなかでは、ほとんどの物事が、
ちゃんと説明されないままに終わってしまっている。

宮崎:
60歳になった少女のための、
60歳の少女のための映画だっていう風に……。
 *この発言の仏訳では、
 「私は、この映画は60歳の少女のための映画だと思っています」
 というように訳されています。

C'est genial!

メビウス:
ハッハッハッ、それはいい!
 *あんまりこういうことに訳注を挟まない方がいいとは思うのですが、
 メビウスは、『ハウルの動く城』の魅力は「une grande complexite」
 (大いなる渾沌)にこそある、と思っているようなので、
 宮崎駿が「60歳の少女」なんていう変なものの言い方で
 この映画の特徴を言い表わしたことに、笑っているのだと思います。

宮崎:
18の自分と60の自分とどこが違うんだろう、
少しも違わないんじゃないか。
90のおばあちゃんも、
私は18のときと少しも変わらないよ、
って言うのを聞いたんですよね。
つまり、若い18の少女、女性が、
呪いをかけられておばあちゃんになってしまった、
で、呪いを解けば若くなって幸せになれる、
という映画は、
私にはまったく納得できないんですよね。
つまり、呪い、呪いを解くというのはどういうことか、
っていう時に、
ただ若くなるんではない、
若いのが素晴らしいんじゃない、
じゃあ何が素晴らしいのか?
どうすれば主人公は幸せになるのか、
それを自分なりに必死に探した結果、
こういう映画になったんです。

C'est exact.

メビウス:
なるほど。

宮崎:
ハウルが何をやっているのか、
描く時間は無かったんです。
で、自分のスタッフに訊きました。
よく仕事のために帰りが遅くなってる男たちに訊きましたら、
自分の妻たちは、自分が何をしてるか何も知らないし、
関心も持とうとしていない(と答えたんです)。
じゃあ、ソフィーもハウルが何をしようとしているか、
関心を持たなくてもいいんだ、
っていう風に、そう思ってこの映画をつくったんです。
つまりハウルのことは描かなかったんです。

Au debut, le personnage
ressemble beaucoup
a des archetypes du manga japonais
pour jeunes filles.
Ces personnages avec des grands yeux
et des cheveux
qui tombent comme ca,
comme un rideau un peu mysterieux.
Pour a la fin, devenir tres enfantin.
A la fin...
il perd tous les attributs
vestimentaires heroiques,
et un peu arrogants,
et il devient
comme une jeune homme nu.


メビウス:
映画が始まったばかりの頃は、
そのハウルという登場人物は、
日本の少女漫画のステレオタイプそのもののような
描かれ方がされていますよね。
目がとても大きくて、
髪もちょっと秘密めかして、
ちょうどこんな感じに、
(と言いながらジェスチャー)
幕みたいに垂れ下がっている。
でも、話が進むとだんだん幼い感じになっていって、
映画の最後の方になると、
彼はヒロイックな衣裳を脱ぎ捨てて、
傲慢な態度も鳴りをひそめて、
はだか同然の、ただの一人の若い男になるんだ。

宮崎:
とても嬉しいです。



[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
◆ 抜粋動画その3

Mais c'est vrai
que travailler sur des films,
faire des oeuvres abouties
avec un scenario soigneusement fait,
des sequences, de la musique...
C'est vraiment
une facon de rentrer
dans le luxe absolu
du metier de dessinateur.


メビウス:
 *たぶんメビウスのこの発言のまえに、
 宮崎駿の映画の制作方法について話していたのでしょう。
 そしてそのやり方に、
 メビウスはとても感心しているのだと思います。
しかし、だからこそ、
よく練られたシナリオや、エピソード、
すばらしい音楽を使って、
良い映画を何本もつくることが出来るんじゃないですか?
そういうやり方でやってこそ、
漫画家は真の贅沢を味わえるようになるというか、
本当の仕事が出来るようになるんじゃないでしょうかね。
 *メビウスの発言中の「le luxe absolu」というのが難しくて、
 直訳すると「すごい贅沢」というような意味になります。
 たぶん隠喩として、
 何か抽象的な意味を持たせてあるのでしょう。
 思い切って意訳しておきました。
 ただ、現場では同時通訳で会話しているのでしょうから、
 通訳の人も、ここは翻訳するのが難しかったのだと思います。
 つぎの宮崎駿の発言が、微妙にピントがずれているように思います。

宮崎:
上手く行ったときは贅沢するけど、
上手く行かないこともあるから、
とても不幸にもなりますね。

Est-ce que M.Miyazaki a traverse
des periodes de doute
au niveau de son travail?


メビウス:
宮崎さんも、自分の仕事について、
迷ったりする時があるということなのですか?

宮崎:
いつもそうです。

C'est vrai? C'est fou, ca.

メビウス:
本当に? 信じられないな。

宮崎:
スタッフが、
この映画分からない、って言うと、
僕は床が無くなったような気分になります。
その度に。

Par exemple,
quand j'ai vu Princesse Mononoke,
mais surtout
Le Voyage de Chihiro,
ce qui m'a frappe,
c'est que je ne voyais pas
un producteur,
aucun producteur dans le monde
accepter le scenario.


メビウス:
たとえば、『もののけ姫』や、
とくに『千と千尋の神隠し』を観たときなんかには、
本当にびっくりしましたよ。
まさか、あんなとんでもないシナリオに
ゴーサインを出すプロデューサーが、
この世に存在していたなんてね。

宮崎:
彼は反対はしませんから、
時間に間に合うようにつくれ、と言いますけど……。

Ah, d'accord.
Mais s'il avait travaille
pour Disney,
il n'aurait jamais
reussi a faire ca,
meme pas Nausicaa.


メビウス:
なるほど。
ディズニーなんかじゃ考えられないでしょうね。
そんなプロデューサー、
とてもじゃないが受け容れられないでしょう。
とくに『ナウシカ』なんて、
つくるのは絶対に無理だったでしょうね。

 *メビウスは、ディズニーのCG映画『トロン』に
 デザイナーとして参加しています。
 また、メビウスと宮崎駿は、
 日米合作の映画『ニモ』の製作に参加していますが、
 この映画の製作にはディズニーの人間も参加していて、
 映画自体もディズニーを意識した形で製作されたようです。
 くわしくは以下の記事を参照してください。
 [『リトル・ニモの野望』解説

宮崎:
討議をして映画をつくるのは不可能です。
僕は、スタッフと討議をして映画をつくることは出来ません。
こういう風にします、と言うしか、出来ません。

Mais je trouve que cette confiance,
c'est ce qui nourrit un peu
le travail de M.Miyazaki
et qui fait que c'est unique,
au niveau du cinema.


メビウス:
そういう信頼関係があるからこそ、
宮崎さんは安心して良い作品をつくることが出来るし、
それこそが、
宮崎さんの映画が真にユニークなものであることの、
本当の理由なんじゃないかと思いますね。
 *原文の「comfiance」(信頼、信用、自信)は、
 DVD収録版では「自信」と訳されています。

宮崎:
いや、僕はまだ、『ハウルの動く城』については、
結論は出ていないと思います。
お客さんたちが、本当に、どういう気持を受け止めたのか。
じつは僕は、映画評論をぜんぜん読まない人間なもんですから、
何を言っているのか、あんまり関心が無いんですけれども、
観客がどういう気持を持ったのかは、非常に関心がありますね。
それはまだ答えが出ていません。



《注》
以下の記事に続きます。
メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳2


本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
訳文の改定にあたって、
『ハウルの動く城』特別収録版DVD収録の字幕を参照しています。
『ハウルの動く城』DVDレポート(メビウス関連のみ)

[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
[PR]
by moebius-labyrinth | 2004-12-30 08:38 | メビウスの子孫たち
メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳2
[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
パリで開かれている「宮崎駿―メビウス」展に際して行われた
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと全和訳です。
動画の詳細は以下の記事を参照してください。
メビウス&宮崎駿の対談動画6種


この記事には抜粋動画その4~5が収められています。
抜粋動画その1~3については以下の記事を参照して下さい。
メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳1

青色の部分はDVD収録版でカットされている箇所です。
『ハウルの動く城』DVDレポート(メビウス関連のみ)


[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
◆ 抜粋動画その4

Je voudrais poser, si je peux,
une petite question.
Enfin, faire une petite observation
sur quelque chose
qui m'a frappe des le debut.

C'est le fait
que M.Miyazaki se soit...
se soit inspire dans pratiquement
tous ses films fantastiques,
de l'Europe
et de mythologie
ou d'espaces europeens,
que ce soit l'Italie
a travers Porco Rosso.
ou une espece d'Alllemagne idealisee
a travers Kiki la petite sorciere
et Le Chateau,
et meme dans Nausicaa
ou ce pourrait etre la Finlande...

C'est une perception de l'Europe
qu'on sent tres lointaine,
idealisee et sympathique,
amoureuse,
un peu comme nous
quand on regarde le Japon.
Par contre,
j'ai trouve que des films comme
Totoro, Princesse Mononoke
et Le Voyage de Chihiro,
d'un seul coup representent...
une rentree chez soi
qui est tres emouvante aussi.
Et j'aime les deux.
J'adore ca.
Je trouve que ca remet
la planete a l'endroit.

