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ライフログ
返信が遅れてすいません
荒木割りの分析を読んでいただきありがとうございます。
サイトにアップしたての頃はほとんど反応がなかったので、
「やっぱ長すぎたかなぁー、
 内容も複雑だし、
 あーいうのって誰にも読んでもらえないのかも……」
などと隅っこの方でイジけていたので、
ここに来て急に多くの方に読んで貰えるようになって本当にうれしいです。


頂いたご連絡への返信です。
遅れてしまってすいませんでした。
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - その4]のコメント欄参照。


>ばいおさん、showwayさん
僕の書き方が悪かったのですが、
そういう誤解を受けるかもしれないなぁ~と
ずっと気になっていました。
良い機会なのでちょっと付け足してみました。
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - 追記]を読んでもらえると助かります。

 君がッ 読むまで
 殴るのをやめないッ!


>ほふほふさん
……いや、その、えーと、……飛躍のしすぎだと思います。はい。

「フレスコ画の事か?」
「知ってんだよオオォォッ!! 
 国語の教師か うう…うう… うおお おっ おっ
 オメーはよォォォォ」


>novkovさん
出た。あれですか、いま「画角」が来てるんですか。
そんなに「画角」って魅力的なんですか。
みんな「画角」に夢中ですか。
え? ぼく?
し、しし、知ってますよぉー、画角、画角、
いやぁ~画角っていいですよねー、
や、焼いて食べると美味しいですよ、ねぇ~、ははっ。

 管理人は…
 管理人は 本当はまじめに答えようとしているのかもしれない…
 それも… 街のゴロツキ相手ならいい…
 しかし! この訪問者に対しては完全にういてしまっている
 遠吠えする負け犬のように
 悲しいほどこっけいに見えるッ!


>泥坊主さん
やばい……、適当に数えたのがバレる……。

 フン! くだらんな~~~~
 荒木割りの正確な数なんてな~~~~~~っ
 この管理人の目的はあくまでも「おおまか」!
 あくまでも「てきと~」にやること!!
 学者のような研究者になるつもりもなければ
 評論家でもない……
 どんな手をつかおうが…………最終的に…
 
 面白ければよかろうなのだァァァァッ!!



>ドブチさん
おお! ありがとうございます。
じつは荒木飛呂彦のインタビュー類は
ほとんどまったくチェックしていないので、
問題のインタビューもまったく知りませんでした。
(さらにじつは、
 『ジョジョ』も全巻そろえていなかったりして……)
こんど図書館に行ってバックナンバーをチェックします。

くわしくは[荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - 追記]を
参照していただきたいのですが、
今回の分析については、
そもそも作者の意図は関係ないと考えています。

また、じつは丸ゴマについても分析したいと考えていて、
アイデア自体はあるのですが、
文章にまとめるまでには至っていません。
まだ詳しくはいえないのですが、
「見えない角度にいる人物の表情を説明するのに使う」というのは、
丸ゴマが孕(はら)んでいる可能性のごく一部でしかない、
というのが僕の考えです。

さらに、
オノマトペの「ゴゴゴ」とか(いま用例を採っているところです)、
第六部の時が一巡するネタだとか、
見開きページぶち抜きのコマの更なる可能性とか、
カメラ位置の分析だとか、
日本の「漫画」とメビウスのベデの比較とか、
もぉー、とにかくアイデアだけはたくさんたくさん有るのですが、
文章にまとめる時間がとれなくて悔しい思いをずっとしています。

みなさんに褒めていただけること自体は非常に嬉しいのですが、
じつは結構だましだまし書いた考察なので、
こういったツッコミは本当にありがたいです。
今回いただいたコメント類のなかでもっとも嬉しいものでした。
ともあれインタビューはチェックせねば。
(『ジョジョ』も全巻そろえねば)

 ドブに捨ててあったブチ猫さんッ!
 あなたの命がけの行動ッ!
 ぼくは敬意を表するッ!


>おしんさん
人生を狂わされたクチと見た。

 「次のおまえのセリフは
  『なんで人生のことがわかったんだこの野郎!』という!」
 「なんで人生のことがわかったんだこの野郎! ハッ!」


>ばばさん
興味深いご指摘ありがとうございます。
じつは荒木割りの確認は第五部までしかやっていません。
第六部以降は単行本を持っていないんです。
さっそくSBR第1巻を買ってきました。
たしかにご指摘のとおり、
8p(#1見開き扉絵の次ページ)と
39p(#1スティールの・ボール・ランの記者会見の開始場面)
(微妙な例として89p - #2最終ページ)
以外に荒木割りは無いようです。