メビウス:
もし良ければ、ちょっと聞きたいことがあるんです。
僕があなたの作品を昔から見続けてきて、
一体何にこんなに感動するんだろう、って考えてみたんですよ。
それはつまり、

宮崎さんの作品が、そう、あなたのファンタジー映画のほとんどすべてが、
ヨーロッパの文化や神話、
あとはヨーロッパの風土なんか
に、
インスピレーションを受けているということ。
たとえば、
『紅の豚』がイタリアにインスピレーションを受けているとか、
『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』で、
理想化された形ではあるけれども、ドイツの姿が描かれていること、
そして、『風の谷のナウシカ』が、
あれはたぶんフィンランドあたりを意識しているんじゃないかと思うんですが、

そういったヨーロッパのイメージというか、
遠く夢みるような、
理想化されていて、美化されている、
好ましいイメージが描かれていますよね。
それはたぶん、僕たちが日本の姿をイメージするときと
結構似ているんじゃないかと思います。
ところでそれとは反対に、
『となりのトトロ』や『もののけ姫』、
『千と千尋の神隠し』などになると、
こんどは一挙に、原点回帰をするようになるでしょう?
それもまた僕は大好きなんですよ。
どちらも大好きだ。
すばらしい事だと思います。
僕は、そういういったことが、
この世界を、より良い方向へ向かわせるんじゃないかと思うのです。

宮崎:
もちろん自分のなかに、
マイナスの部分や冷たい絶望的なものはたくさん持っていますが、
絶望的なことや悲観的なことはいっぱい持っていますが、
子供達が観るであろう映画に、
それを盛り込もうとはあまり思っていません。
むしろ、どういう風にすれば明るい映画がつくれるのか、
自分が明るい気持になれるのか、
それを一生懸命考えます。

C'est bien!

メビウス:
すばらしい!


[ 1 / 2 / 3 / 4 / 5 ]
◆ 抜粋動画その5

宮崎:
メビウスさんの話をしたいんですけどね。

Posez-moi des questions.

メビウス:
どうぞ、何でも訊いてください。

宮崎:
彼はどこであの絵を修行したんでしょう?
メビウスさんの絵は
どういう勉強をして身に付けていったものなんですか?

J'ai eu l'outrecuidance,
vers l'age de 12-13 ans,
de penser que j'etais
le meilleur dessinateur du monde!
Et apres, j'ai passe ma vie
a essayer de rattraper la croyance.
Par moments, j'ai l'impression
de savoir tres bien dessiner,
et parfois, j'ai l'impression
d'etre un dessinateur tres naif...
et peu savant.

メビウス:
12,3歳のころは、
自分は世界で一番すごい漫画家だ!
なんて自惚れていたもんですよ。
でも後になってから、今度は、
自信を取り戻すのにずいぶんと苦労をするようになりました。
ときには、
自分は漫画についてなんでも知っているぞ、
なんて思うときもそれはありますよ。
でもね、
自分は漫画家としてなんて世間知らずなんだろう、
って思うこともあるんです。
あまりにも物を知らなさ過ぎる、と。

宮崎:
彼は、やっぱり、「星」があたったんですよ。
流れ星が。

Oui.

メビウス:
ああ、そうさ。

宮崎:
そう思います。

Oui, c'est une etoile filante,
tout a fait.
Qui est restee!

メビウス:
そうとも、流れ星、まったくその通りだ。
その星のかけらが、まだ僕の中に残っているってわけさ。

宮崎:
だって、
本当に、僕らがどれほど、メビウスさんの絵をみて驚いたか。
ちょっと表現の仕方が分からないんですが、
世界をこういう風な眼で眺めることが出来るんだ、という驚きでした。

J'ai essaye de travailler
plus sur la perception
que sur la technique du dessin.


メビウス:
僕は、漫画を描くときには、
テクニックよりも、
どう感じるかを大切にしようと思っていますよ。

宮崎:
世界に対する考えと技術というのは、
一体のものだと僕は思います。

メビウス:
Je suis obsede
par le technique.
En meme temps,
je pense que tous les grands artistes
ont travaille sur la perception.
Qu'est-ce qui fait
que tout a coup,
on est etonne par une oeuvre ?
Que ce soit un ecrivain,
un musicien ou autre,
c'est que tout a coup, il montre
une chose qu'on a tous sous les yeux
mais que personne n'avait vue.
Ou personne ne l'avait vue
avec cette verite-la.
Parfois, ca peut etre
des petits details,
ca peut etre le bout des ongles,
la facon dont les cheveux bouclent,
la quantite d'informations
qu'on met pour montrer un oeil...
Par exemple, sur quelqu'un qui court,
c'est le moment
ou on arrete le mouvement,
le pied est
a tant de centimetres du sol.
On ne l'avait jamais fait avant.
Des petites choses comme ca...


メビウス:
確かにテクニックは大事ですよね。
でもそれと同時に、
世の偉大なアーティストたちは、
どう感じるかを大切にして、
作品をつくって来たのではないかとも思うのです。
たとえば、あるとき突然、人がなにかの作品に衝撃を受けたとして、
そこには何が働いているんだろう、って考えてみるんです。
作家にしろ、ミュージシャンにしろ、
とにかく何かを表現する人が、
あるとき突然、目には見えるんだけれども、
でもまだ誰も観たことのないようなものを表現しようとするとき、
まだ誰もそんな感じ方では見たことのないようなものを
表現しようとするとき、
そこには何が働いているんだろう、って。
例えばそれは、
本当にささいなディティールだけの場合もあるかも知れない。
たとえば、爪のほんの先端部分だけだとか、
髪のたなびくちょっとした様子だとか、
眼を描くときに込めた、ちょっとした思いだとか。
たとえば、走っている人間を描くとして、
その動きの中の一瞬だけを切り取って描くようなとき、
片足が地面から何センチも浮いている、その一瞬の描き方だとか。
まだ誰も描いたことのないようなもの。
ほら、ほんの些細なものでいいんだ、たとえばこんな感じの……
 *かなり熱く語ってくれているおかげで、
 途中から段々とりとめが無くなって来てしまっています。
 原文よりももう少し整理した形で訳文を作ってあります。
 つぎの宮崎駿の発言も、
 とりあえず話題を変えて落ち着こうとしているのでしょう。

宮崎:
本当に単純な線で描いた人物像の向こうに、
メビウスさんの絵は、
向こうに空気があって、
その人物のこっちにも空気があって、
その人物のなかにも、いろいろな質を含めた、孤独な、誇り高い、
孤独で誇り高い、空間があるんです。
それがメビウスの絵の最大の魅力だと僕は思っています。

Merci. ドウモアリガト

メビウス:
ありがとう。ドウモアリガト。
 *字幕には「Merci.」(メルシー)としか記されていませんが、
 日本語で「どうもありがとう」と言っているように聞こえます。
 メビウスは、以前宮崎駿と対談したときにも、
 日本語で「さようなら」と言ったことがあります。
 その対談については以下の記事を参照してください。
 [宮崎駿とメビウスの対談

宮崎:
僕は日本の漫画家の、漫画界の多くの人間たちを代表して、
お礼を言わなければいけないと思っています。

J'ai pris beaucoup de lecons
des auteurs de mangas.


メビウス:
僕だって日本の漫画家たちから、
本当に多くのものを学んで来ているんだよ。



《補記》
メビウスと宮崎駿はお互いに熱心なファンどうしで、
深交を結んでいることが知られています。
二人の関係について語り出すと切りがないので、
ここは、二人の関係を端的に表わしている二枚の絵を
紹介しておくことにしたいと思います。
対談中でも触れられていますが、
宮崎駿の漫画『風の谷のナウシカ』は、
メビウスの代表作『アルザック』(Arzach)に
多大な影響を受けていると言われています。
そしてメビウスも、
『風の谷のナウシカ』の大ファンとして知られています。
このような関係を反映してか、なんと、
宮崎駿が描いたアルザックの絵と
メビウスが描いたナウシカの絵というものが、
存在しているのです。
ぜひとも、以下のリンクを見てみてください。
● ARZACH.
  正方形のサムネイルが並んでいるところの最下段、
  一番左側の絵が宮崎駿が描いたアルザックです。
  クリックで別窓で拡大。
  アルザックが乗っているのは翼竜なのですが、これは
  『ナウシカ』のメーヴェのモデルとしてよく名の挙がるものです。
● 「MAJOR GRUBERT」内「Affiches Dessins Serigraphie>Hommages」
  画像ファイルのアイコンが
  アルファベット順に並んでいるなかの、
  「Miyazaki_Nausicaa」とあるところをクリックして下さい。
  メビウスが描いたナウシカです。
ついでに付け加えておきたいのですが、
大友克洋が書いたアルザックと
メビウスが書いた『AKIRA』の鉄男の絵、というものも
存在しています。
それぞれ、上記のリンクの、
・宮崎駿のアルザックの右横の「Katsuhiro Ootomo」とあるサムネイル
・「Miyazaki_Nausicaa」の下の「Otomo Tetsuo」とあるところ
をクリックしてみて下さい。
それぞれの絵の詳細については、下記の記事を参照して下さい。
『Arzach』(アルザック)解説
宮崎駿との関連>メビウス作ナウシカのポスター

最後に蛇足ながら、ちょっとだけ、
付け足しておきたいことがあります。
今回こうやって幸運にも、
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと和訳を
用意することが出来たのですが、
たとえば対談のなかでメビウスが宮崎駿を褒めまくっているからと言って、
「だから宮崎駿はすごいんだ、
 やっぱり日本のアニメ(あるいは漫画)は世界一なんだ」
なんていう風に受け止められてしまうとしたら、
僕は、それはとても不幸な誤解だと思っています。
同様に、宮崎駿がメビウスの多大な影響を受けているからと言って、
「やっぱりメビウスはすごいんだ、
 宮崎駿なんかより(あるいは大友克洋なんかより)
 メビウスの方が数段凄いんだぞ」
なんて考えてしまうのも、
メビウス・ファンの悪い癖だと僕は思っています。
日本の「漫画」とフランスのバンド・デシネは、
そもそも拠って立つ価値観が異なるのです。
その二つを同じひとつの価値観で比較してしまうのは、
(それは得てして、どちらかに都合の良い価値観でしかないのですが)
ナンセンスと言うほかありません。
安易に優劣を競い合うのではなく、
お互いの間にある〈差〉にこそ可能性を見出すこと。
自分たちの文化の文脈にはなかった新しい世界への驚きを大切にすること。
今回の対談の記事が、
そういった新しい世界への扉を開くきっかけになることが出来たなら、
そしてそれが、
日本の「漫画」の新しい可能性を拓くことに繋がることが出来るとするなら、
記事の作成者として、これほど嬉しいことはありません。


《注記》
この対談動画については、
僕の知る限りでは他にあと二つ、
和訳をウェブ上にアップしてくれている例があるようです。
まずその内のひとつは、宮崎駿作品の海外展開についてのサイト
「くろねこ亭」さんで公開されているものです。
● 「くろねこ亭」内「ハウルの動く城関連記事集」
● 「くろねこ亭」トップページ
「くろねこ亭」さんの訳については、
下訳から決定稿を作成する過程で参照させて頂いたことを付記しておきます。
もうひとつの訳については、噂は聞くものの、
ついに現物を参照するには至りませんでした。

訳文は定期的に見直しをして、
そのつど改訳の手を入れて行くつもりです。
訳文はつねに流動的です。
注意して下さい。

当記事のそれぞれの抜粋動画の訳の冒頭には、
半角のアラビア数字でアンカーが打ってあります。
以下のようにURLを指定して頂ければ、
それぞれの訳の冒頭にリンクを張ることが出来るようになっていますので、
参考にして見てください。
http://moebius.exblog.jp/1569749/#1 ←抜粋動画その1へのリンク
http://moebius.exblog.jp/1569749/#2 ←抜粋動画その2へのリンク
http://moebius.exblog.jp/1569749/#3 ←抜粋動画その3へのリンク
http://moebius.exblog.jp/1569742/#4 ←抜粋動画その4へのリンク
http://moebius.exblog.jp/1569742/#5 ←抜粋動画その5へのリンク




本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
訳文の改定にあたって、
『ハウルの動く城』特別収録版DVD収録の字幕を参照しています。
『ハウルの動く城』DVDレポート(メビウス関連のみ)

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by moebius-labyrinth | 2004-12-30 08:37 | メビウスの子孫たち
対談動画:文字おこしと全和訳、編集後記
あー、つ゛か゛れ゛た゛ぁー。
本当はまだまだ気になるところが沢山あるのですが、
さすがにそういうことを言い出すと切りが無くなってしまうので、
ひとまずこれで完成稿ということにしたいと思います。

メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳1
メビウス&宮崎駿対談動画:文字おこしと全和訳2
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by moebius-labyrinth | 2004-12-30 08:36
メビウス&宮崎駿対談動画下訳7
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと和訳の準備稿です。
動画の詳細は以下の記事を参照してください。
メビウス&宮崎駿の対談動画6種

メビウスの発言は動画の字幕をそのまま写してあります。
宮崎駿の発言は、読みやすさを考慮して、
かならずしも厳密には文字おこしはしていません。
表記の形式は以下のようになります。
フランス語(メビウスの発言)

メビウス:
日本語(メビウスの発言の和訳)

宮崎:
日本語(宮崎駿の発言)

「*」(アステリスク)から始まる文書は訳注です。


今回は抜粋動画その2の下訳の誤訳のチェックとまとめです。
まだ決定稿ではありません。

◆ 抜粋動画その2

宮崎駿:
いや……。
 *仏訳では「Vous croyez?」
 (いえ、そんなことはないと思います)と訳されています。
 おそらく、宮崎駿のこの発言の前に、
 メビウスが宮崎駿を褒めまくっていたのではないかと思います。

Tout a l'heure, des questions
ont ete posees a M.Suzuki
pendant la conference de presse.
Il y avait une journaliste japonaise
qui disait que le film,
son dernier film
avait ete un peu critique au japon.
Et M.Suzuki a repondu
que M.Miyazaki aimait toujours
casser les systemes
sur lesquels il s'appuyait,
mais que sa preoccupation,
c'etait le public,
la satisfaction du public.
Il y a donc un melange d'aventure
et de souci du spectateur.


メビウス:
さっきも、記者会見の場で、
鈴木プロデューサーが質問攻めに会っていましたよ。
日本人の記者がちょうどこの映画について訊いていたな。
「宮崎氏の最新作は、日本では、
 どうも評判が良くないようですが?」と。
鈴木プロデューサーはこう答えていた。
「宮崎さんはつねに、
 固定観念を打破しようとしていますから。
 しかし、何よりも観客のことを第一に思っています。
 何よりも、映画を観れくれた人に満足してもらいたい、と
 思っているのです。
 だから、思い切って冒険したいという気持と、
 観客に分かってもらいたいという気持との間で、
 板ばさみになっているようです」と。

宮崎:
21世紀というのは、とても困難な、先が見えない時代なんです。
いままで自分達が当然だと思っていた色々な常識や考え方を、
ひとつひとつ検討し直さなければいけません。
それは、子供たちや、
エンターテイメントのお客さんたちに向う作品であっても、
今までこうだったから、あるいは、こうだから、
こういう悪役が出て来て、これをやっつければ良いんだ、
とかっていう風に、
簡単につくってはいけないという風に思っています。
一番大きな判断の基準は、
自分がこれで面白いと思うか、っていう。
面白くないからこれは止めた、って、
止めた止めた、ってやって行くうちに、
自分のスタッフもよく分からんっていう作品になってしまって、
私はとても困っているんです。

C'est vrai que son dernier film
est d'une grande complexite
dans les entrees
et les sorties des lieux,
sur l'age des personnages, etc.
Et d'une certaine facon,
ce qui est deroutant,
c'est que le temps consacre
a l'explication des choses
est legerement ampute.
Il y a plein de choses qui n'ont pas
d'explications dans le film.


メビウス:
なるほど、だからこそ、あなたの最新作は、
いろんな場所に行ったり来たり、
登場人物もいろんな年齢の人が入り乱れて、
とてもとても複雑なものになっているのですね。
で、その複雑さこそが作品全体の特徴になっているというか、
何が何だかよく分からない部分があるし、
いまひとつ繋がりの悪い物事についての説明に、
多くの時間が費やされているのですね。
あの映画のなかでは、ほとんどの物事が、
ちゃんと説明されないままに終わってしまっている。

宮崎:
60歳になった少女のための、
60歳の少女のための映画だっていう風に……。
 *この発言の仏訳では、
 「私は、この映画は60歳の少女のための映画だと思っています」
 というように訳されています。

C'est genial!

メビウス:
ハッハッハッ、それはいい!
 *あんまりこういうことに訳注を挟まない方がいいとは思うのですが、
 メビウスは『ハウルの動く城』の魅力は「une grande complexite」
 (大いなる渾沌)にこそあると思っているようなので、
 宮崎駿が「60歳の少女」なんていう変なものの言い方で
 この映画の特徴を言い表わしたことに、笑っているのだと思います。

宮崎:
18の自分と60の自分とどこが違うんだろう、
少しも違わないんじゃないか。
90のおばあちゃんも、
私は18のときと少しも変わらないよ、
って言うのを聞いたんですよね。
つまり、若い18の少女、女性が、
呪いをかけられておばあちゃんになってしまった、
で、呪いを解けば若くなって幸せになれる、
という映画は、
私にはまったく納得できないんですよね。
つまり、呪い、呪いを解くというのはどういうことか、
っていう時に、
ただ若くなるんではない、
若いのが素晴らしいんじゃない、
じゃあ何が素晴らしいのか?
どうすれば主人公は幸せになるのか、
それを自分なりに必死に探した結果、
こういう映画になったんです。

C'est exact.

メビウス:
なるほど。

宮崎:
ハウルが何をやっているのか、
描く時間は無かったんです。
で、自分のスタッフに訊きました。
よく仕事のために帰りが遅くなってる男たちに訊きましたら、
自分の妻たちは、自分が何をしてるか何も知らないし、
関心も持とうとしていない(と答えたんです)。
じゃあ、ソフィーもハウルが何をしようとしているか、
関心を持たなくてもいいんだ、
っていう風に、そう思ってこの映画をつくったんです。
つまりハウルのことは描かなかったんです。

Au debut, le personnage
ressemble beaucoup
a des archetypes du manga japonais
pour jeunes filles.
Ces personnages avec des grands yeux
et des cheveux
qui tombent comme ca,
comme un rideau un peu mysterieux.
Pour a la fin, devenir tres enfantin.
A la fin...
il perd tous les attributs
vestimentaires heroiques,
et un peu arrogants,
et il devient
comme une jeune homme nu.