ひとまず思いついた説明としては以下の二つです。

1, 統合/拡大ルールによって判別が困難になったから
統合/拡大ルールよって外線がページの端をはみ出てしまうと、
ななめルールと荒木割りの判別が付かなくなってしまいます。
SBRはこういった例が非常に多いように思います。
ほとんどのコマが基準線をはみ出てしまっているため、
ページ数がほとんど振られていません。
(ページ数が振られているのは121pのみ)
“ページ全体が傾く”効果があがっている例は結構あるように思いますが、
(84~85p - スリが自分に拳銃を向ける場面、
 152~153p - #4最終ページ、
 173p - アブドゥルがジャイロに二度目の体当たりをする場面、
 174~175p - ジャイロが馬上から鉄球を投げる場面、など)
前述のとおり外線がないので判別がつきません。
ページ全体が傾く効果があがっているか否かは主観的な判断を免れないので、
他人に検証可能なかたちで分析するためには
あくまで外線の性質に拠らなければなりません。
(第五部以前も、同様の例は荒木割りとしてはカウントしていません)
判別不能な例が多いため、
見かけ上の荒木割り数が減ってしまっているのかも知れません。

2, 時の一巡によってシリーズが一旦リセットされているから
第六部の最後で作中時間が一巡し、
SBRではシリーズが一旦リセットされています。
このことと荒木割りの減少が関係しているのかも知れません。
統合/拡大ルールによる荒木割りの判別不能化以前に、
全体的に定型的なコマ割りが多いように思います。
作者が意図しているのかどうかは分かりませんが、
この“シリーズのリセット”が、
“コマ割りのリセット”としても働いているのかも知れません。
ただし、このことを説得的な分析として述べるためには、
そもそも時の一巡ネタとは何なのかを分析する必要があります。
上記のドブチさんへの返信でも触れたとおり、
じつはこの問題についてもアイデアだけは思いついているのですが、
残念ながら文章にまとめるまでには至っていません。

1はそもそも検証不能なアイデアなので、やはり2でしょうが、
いずれにしろ、少なくともSBRが完結するまでは何も言えない、
というのが現状です。
ともあれ、ご指摘自体は本当に助かりました。

 こんなもんで
 あぁ~~イイッすかねェェェェェーー~ と


>俺の名は(ryさん
あー、いや、じつは「ペイジ」は単に表記のゆれです。 ビン
好きな作家がそういう書き方をするので引きずられました。 ビン
書いてから「しまったなぁ~」と思っていました。 ビビン

 管理人になど
 誇りある我が名を
 教える必要なし! パバァーーッ


あと、荒木飛呂彦のファンの方には
次の記事も楽しんで貰えるのではと思います。
エンキ・ビラルと荒木飛呂彦 ~リトル・フィートは誰がつくったか?


┏━┓
┃め┃「メビウス・ラビリンス」管理人
┗━┛
サイトの更新自体は停止してしまっているので、
ご連絡をいただいても返信できないかもしれません。
(ごめんなさい)
あらかじめご了承ください。
# by moebius-labyrinth | 2007-05-20 08:11 | - 番外篇 -
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - 追記
荒木飛呂彦のコマ割りの原理]の追記です。
作者の意図は関係ない、ということを確認します。

 ◆ 作者の意図は関係ありません
僕の書き方が悪かったのですが、
誤解を避けるために付け加えておきたいことがあります。

荒木割りに関する僕の分析結果は、
荒木飛呂彦本人が意図しているものではない
と思っています。
もしかしたら「ページ全体を傾ける」という方法論自体は
自覚しているのかも知れませんが、
少なくとも初期の例では、
無意識のうちに荒木割りが試みられているはずです。
意図的にやっているにしては微妙な例が多すぎますし、
第三部における荒木割り数の分布にもムラがありすぎます。
おそらくは“斜めルール”の極端な例として
自然発生的に荒木割りが現われるようになって、
それが多用されるうちに、
しっかりとした方法論の自覚のないまま定着していった
のではないでしょうか。