メビウス:
映画が始まったばかりの頃は、
そのハウルという登場人物は、
日本の少女漫画のステレオタイプそのもののような
描かれ方がされていますよね。
目がとても大きくて、
髪もちょっと秘密めかして、
ちょうどこんな感じに、
(と言いながらジェスチャー)
幕みたいに垂れ下がっている。
とても幼稚な人間になってしまっていますよね。
でも、映画の最後の方になると、
彼はヒロイックな衣裳を脱ぎ捨てて、
傲慢な態度も鳴りをひそめて、
はだか同然の、ただの一人の若い男になるんだ。

宮崎:
とても嬉しいです。


《補記》
昨日(正確には今日の朝)、
「個人的にどうしても納得の行かない点がある」と言ったのですが、
やはり、この対談の訳文をつくる人間が
『ハウルの動く城』を観ていないというのは
問題があるだろうということで、
大急ぎで観てきました。
結論から言うと、とても素晴らしかったです。
ただ、観る人間を選ぶところが少々あるだろうな、というか、
いままでの宮崎作品と同じようなものを求めている人
(たとえば、この作品に『天空の城ラピュタ』や『もののけ姫』、
 もしくはもっと昔の作品のようなものを求めている人)
や、「アニメ」の王道みたいなものを求めているような人には、
とうてい受け容れられない作品だろうな、と思いました。
僕も、事前にこの対談を観ていなかったら、たぶん
「なんじゃこれ?」で終わってしまっていたかもしれません。
僕は、ポール・トーマス・アンダーソン監督の『マグノリア』や
スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』
『時計じかけのオレンジ』なんていうシュールな作品が好きなのですが、
そういうのが好きな人にはぜひともおすすめしたい映画です。
木村拓哉の声は、僕は素晴らしかったと思います。
実写の演技の方ははっきり言って大っ嫌いなんですが、
この映画の声優としての仕事には大満足です。
「ただの格好つけだと思ってたけど、やるじゃん」って感じです。
むしろ、多くの人がすでに言っているように、
僕も倍賞千恵子の少女の声に問題があると思うのですが、
そもそもあの役は、
一人の俳優が少女の声も老婆の声も同時に演じる、
というところに大きな意味がある役だと思うので、
無理からぬところがあると思います。
あの映画に求められているレベルで、
少女の声も老婆の声も同時に演じることの出来る俳優が
いるのかどうかが疑問です。
(厳密に言うと、少女や老婆だけでなく、
 すべての年齢の声を演じ分ける必要があると思います)
映画のなかには、少女漫画、童話、悪夢、戦争といった
互いに全く関連のない要素が混在していますが、
それこそがあの映画の魅力だと言いたい。
一本道のストーリーや深淵なテーマなどをあの映画に求めてはいけません。
むしろ、観る人の予想をつぎつぎと裏切って行くこと、
そして、わざと物語に余白が設けられてあって、
その余白を自分で埋めて行くことで、
監督だけでなく、観客も、
物語を創ることの喜びを味わうことが出来る仕掛けになっているということ、
それこそがあの映画の魅力なのだと思います。
それを思うと、最後の方で強引に物語を収束させてしまうのは、
あの映画のなかで唯一いただけない点だなと思いました。
(「動く城」の動きも魅力に欠けるとは思いますが)

やばい、当サイトはあくまでメビウスのファンサイトなので、
脱線はこの辺にしておいて、
さっそく決定稿の作成に移りたいと思います。

《追記》
だめだ、やっぱりこの訳では納得が行かない。
決定稿でさらに改訳します。


《追記の追記》
あ゛あ゛ぁぁぁぁぁー、こんな訳文、人前に出せっかァッ!
ということで、すいません、もう一日だけ時間を下さい。
一晩寝て、体制を立て直します。
あぁ、もう本当にごめんなさい。
遅れに遅れて申し訳ないです。
あぁ~、あの一節が一番大切なところなのに、
メビウスはなんであんなぐちゃぐちゃなものの言い方しやがるんだよぅ……。
ほかの抜粋動画も直したいところが色々とあるし、あ゛あ゛ぁぁぁー。




本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
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by moebius-labyrinth | 2004-12-29 20:19
メビウス&宮崎駿対談動画下訳6
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと和訳の準備稿です。
動画の詳細は以下の記事を参照してください。
メビウス&宮崎駿の対談動画6種

メビウスの発言は動画の字幕をそのまま写してあります。
宮崎駿の発言は、読みやすさを考慮して、
かならずしも厳密には文字おこしはしていません。
表記の形式は以下のようになります。
フランス語(メビウスの発言)

メビウス:
日本語(メビウスの発言の和訳)

宮崎:
日本語(宮崎駿の発言)

「*」(アステリスク)から始まる文書は訳注です。


今日は、抜粋動画その2以外の下訳の誤訳のチェックとまとめです。
まだ決定稿ではりません。
この他にあともう一回だけ、
抜粋動画その2の下訳の誤訳のチェックとまとめをしてから、
決定稿をアップする予定です。


◆ 抜粋動画その1

Au niveau du travail,
c'est vrai que d'abord, on est
a peu pres de la meme generation,
et on a commence a travailler
dans un contexte qui etait commun,
et ca, deja, c'est une forme...
de similitude.
Ensuite, il y a eu des sensations.
Mais je ne sais pas comment
M.Miyazaki a percu mon travail.
Pour moi, c'est tres mysterieux.
J'aimerais savoir comment
il a rencontre mes dessins.
Par quels canaux il les a connus.
Si ce sont des canaux professionnels...


メビウス:
 *もしかしたらメビウスのこの発言のまえに、
 宮崎駿が、漫画の『ナウシカ』を描き始めたばかりのころ、
 メビウスの真似だと非難されていたことを
 話しているのかもしれません。
 『ナウシカ』の絵柄は、
 メビウスの影響を顕著に受けていると言われています。
作品を描くということを考えるなら、やはりまずは、
同じ世代の人間の影響を受けてしまうものですよ。
みんな、互いに似たような環境のなかで
制作を始めるものでしょう?
何と言うか、摸倣することから全てが始まるんですよ。
その次に初めて、
独自のフィーリングみたいなものを表現できるようになるんだ。
でも、私のばあいは、
宮崎さんが私の作品を見て感じ取ったようには行かなかった。
私のばあいは、大いなる「謎」から、すべてが始まったんです。
この日本の漫画家は、
いったいどうやって僕の作品に出会ったんだろう?
いったいどんな手段を使って知ったんだろう?
プロの漫画家のツテでも頼ったんだろうか?
そういう謎を、とにかく知りたいと思ったのです。

宮崎:
メビウスさんの『アルザック』が、
1975年だと思うんですけどね、
僕が出会ったのは1980年ごろですが、
大変な衝撃を受けました。
それは私だけじゃなくて、
日本の漫画家たちが、全体が、大変な衝撃を受けたんです。
ただ残念なことに、僕が出会った時には、
自分の絵がずいぶん固まっていて、
彼の影響を本当に上手に自分の発展のうえに役立てることは
出来なかったんですが。
でも、メビウスさんの空間感覚は、
いまだに本当に魅力を感じています。
『ナウシカ』って作品は、
明らかにメビウスの影響によってつくられたものです。

C'est vrai que quand j'ai vu
Nausicaa de la vallee du vent...
Ca prouve que l'influence
importe peu, au fond.
Ce qui compte,
c'est qu'il y ait eu une communaute,
une certaine
communaute d'inspiration
qui preexistait
a la rencontre consciente
et qui fait que
au-dela des cultures,
et au-dela du temps ou de l'espace.
on peut rencotrer quelqu'un
avec qui on se sent en phase.


メビウス:
私がはじめて『風の谷のナウシカ』を見た時、
影響関係がどうのこうのなんてのは、
本当にどうだっていいことだと思いました。
そんなことはあくまで下地に過ぎないんだと。
本当に大切なことは、
この作者とは何かを共有しているんだ、という実感だったんです。
共通のインスピレーション、とでも言うか、
とにかくその共有感覚は、
実際に出会って意識するようになる前にすでに存在していて、
文化の違いだとか、時代の違いだとか、場所が離れているだとか、
そんな差を越えてしまっているものだと感じたんです。
人は、自分とまったくおなじ世界に生きる誰かと、
出会うことが出来るものなんだな、と。

宮崎:
あぁ、なるほどね。

Moi, ce qui m'a frappe,
ce ne sont pas nos similitudes.
C'est qu'on puisse voir
des ressemblances
alors que tant de choses
nous separent.
Parce que, ce qui m'a toujours
frappe chez M.Miyazaki,
c'est le fait d'avoir ete
presque un chef d'entreprise,
un chef d'industrie.
Le cinema d'animation,
je sais que
c'est une entreprise industrielle
qui demande beaucoup de pouvoir,
puisqu'il faut emmener
jusqu'a 100, 150 ou 200 personnes...
Et moi, ce qui m'epate,
c'est la permanence et la qualite
de son inspiration
malgre cette lourde machinerie,
sur des anness et des annees.
Je trouve ca
absolument fantastique
et c'est la chose
que j'admire enormement.
Moi qui suis tout seul,
qui suis solitaire.


メビウス:
とにかくショックを受けたんです。
私の猿真似、なんてとんでもない話ですよ。
むしろ、ほとんど接点なんてあるはずがないのに、
同じものを共有している仲間に出会うことが出来た、
という確信がありました。
それだけじゃない、宮崎さんの作品を観るたびに驚かされるのは、
あなたが一企業の社長というか、経営者も兼任している、
という事実なんですよ。
ひとたびアニメ映画をつくるとなると、
ひとつの企業のようなものを組織して、
それを運営して行くために、
とても多くの力量が必要になってくるものでしょう?
100人、150人、200人、とか、
とにかく多くの人間を統率して行かなくちゃならない。
もう本当に、それは凄いことですよ。
何年も何年も、つねに休まず、
なおかつ質の高いインスピレーションを出し続けて行くことが出来なければ、
とてもじゃないが、そんな作業を続けて行けるものじゃない。
それは本当に、並外れて凄いことですよ。
あなたの仕事ぶりには本当に感心するしかない。
私はずっと一人で、孤独にやって来たから。

宮崎:
いや、僕は、アニメーションの現場の、
工場の、工場長だと思ってやってるんです。
経営者という発想は全然ありません。
職工の職工長、職人の親分という、
そういう風な気持でやってます。
 *じつは、メビウスの発言中の「un chef d'industrie」というのは
 「工場長」と訳されてしかるべき語だと思うのですが、
 宮崎駿のこの発言と矛盾しないように、あえて訳してありません。
 おそらく同時通訳の人が「会社の経営者」という風に
 訳してしまったのだと思います。
 ちなみに、「職人の親分」というのは
 「patron d'artisans」(アルチザンのパトロン)と訳されているようです。

C'est interessant de savoir ca
car c'est un grand mystere.
L'autorite et le pouvoir
de M.Miyazaki
s'expriment d'une facon
invisible et magique.
Ca prouve que
d'une facon magique...
l'autorite et le pouvoir
de M.Miyazaki
s'expriment d'une facon invisible.


メビウス:
それはおもしろいですね。
それは、私にとっては大きな謎です。
私は、宮崎さんの作品には、
宮崎さんの影響力というか支配力のようなものが、
目には見えない、何か不思議な感じで、
ちゃんと表現されているように思うんです。
不思議な感じではあるけれど、確実に、というか、
目には見えない形で、
宮崎さんの影響力というか支配力のようなものが、
表現されていると思うんですよ。


◆ 抜粋動画その3

Mais c'est vrai
que travailler sur des films,
faire des oeuvres abouties
avec un scenario soigneusement fait,
des sequences, de la musique...
C'est vraiment
une facon de rentrer
dans le luxe absolu
du metier de dessinateur.


メビウス:
 *たぶんメビウスのこの発言のまえに、
 宮崎駿の映画の制作方法について話していたのでしょう。
 そしてそのやり方に、
 メビウスはとても感心しているのだと思います。
しかし、だからこそ、
何本も映画をつくることが出来るんじゃないですか?
だからこそ、
よく練られたシナリオや、エピソード、
すばらしい音楽を使って、
良い作品を何本もつくることが出来るんだ。
そういうやり方でやってこそ、
漫画家は真の贅沢を味わえるようになるというか、
本当の仕事が出来るようになるんじゃないでしょうかね。
 *メビウスの発言中の「le luxe absolu」というのが難しくて、
 直訳すると「すごい贅沢」というような意味になります。
 たぶん隠喩として、
 何か抽象的な意味を持たせてあるのでしょう。
 思い切って意訳しておきました。
 ただ、現場では同時通訳で会話しているのでしょうから、
 通訳の人も、ここは翻訳するのが難しかったのだと思います。
 つぎの宮崎駿の発言が、微妙にピントがずれているように思います。

宮崎:
上手く行ったときは贅沢するけど、
上手く行かないこともあるから、
とても不幸にもなりますね。

Est-ce que M.Miyazaki a traverse
des periodes de doute
au niveau de son travail?


メビウス:
宮崎さんも、仕事をする際に、
迷ったりすることがあるということなのですか?

宮崎:
いつもそうです。

C'est vrai? C'est fou, ca.

メビウス:
本当に? 信じられないな。

宮崎:
スタッフが、
この映画分からない、って言うと、
僕は床が無くなったような気分になります。
その度に。

Par exemple,
quand j'ai vu Princesse Mononoke,
mais surtout
Le Voyage de Chihiro,
ce qui m'a frappe,
c'est que je ne voyais pas
un producteur,
aucun producteur dans le monde
accepter le scenario.


メビウス:
たとえば、『もののけ姫』や、
とくに『千と千尋の神隠し』を観たときなんかには、
僕はもう本当に感動したんですよ。
プロデューサーもプロデューサーだ。
まさか、
あんなとんでもないシナリオに
ゴーサインを出すプロデューサーが、
この世に存在していたなんて、
とてもじゃないが信じられないよ。

宮崎:
彼は反対はしませんから、
時間に間に合うようにつくれ、と言いますけど……。

Ah, d'accord.
Mais s'il avait travaille
pour Disney,
il n'aurait jamais
reussi a faire ca,
meme pas Nausicaa.


メビウス:
なるほど。
ディズニーなんかじゃ考えられないだろうね。
そんなプロデューサー、
とてもじゃないが受け容れられないでしょう。
とくに『ナウシカ』なんて、
つくるのは絶対に無理だったでしょうね。

宮崎:
討議をして映画をつくるのは不可能です。
僕は、スタッフと討議をして映画をつくることは出来ません。
こういう風にします、と言うしか、出来ません。

Mais je trouve que cette confiance,
c'est ce qui nourrit un peu
le travail de M.Miyazaki
et qui fait que c'est unique,
au niveau du cinema.


メビウス:
そういう信頼関係があるからこそ、
宮崎さんはいい作品をつくることが出来るし、
それこそが、
宮崎さんの映画が真にユニークなものであることの、
理由なんじゃないかと思いますね。

宮崎:
いや、僕はまだ、『ハウルの動く城』については、
結論は出ていないと思います。
お客さんたちが、本当に、どういう気持を受け止めたのか。
じつは僕は、映画評論をぜんぜん読まない人間なもんですから、
何を言っているのか、あんまり関心が無いんですけれども、
観客がどういう気持を持ったのかは、非常に関心がありますね。
それはまだ答えが出ていません。


◆ 抜粋動画その4

Je voudrais poser, si je peux,
une petite question.
Enfin, faire une petite observation
sur quelque chose
qui m'a frappe des le debut.
C'est le fait
que M.Miyazaki se soit...
se soit inspire dans pratiquement
tous ses films fantastiques,
de l'Europe et de mythologie
ou d'espaces europeens,
que ce soit l'Italie
a travers Porco Rosso.
ou une espece d'Alllemagne idealisee
a travers Kiki la petite sorciere
et Le Chateau,
et meme dans Nausicaa
ou ce pourrait etre la Finlande...
C'est une perception de l'Europe
qu'on sent tres lointaine,
idealisee et sympathique,
amoureuse,
un peu comme nous
quand on regarde le Japon.
Par contre,
j'ai trouve que des films comme
Totoro, Princesse Mononoke
et Le Voyage de Chihiro,
d'un seul coup representent...
une rentree chez soi
qui est tres emouvante aussi.
Et j'aime les deux.
J'adore ca.
Je trouve que ca remet
la planete a l'endroit.


メビウス:
もし良ければ、ちょっと聞きたいことがあるんです。
僕があなたの作品を昔から見続けてきて、
一体何にこんなに感動するんだろう、って考えてみたんですよ。
それはつまり、
宮崎さんの作品が、そう、あなたのファンタジー映画のほとんどすべてが、
ヨーロッパの文化や神話、
あとはヨーロッパの風土なんかに、
インスピレーションを受けているということ。
たとえば、
『紅の豚』がイタリアにインスピレーションを受けているとか、
『魔女の宅急便』や『ハウルの動く城』で、
観念化された形ではあるけれども、ドイツの姿が描かれていること、
そして、『風の谷のナウシカ』が、
あれはたぶんフィンランドあたりを意識しているんじゃないかと思うんですが、
そういったヨーロッパのイメージというか、
僕たちからすると実情からはかけ離れているようなヨーロッパのイメージ、
観念化されていて、美化されている、
良いイメージが描かれていますよね。
それはたぶん、僕たちが日本の姿をイメージするときと
結構似ているんじゃないかと思います。
ところでそれとは反対に、
『となりのトトロ』や『もののけ姫』、
『千と千尋の神隠し』などになると、
こんどは一挙に、原点回帰をするようになるでしょう?
それもまた僕は大好きなんですよ。
どちらも大好きだ。
すばらしい事だと思います。
僕は、そういういったことが、
この世界を、より良い方向へ向かわせるんじゃないかと思うのです。

宮崎:
もちろん自分のなかに、
マイナスの部分や冷たい絶望的なものはたくさん持っていますが、
絶望的なことや悲観的なことはいっぱい持っていますが、
子供達が観るであろう映画に、
それを盛り込もうとはあまり思っていません。
むしろ、どういう風にすれば明るい映画がつくれるのか、
自分が明るい気持になれるのか、
それを一生懸命考えます。

C'est bien!

メビウス:
すばらしい!
 *この部分は「tres bien」(トレビヤン、素晴らしい)と
 言っているように聞こえます。あまり自信はないんですが。


◆ 抜粋動画その5

宮崎:
メビウスさんの話をしたいんですけどね。

Posez-moi des questions.

メビウス:
どうぞ、何でも訊いてください。

宮崎:
彼はどこであの絵を修行したんでしょう?
メビウスさんの絵は
どういう勉強をして身に付けていったものなんですか?