その4]コメント欄でのドブチさんのご指摘についても同様です。
(ご指摘自体は非常に助かりました。ありがとうございます)
荒木飛呂彦本人がどう考えているかは根拠にはならない
僕は考えています。
じつは、
「絵のカタチにあわせてコマを変形させてる」というアイデア自体は、
分析を始めたばかりのころに僕も思いついていたものなのです。
しかし、その原理では荒木割りを説明しきれません
単『ジョジョ』第30巻28~30ペイジ
人物の傾きの方向とコマの傾きの方向の関係に注目してください。
28ページ1コマ目では、人物がコマの対角線にほぼ重なっています。
コマもその対角線に沿って
右斜め上に向けて引っぱられたように変形しています。
(人物の傾きの方向とコマが引っぱられる方向が同じ)
しかし28ページ最終コマはどうでしょうか。
人物は左に向けて傾いているにも関わらず、
コマは左下に向けて引っぱられています。
(人物の傾きの方向とコマが引っぱられる方向が直交している)
28ページ2コマ目の上の枠線が左肩上がりに割られているのは、
二人の身長差を反映しているのでしょうか。
しかしもしそうだとしたら、30ページ3コマ目で、
遠近法の関係で見かけ上の二人の身長が同じになっているにも関わらず、
上の枠線が右肩上がりに割られているのは何故なのでしょうか。
さらに、ドブチさんも指摘してくれたように、
1ページぶち抜きのコマになると問題は決定的です。
文『ジョジョ』第17巻60~61ペイジ
左右のページで絵がほとんど同じであるにも関わらず、
コマの形は左右対称になっています。
さらに多くの例を分析してみると分かるのですが、
「絵のカタチ」に対するコマの向きのバリエーションが
あまりにも多すぎて

ぼくは結局、
絵とコマとは関係ない、という結論を出さざるを得ませんでした。
(その次に僕が思いついたアイデアは
 「効果線のような効果をねらったコマ割り」だったのですが、
 これも荒木割りの分析には適用できませんでした。
 手塚治虫がそのようなコマ割りを使っていると思います)

作家がつねに自分の方法について自覚的であるとは限りません
とくに、革新的な技法というものは、
むしろ無意識のうちに実行されるものなんじゃないでしょうか。
未開の領域を手探りで進むからこそ革新的な技法になり得るわけだし、
だからこそ作家は、みずからの方法を十分に理論化できない、
と僕は思うのです。
結局、
荒木飛呂彦は自らの言葉どおりに漫画を描いているわけではなくて、
そもそも作家本人にいくら訊いてみても創作の秘密は明かされえない、
というのが僕の考えです。
むしろ、
作家が無意識のうちにやっていることを明確化したい、
作家が自ら語る以上に面白く作品を読んでみたい、
作家が思いも付かなかったような新しい可能性を
作品から引き出してみたい

というのが僕の願いです。

 ◆ 『カリガリ博士』は単に形が似ているだけです
もしかしたら荒木割りのお手本にした先行例があるのかも知れませんが、
僕は見つけることが出来ていません

僕なりに色々と調べてはみたのですが、
形が似ている例として『カリガリ博士』を挙げ得たのみです。
ウィキペディア日によると荒木飛呂彦は映画好きだとあるので、
● ウィキペディア日内「荒木飛呂彦>人物」
有名な古典映画である『カリガリ博士』を知らないはずがありませんが、
『カリガリ博士』のアイリスショットが
荒木割りの直接のヒントになっているわけではないでしょう


 ◆ 『第三の男』は絵が傾いている例です
● はてなブックマーク > メビウス・ラビリンス : 荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - あなたは今どんな姿勢でモニターを見ているのか?
halfstory 映画で言うと、『第三の男』みたいな斜め構図も近いかも。

うをー、それそれ!
興味深いご意見ありがとうございます。
確かにそうなんですよね、
観客の平衡感覚を狂わせる働きをする、という点では
『第三の男』の斜め構図も同様だと思うのです。
ただ、あれは「絵が傾いている例」だと判断しました
微妙な差で、判定もむずかしいのですが、
あれは枠ではなく絵が傾いている例だと思うのです。
([その4]掲載の「絵を傾けるか枠を傾けるか」という画像を
 参照してもらえると助かります。あと、この下の「補足説明」も)
たしかに、撮影している段階ではカメラを傾けているはずなんですが、
出来上がった映画をスクリーンで観る段階では、
傾いているのはあくまで絵なのであって、
スクリーンではないはずです。
絵はそのままで枠だけ傾けるのが荒木割りで、
枠はそのままで絵だけが傾いているのが『第三の男』です

荒木割りは絵を傾ける必要がないからこそ、
あそこまで多用できるコマ割りになり得たわけです。
何はともあれ、ご意見自体は非常に助かりました。
 *『第三の男』を知らない人のための注:
 『第三の男』は非常に有名な古典映画です。
 わざとカメラを斜めにした構図を多用している映画でもあります。
 ● ウィキペディア日内「第三の男」
 ● 「週刊シネママガジン」内「フィルムロジック>Chapter 15 構図」
   僕が「枠はそのままで絵だけが傾いている」と分析した場面の画像が
   挙げられています。
   リンク先では「映像のフレームが傾いている」とされていますが、
   これは用語法が僕のものと違うだけで、
   僕の分析手順に従うなら、
   あくまで「絵だけが傾いている」例として分析されるはずです。