J'ai eu l'outrecuidance,
vers l'age de 12-13 ans,
de penser que j'etais
le meilleur dessinateur du monde!
Et apres, j'ai passe ma vie
a essayer de rattraper la croyance.
Par moments, j'ai l'impression
de savoir tres bien dessiner,
et parfois, j'ai l'impression
d'etre un dessinateur tres naif...
et peu savant.


メビウス:
12,3歳のころは、
自分は世界で一番すごい漫画家だ!
なんて自惚れていたもんですよ。
でも後になってから、今度は、
自信を取り戻すのにずいぶんと苦労をするようになりました。
ときには、
自分は漫画についてなんでも知っているぞ、
なんて思うときも、それはありますよ。
でもね、
自分は漫画家としてなんて世間知らずなんだろう、
って思うこともあるんです。
あまりにも物を知らなさ過ぎる、と。

宮崎:
彼は、やっぱり、「星」があたったんですよ。
流れ星が。

Oui.

メビウス:
ああ、そうさ。

宮崎:
そう思います。

Oui, c'est une etoile filante,
tout a fait.
Qui est restee!


メビウス:
そうとも、流れ星、まったくその通りだ。
その星のかけらが、まだ僕の中に残っているってわけさ。

宮崎:
だって、本当に、僕らがどれほど、メビウスさんの絵をみて驚いたか。
ちょっと表現の仕方が分からないんですが、
世界をこういう風な眼で眺めることが出来るんだ、という驚きでした。

J'ai essaye de travailler
plus sur la perception
que sur la technique du dessin.


メビウス:
僕は、漫画を描くときには、
テクニックよりも、
どう感じるかを大切にしようと思っていますよ。

宮崎:
世界に対する考えと技術というのは、
一体のものだと僕は思います。

メビウス:
Je suis obsede
par le technique.
En meme temps,
je pense que tous les grands artistes
ont travaille sur la perception.
Qu'est-ce qui fait
que tout a coup,
on est etonne par une oeuvre ?
Que ce soit un ecrivain,
un musicien ou autre,
c'est que tout a coup, il montre
une chose qu'on a tous sous les yeux
mais que personne n'avait vue.
Ou personne ne l'avait vue
avec cette verite-la.
Parfois, ca peut etre
des petits details,
ca peut etre le bout des ongles,
la facon dont les cheveux bouclent,
la quantite d'informations
qu'on met pour montrer un oeil...
Par exemple, sur quelqu'un qui court,
c'est le moment
ou on arrete le mouvement,
le pied est
a tant de centimetres du sol.
On ne l'avait jamais fait avant.
Des petites choses comme ca...


メビウス:
僕もテクニックは大事だと思っています。
でもそれと同時に、
世の偉大なアーティストたちは、
どう感じるかを大切にして、
作品をつくってきたのではないかとも思うのです。
たとえば、あるとき突然、人がなにかの作品に驚きを感じたとして、
そこには何が働いているんだろう、って考えてみるんです。
作家にしろ、ミュージシャンにしろ、
とにかく何かを表現する人が、
あるとき突然、目には見えるんだけれども、
でもまだ誰も見たことのないようなものを表現しようとするとき、
まだ誰もそんな感じ方では見たことのないようなものを
表現しようとするとき、
そこには何が働いているんだろう、って。
例えばそれは、
本当にささいなディティールだけの場合もあるかも知れない。
たとえば、爪のほんの先端部分だけだとか、
髪がたなびくほんのささいな様子だとか、
ひとつの眼を描くときに込めた、ちょっとした思いだとか。
たとえば、走っている人間を描くとして、
その動きの中の一瞬だけを切り取って描くようなとき、
片足が地面から何センチも浮いている、その一瞬の描き方だとか。
まだ誰も描いたことのないようなもの。
ほら、ほんの些細なものでいいんだ、たとえばこんな感じの……
 *かなり熱く語ってくれているおかげで、
 途中から段々とりとめが無くなって来てしまっています。
 つぎの宮崎駿の発言も、
 とりあえず話題を変えて落ち着こうとしているのでしょう。

宮崎:
本当に単純な線で描いた人物像の向こうに、
メビウスさんの絵は、
向こうに空気があって、
その人物のこっちにも空気があって、
その人物のなかにも、いろいろな質を含めた、孤独な、誇り高い、
孤独で誇り高い、空間があるんです。
それがメビウスの絵の最大の魅力だと僕は思っています。

Merci. ドウモアリガト

メビウス:
ありがとう。ドウモアリガト。

宮崎:
僕は日本の漫画家の、漫画界の多くの人間たちを代表して、
お礼を言わなければいけないと思っています。

J'ai pris beaucoup de lecons
des auteurs de mangas.


メビウス:
僕だって日本の漫画家たちから、
本当に多くのものを学んで来ているんだよ。


《補記》
「抜粋動画その4」なんですが、
しまった、この前「une espece d'Allemagne idealisee」は
「観念化されたドイツの風土」と訳していましたが、
これは「espece」(種類)を「espace」(空間、場所)と
読み間違っていたのでした。
「une espece d'Allemagne idealisee」は、
直訳すると、
「一種の観念化されたドイツのようなもの」
という感じになるでしょうか。
いずれにせよ、前回の論旨にはあまり影響しない誤訳なので
助かってはいるのですが、失礼しました。
他にも細かい点でちょこちょこと訂正を入れてあります。
「抜粋動画その2」については、
個人的にどうしても納得の行かない点があるので、
もう一日だけ(運が悪ければ二日ほど)待ってください。




本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
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by moebius-labyrinth | 2004-12-28 23:59
更新遅延のおわび
今日の更新は日付が変わってからになるかもしれません。ごめんなさい。この記事はいずれ削除します。注意してください。

《追記》
う~ん、すいません。更新は明日の朝頃までずれ込むかも。
今からちょっと外出して、帰ってきてから、すくなくとも抜粋動画二つ分は、
誤訳のチェックとまとめを仕上げたいと思っています。


とりあえず、一日一語が原則ですので、
アルバム『アルザック』(ARZACH)の冒頭を一文だけ。

INTRODUCTION
序文

QUAND 《ARACH》 FUT PUBLIE, L'IMPACT PUBLIC A ETE ETONNANT.
僕が『アルザック』を発表したとき、
それを読んだ人達は、そうれはもう凄い衝撃を受けたそうだ。


《追記の追記》
Σ( ̄□ ̄;)なっ、しまった、『アルザック』の訳文なんか載せちゃったら、
削除できないじゃん。
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by moebius-labyrinth | 2004-12-28 17:06
雑誌「Cut」:「宮崎駿―メビウス」展の記事
いま発売されている
映画雑誌「Cut」誌の2005年1月号(第174号)に、
「宮崎駿―メビウス」展の記事が掲載されています。


◆ 記事の内容
● 「Cut」誌公式サイト
● アマゾン日内「Cut」誌のページ
僕が行った書店では「映画雑誌」の棚に分類されていたことを
付言しておきます。
雑誌の表紙画像は上記の公式サイトで見ることが出来ます。
ちょっとビターなくちびる泥棒の人が表紙を飾っています。

ただ残念ながら、特集記事といった性格のものではなくて、
131ページの上半分だけを使った小さな記事です。
「宮崎駿―メビウス」展や二人自身のことについても
軽く説明されている程度で、
これだけのために買うまでのものではないな、と
個人的には思いました。
(一応付言しておきますが、雑誌全体のことを言っているのではありません)
今回の展覧会について全く何も知らない人に、
その概要と、二人について興味を持ってもらうためになら、
充分な記事だという感じなのでしょう。
展覧会のポスターの画像
(『もののけ姫』のサンとアルザックらしき人物が立っているあの画像です)
が一枚紹介されています。
この画像は展覧会の公式サイトで見ることが出来ます。
サイズもほぼ同じくらいだったと思います。
● 「宮崎駿―メビウス」展公式サイト
● 上記公式サイト全訳(当サイトで用意した全訳です)


◆ メビウス関連の情報
メビウスに関しては、
(宮崎駿と)「いつか一緒に何かやってみたいと思っていた」
という感じの発言が紹介されています。
また、今から17年前
(2005年号の雑誌ですから、1988年ということになるんでしょうか)
に、映画『風の谷のナウシカ』を観て感動したメビウスが
スタジオ・ジブリを訪れたのが、
二人が出会ったきっかけだと書かれてあります。
むちゃくちゃ細かいところに突っ込んで申し訳ないんですが、
二人が「初めて」出会ったきっかけ、と言うなら、
1988年というのはちょっと遅すぎるような気がしないでもありません。
(これも一応付言しておきますが、
 当該記事の文章には「初めて」の文字はありません)
僕の知る限りでは、二人が初めて出会ったのは、
1970年代から企画と製作が始められた
日米合作のアニメ映画『リトル・ニモ』の
製作に際してのはずだからです。
公開は1989年ですが、
途中で企画が行き詰まり、
大幅に人員が入れ替えられたうえで公開されています。
残念ながら、メビウスも宮崎駿も途中で製作から手を引いてしまいました。
● アマゾン日内『リトル・ニモの野望』のページ
  映画『リトル・ニモ』製作の経緯についてくわしく書かれている本。
  僕はまだパラパラとめくってみた程度です。
  メビウスの絵は紹介されていませんが、
  宮崎駿の絵は紹介されています。

《追記》
『リトル・ニモの野望』によると、
映画『ニモ』の制作に際しては
メビウスと宮崎駿は実際に会ってはいないようです。
二人が実際にはじめて会ったのは1987年のこと、
ということになるようです。
(上記の雑誌の記事の「今から17年前」という記述も、
実際に雑誌が発売された2004年から起算する、
ということのようです)
くわしくは以下の記事を参照してください。
『リトル・ニモの野望』解説


今回の記事は「本、映画、音楽」さんからのトラックバックで
教えてもらったものです。
ありがとうございました。
● 「本、映画、音楽」内「2004年12月26日 宮崎駿とメビウス(とホドロフスキーとゲイマン)」
● 「本、映画、音楽」トップページ




本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
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by moebius-labyrinth | 2004-12-27 20:51 | メビウスの子孫たち
メビウス&宮崎駿対談動画下訳5
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと和訳の準備稿です。
動画の詳細は以下の記事を参照してください。
メビウス&宮崎駿の対談動画6種

メビウスの発言は動画の字幕をそのまま写してあります。
宮崎駿の発言は、読みやすさを考慮して、
かならずしも厳密には文字おこしはしていません。
表記の形式は以下のようになります。
フランス語(メビウスの発言)

メビウス:
日本語(メビウスの発言の和訳)

宮崎:
日本語(宮崎駿の発言)

「*」(アステリスク)から始まる文書は訳注です。


今回は抜粋動画その5です。


宮崎:
メビウスさんの話をしたいんですけどね。

Posez-moi des questions.

メビウス:
どうぞ、何でも訊いてください。

宮崎:
彼はどこであの絵を修行したんでしょう?
メビウスさんの絵は
どういう勉強をして身に付けていったものなんですか?

J'ai eu l'outrecuidance,
vers l'age de 12-13 ans,
de penser que j'etais
le meilleur dessinateur du monde!
Et apres, j'ai passe ma vie
a essayer de rattraper la croyance.
Par moments, j'ai l'impression
de savoir tres bien dessiner,
et parfois, j'ai l'impression
d'etre un dessinateur tres naif...
et peu savant.


メビウス:
12,3歳のころは、
自分は世界で一番すごい漫画家だ!
なんて自惚れていたもんですよ。
でも後になってから、今度は、
自信を取り戻すのにずいぶんと苦労をするようになりました。
ときには、
自分は漫画についてなんでも知っているぞ、
なんて思うときも、それはありますよ。
でもね、
自分は漫画家としてなんて世間知らずなんだろう、
って思うこともあるんです。
あまりにも物を知らなさ過ぎる、と。

宮崎:
彼は、やっぱり、「星」があたったんですよ。
流れ星が。

Oui.

メビウス:
ああ、そうさ。

宮崎:
そう思います。

Oui, c'est une etoile filante,
tout a fait.
Qui est restee!


メビウス:
そうとも、流れ星、まったくその通りだ。
その星のかけらが、まだ僕の中に残っているってわけさ。

宮崎:
だって、本当に、僕らがどれほど、メビウスさんの絵をみて驚いたか。
ちょっと表現の仕方が分からないんですが、
世界をこういう風な眼で眺めることが出来るんだ、という驚きでした。

J'ai essaye de travailler
plus sur la perception
que sur la technique du dessin.


メビウス:
僕は、漫画を描くときには、
テクニックよりも、
どう感じるかを大切にしようとしていますよ。

宮崎:
世界に対する考えと技術というのは、
一体のものだと僕は思います。

メビウス:
Je suis obsede
par le technique.
En meme temps,
je pense que tous les grands artistes
ont travaille sur la perception.
Qu'est-ce qui fait
que tout a coup,
on est etonne par une oeuvre ?
Que ce soit un ecrivain,
un musicien ou autre,
c'est que tout a coup, il montre
une chose qu'on a tous sous les yeux
mais que personne n'avait vue.
Ou personne ne l'avait vue
avec cette verite-la.
Parfois, ca peut etre
des petits details,
ca peut etre le bout des ongles,
la facon dont les cheveux bouclent,
la quantite d'informations
qu'on met pour montrer un oeil...
Par exemple, sur quelqu'un qui court,
c'est le moment
ou on arrete le mouvement,
le pied est
a tant de centimetres du sol.
On ne l'avait jamais fait avant.
Des petites choses comme ca...


メビウス:
僕もテクニックは大事だと思っています。
でもそれと同時に、
世の偉大なアーティストたちは、
どう感じるかを大切にして、
作品をつくってきたのではないかとも思うのです。
たとえば、人があるとき突然なにかの作品に驚きを感じたとして、
そこには何が働いているんだろう、って考えてみるんです。
作家にしろ、ミュージシャンにしろ、
とにかく何かを表現する人が、
あるとき突然、目には見えるんだけれども、
でもまだ誰も見たことのないようなものを表現しようとするとき、
まだ誰もそんな見方では見たことのないようなものを
表現しようとするとき、
そこには何が働いているんだろう、って。
例えばそれは、
本当にささいなディティールだけの場合もあるかも知れない。
たとえば、爪のほんの先端部分だけだとか、
髪がたなびくほんのささいな様子だとか、
ひとつの眼を描くときに込めた、ちょっとした思いだとか。
たとえば、走っている人間を描くとして、
その動きの中の一瞬を切り取って描くようなとき、
足が地面から何センチも浮いている、その一瞬の描き方だとか。
まだ誰も描いたことのないようなもの。
ほら、ほんの些細なものでいいんだ、たとえばこんな感じの……
 *かなり熱く語ってくれているおかげで、
 途中から段々とりとめが無くなって来てしまっています。
 つぎの宮崎駿の発言も、
 とりあえず話題を変えて落ち着こうとしているのでしょう。

宮崎:
本当に単純な線で描いた人物像の向こうに、
メビウスさんの絵は、
向こうに空気があって、
その人物のこっちにも空気があって、
その人物のなかにも、いろいろな質を含めた、孤独な、誇り高い、
孤独で誇り高い、空間があるんです。
それがメビウスの絵の最大の魅力だと僕は思っています。

Merci. ドウモアリガト

メビウス:
ありがとう。ドウモアリガト。

宮崎:
僕は日本の漫画家の、漫画界の多くの人間たちを代表して、
お礼を言わなければいけないと思っています。

J'ai pris beaucoup de lecons
des auteurs de mangas.


メビウス:
僕だって日本の漫画家たちから、
本当に多くのものを学んで来ているんだよ。


《補記》
なんかもう泣きそうなくらいすごい対談ですね。
メビウスが途中から熱くなりすぎて、
だんだん話のとりとめが無くなって来るあたりは、
読みやすさを考慮して、
実際よりももう少し分かりやすい形に整理したうえで、
訳文を作ってあります。
また、メビウスが「Merci」と言うところでは、
字幕には「Merci」(メルシー、ありがとう)としか書かれていませんが、
日本語で「どうもありがとう」と言っているように聞こえます。
メビウスは以前宮崎駿と対談したときも、
日本語で「サヨウナラ」と言ったりしています。
その対談については、以下の記事を参照してみて下さい。
 [宮崎駿とメビウスの対談

次回からはこれまでの下訳の誤訳のチェックとまとめです。
出来るだけ早く決定稿を上げたいとは思うのですが、
さすがにこの記事だけは誤訳をするわけには行きませんし、
量も量なので、一度ですべての下訳をチェックするには
至らないかもしれません。




本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
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by moebius-labyrinth | 2004-12-27 19:27
メビウス&宮崎駿対談動画下訳4
メビウスと宮崎駿の対談動画の文字おこしと和訳の準備稿です。
動画の詳細は以下の記事を参照してください。
メビウス&宮崎駿の対談動画6種

メビウスの発言は動画の字幕をそのまま写してあります。
宮崎駿の発言は、読みやすさを考慮して、
かならずしも厳密には文字おこしはしていません。
表記の形式は以下のようになります。
フランス語(メビウスの発言)

メビウス:
日本語(メビウスの発言の和訳)

宮崎:
日本語(宮崎駿の発言)

「*」(アステリスク)から始まる文書は訳注です。


今回は抜粋動画その4です。
今回は、識者のご教授を承りたい、なんて点が少々あったりします。

Je voudrais poser, si je peux,
une petite question.
Enfin, faire une petite observation
sur quelque chose
qui m'a frappe des le debut.
C'est le fait
que M.Miyazaki se soit...
se soit inspire dans pratiquement
tous ses films fantastiques,
de l'Europe et de mythologie
ou d'espaces europeens,
que ce soit l'Italie
a travers Porco Rosso.
ou une espece d'Alllemagne idealisee
a travers Kiki la petite sorciere
et Le Chateau,
et meme dans Nausicaa
ou ce pourrait etre la Finlande...
C'est une perception de l'Europe
qu'on sent tres lointaine,
idealisee et sympathique,
amoureuse,
un peu comme nous
quand on regarde le Japon.
Par contre,
j'ai trouve que des films comme
Totoro, Princesse Mononoke
et Le Voyage de Chihiro,
d'un seul coup representent...
une rentree chez soi
qui est tres emouvante aussi.
Et j'aime les deux.
J'adore ca.
Je trouve que ca remet
la planete a l'endroit.


メビウス:
もし良ければ、ちょっと聞きたいことがあるんです。
僕があなたの作品を昔から見続けてきて、
一体何にこんなに感動するんだろう、って考えてみたんですよ。
それはつまり、
宮崎さんの作品が、そう、あなたのファンタジー映画のほとんどすべてが、
ヨーロッパの文化や神話、
あとはヨーロッパの風土なんかに、
インスピレーションを受けているということ。
たとえば、
『紅の豚』がイタリアにインスピレーションを受けているとか、
『魔女の宅急便』や『ルパン三世 カリオストロの城』で、
観念化された形ではあるけれども、ドイツの風土が描かれていること、
そして、『風の谷のナウシカ』が、
あれはたぶんフィンランドあたりを意識しているんじゃないかと思うんですが、
そういったヨーロッパのイメージというか、
僕たちからすると実情からはかけ離れているようなヨーロッパのイメージ、
観念化されていて、美化されている、
良いイメージが描かれていますよね。
それはたぶん、僕たちが日本の姿をイメージするときと
結構似ているんじゃないかと思います。
ところでそれとは反対に、
『となりのトトロ』や『もののけ姫』、
『千と千尋の神隠し』などになると、
こんどは一挙に、原点回帰をするようになるでしょう?
それもまた僕は大好きなんですよ。
どちらも大好きだ。
すばらしい事だと思います。
僕は、そういういったことが、
この世界を、より良い方向へ向かわせるんじゃないかと思うのです。
 *『ルパン三世 カリオストロの城』について、
 訳文にいまいち確信の持てない点があるので、
 下記の《補記》を参照してください。

宮崎:
もちろん自分のなかに、
マイナスの部分や冷たい絶望的なものはたくさん持っていますが、
絶望的なことや悲観的なことはいっぱい持っていますが、
子供達が観るであろう映画に、
それを盛り込もうとはあまり思っていません。
むしろ、どういう風にすれば明るい映画がつくれるのか、
自分が明るい気持になれるのか、
それを一生懸命考えます。

C'est bien!
すばらしい!
 *この部分は「tres bien」(トレビヤン、素晴らしい)と
 言っているように聞こえます。あまり自信はないんですが。


《補記》
宮崎駿作品の海外展開については、以下のサイトを参照しています。
● 「くろねこ亭」(ジブリアニメの海外進出情報を提供するページ)

◆ その「城」は空にあるのか地にあるのか?
さて今回の問題は、メビウスの発言中、
僕が『ルパン三世 カリオストロの城』と訳しておいた一節にあります。
ここは原文では「Le Chateau」とだけしか言われていなくて、
これをどう訳したものか迷っています。
この部分は、字幕では
「Kiki la petite sorciere et Le Chateau」
(直訳すると、「『キキ 小さな魔女』と『城』」)
とされていますが、
実際には
「Kiki et Le Chateau」と言っているように聞こえます。
(直訳すると、「『キキ』と『城』」)
いずれにせよ「Le Chateau」とだけしか言われていなくて、
この語は、「シャトー」と言えば分かってもらえると思いますが、
フランス語で「城」という意味の語です。
宮崎駿作品で「城」と言えば、
『ルパン三世 カリオストロの城』と『天空の城ラピュタ』があるでしょう。
さすがに『ハウルの動く城』はここでは除外して良いと思います。
 ↑記事をアップしてから改めて思ったのですが、
 『ハウルの動く城』の可能性もあながち捨て難いような……。
 フランスとドイツの国境の街がモデルになっていることが知られています。
 う~ん、困ったな……。

◆ メビウスは『ラピュタ』も『カリオストロ』も観ているのか?
『天空の城ラピュタ』のフランス版のタイトルは、
「LE CHATEAU DANS LE CIEL」(天空の城)であることが、
「くろねこ亭」さんの記述から知ることが出来ます。
● 「くろねこ亭」内「ラピュタ世界公開のページ」
『ルパン三世 カリオストロの城』に関しては、
僕が見たかぎりでは、「くろねこ亭」さんのなかでは、
仏版のタイトルについての記述を見つけることは出来ませんでした。
いまパリで開かれている「宮崎駿―メビウス」展の公式サイトによると、
「Le Chateau De Cagliostro」(カリオストロの城)と
表記されていることが分かります。
● 「宮崎駿―メビウス」展公式サイト
● 上記公式サイトの該当箇所の和訳(当サイトの記事です)
また、『天空の城ラピュタ』については、
メビウスが実際に観たことがある、ということを
メビウス本人の発言から確認することが出来ます。
● [宮崎駿とメビウスの対談
『ルパン三世 カリオストロの城』については、
メビウス本人の発言等、
観たことがある、と確実に言い切れるだけのソースは、
僕の知る限りではありません。
ただし、メビウスは、たとえば
自分の娘に宮崎駿作品のヒロインの名前をつけるくらいに
重度の宮崎駿ファンですし、
上記の対談記事のなかでも、
手紙のやりとりをしたり、
『となりのトトロ』のビデオを宮崎駿から送ったり、
といった発言があるので、
当然、観たことがあると考えておいて良いと思います。
いずれのタイトルにも「Le Chateau」という語が含まれるので、
これだけではどちらかに絞ることは出来そうにありません。

◆ ドイツのイメージとロケーションハンティング
となると、メビウスが「観念化されたドイツの風土」
(une espece d'Alllemagne idealisee)が描かれている、
と発言していることが、唯一の手掛りになるのではないかと思います。
『天空の城ラピュタ』は、製作にあたって
イギリスのウェールズ地方でロケハンが行われたことが知られています。
(「ロケハン」というのは、製作の参考にするために、
 映画のモデルになりそうな場所の調査をすることです)
● 「ウェールズへの招待」内「天空の城ラピュタ」
● 「高畑勲・宮崎駿作品研究所」内「宮崎駿の創作論」
一方、『ルパン三世 カリオストロの城』については、
ロケハンについてはあまり話題にのぼることがない一方で、
劇中のカリオストロ城が、
ドイツのノイシュヴァンシュタイン城にそっくりだと言われることが、
よくあるように思います。
● 「ニューシネマパラダイス」内「第2回」
● 「ニゴの海外旅行記」内「Germany」
ただし、カリオストロ城のイメージについては、
たとえば下記のようなページもあって、
一概にドイツと言い切ることも出来ないようにも思います。
● 「旅ノススメ」内「遺跡ノススメ」
  同じページ内にノイシュヴァンシュタイン城の項目が立っているにも
  かかわらず、フランスのモン・サン・ミッシュエル城こそが
  カリオストロ城のモデルだとされています。
● 「日本の正しい映画の見方を教える市民の会」内「#48:2001年6月12日」
  スペインのアルカサル城が一番よく似ている、とされています。
さらに、
『天空の城ラピュタ』に出てくる武器がドイツ軍のものを想起させる、
とされている発言などもあったりましす。
● 「究め! 天空の城ラピュタ」内「ミリタリーラピュタ」

◆ 結局、『カリオストロ』としておきたい
結局、あくまでメビウスがどう感じたか、という問題なので、
確実な根拠などは出しようがない問題ですし、
そもそも実際には「城」とだけしか言われていないのですから、
どちらともとれる曖昧な発言として、
「城」とだけ訳しておくのが一番良いとも思います。
メビウスの発言そのものが、
日本人のヨーロッパ観とヨーロッパ人のヨーロッパ観はぜんぜん違う、
というような趣旨の発言だったりするので、
僕たち日本人がどう感じるか、というのも、
信じすぎるのは危険でしょう。
ただ、やはりできれば具体的な作品を当てて訳しておいたほうが
読む側にとって分かりやすいだろうし、
メビウスも頭のなかでははっきりとどちらかの作品を想定して
「城」と言っているのでしょうから、
ここは、劇中の城そのものがドイツの城に似ているという意見の多い、
『ルパン三世 カリオストロの城』を採っておきたいと思います。
僕自身も、『カリオストロ』のほうがドイツのイメージに近いと思います。
できれば確実な根拠となり得るようなものを
教えてくれる人がいないかなぁ~、なんてことを考えながら、
訳注として付記しておくことにしました。

《補記の補記》
ここは、「城」と名のつく作品が三つもあるのにも関わらず、
ただ「城」と言うだけで話が通じる、とメビウスが思っている、
ということを重視したいと思います。

ただ「城」と言うだけでは、
『ルパン三世 カリオストロの城』
『天空の城ラピュタ』
『ハウルの動く城』という
三つの作品のうちどれを指しているのかすぐには分かりません。
(『ハウルの動く城』のフランス版タイトルは、
 「LE CHATEAU AMBULANT」です。
 蛇足ですが、一部で、この仏版タイトルは直訳すると
 「旅をする城」という意味になる、という意見があるようですが、
 僕はなぜそうなるのかがどうもよく分かりません。
 「LE CHATEAU AMBULANT」は
 原題の「動く城」のとてもうまい訳になっていると思います。
 当然、直訳しても「動く城」だと思います)
ドイツが描かれている、という点を考慮してみても
確定には至らないと思います。
ここで、問題の設定の仕方そのものを変えてみたいと思います。
なぜメビウスはそんな曖昧なものの言い方をしたのか?
だた「城」とだけ言えばじゅうぶん分かってもらえると、
考えていたからではないでしょうか?
この場は、メビウスと宮崎駿が、さっきまで
『ハウルの動く城』について語り合っていた場です。
つまりこの場では、
「城」といえば『ハウルの動く城』だという暗黙の了解が成り立っている
のではないでしょうか。
訳文の訂正は決定稿で行います。




本展関連の他の記事については、
以下の記事を参照してください。
「宮崎駿―メビウス」展関連記事インデックス
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by moebius-labyrinth | 2004-12-26 12:30
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