 ◆ 補足説明:絵と枠の傾きに関する五つの類型
“絵”と“枠”の二つの要素をそれぞれ別個に傾けることが出来る
“絵”と“枠”
この二つの要素の傾き加減の組み合わせによって、
つぎの五つのタイプが生まれる。
1 絵も枠も傾けない(普通のコマ割り、普通の絵画など)
絵も枠も傾けない
2 絵だけを傾ける(『第三の男』)
絵だけを傾ける
3 枠だけを傾ける(荒木割り、『カリガリ博士』)
枠だけを傾ける
4 絵も枠も傾ける(傾けて掛けられた絵画など)
絵も枠も傾ける
5 絵と枠の傾き加減が違う(該当例思い当たらず)
絵と枠の傾き加減が違う
荒木割りの分析だけなら1~3のタイプだけを考えればよい。
2と3は、垂直方向の違いを考慮しないなら同じものと見なすことが出来る。
(上記の画像例も、2を右に15度傾けると3と一致するように作ってある)
観客(読者)の平行感覚を狂わせる働きをするという点も同じである。
ただし、垂直方向の違いを考慮するなら2と3はあくまで違う例だし、
この違いを考慮しないと、
荒木割りとその他のコマ割りの区別が付けられなくなる


実際には4や5に該当する例も見られるが、
(上記の単『ジョジョ』第30巻28ページ1コマ目は4、
 28ページ最終コマは5に該当する)
これらは「枠を傾ける」という性質で一括して、
すべて荒木割りに分類すれば良いだろう。
荒木割りの本質的はあくまで「枠を傾ける」だからである。
絵と枠との関係は考慮する必要がない。
その結果、
1,2(普通のコマ割り)と3,4,5(荒木割り)の二種類を分類するだけで済む
「絵のカタチにあわせてコマを変形させてる」
という原理で説明しようとすると、
上記1~5をすべて異なる例として分類しなければならず、
分類が必要以上に煩雑になってしまう。
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - 追記_b0012291_19435744.jpg



◆ 「この例は絵の内容と関連している!」と思ったあなたへ
荒木割りの考察を読んで頂きありがとうございます。
荒木割りの例を見ていて、
「この例は絵の内容と関連している!」と思った方は、
コメントを投稿する前に、次の問題を考えてみてください

手短に説明するなら、
今あなたが思いついた原理を他の例にも適用してみて下さい
 ほぼ全ての荒木割りに適用できるなら、
 ぜひともご連絡ください。
 (メールの場合は当サイト上に転載することがあります)
 他の例に適用できなかった場合は
 あなたと同じことを思いついている人がすでに沢山います。
 コメントをいただいても返答できません。」
ということになります。

では、
より詳しい説明を「議論の反復を避けるために」にまとめてみましたので、
参照していただけると助かります。

 ◆ 議論の反復を避けるために
おかげさまで、
僕の考察に対してさまざまなご意見を頂けるようになりました。
意見をいただけること自体は本当にうれしいのですが、
僕はその意見を参考にして、
議論をさらに前に進めて行きたいと考えています。
議論の反復を避けるために、
以下の三点をあらためて強調させてください


 1,コマの形は絵の内容と関連していなくても良い。
 2,作者の意図を最重視する必要は無い。
 3,一部の例だけではなく、
  ほぼ全ての例を統一的な原理で説明できなければならない。


「コマの形は絵の内容と関連していなくてはならない」
「作者の意図は絶対である」
というは、
多くの漫画読者が共有している非常に強力な固定観念だと思います。
しかし、多くの荒木割りを分析してみた結果、
僕は、
この固定観念を捨てないかぎり荒木割りを分析することは出来ない、
という結論を出さざるを得ませんでした。
たしかに、
個々の例について、
そのつど絵の内容と関連させて、
コマの形を説明することは可能
なのです。
しかしそれだけでは僕の説に対する反論にはなり得ません。
荒木割りの原理を解明するためには、
一部の例だけではなく、
全ての例を統一的な原理で説明する必要があるはずです。
実際に分析をしてみるとどうしても微妙な例が出てくるので、
「全て」というわけには行かないでしょうが、
ほぼ全ての例を統一的な原理で説明できないかぎり、
反論として認めるわけには行きません


誤解していただきたくないのですが、
僕の説に対して反論するな、と言いたいわけではありません
たとえば、
「絵の内容との関連から、
 一部ではなくほぼ全ての荒木割りを、
 統一的に説明できる原理を思いついた」
というご意見なら、むしろ大歓迎です。
しかし、
一部の例だけを取り上げて、
「この例は絵の内容と関連している」
というだけでは反論にはなり得ません。
そしてそういった意見に対して、
そのつど同じ返答をくり返すことは僕には出来ないのです。

また、念のために先回りしておきたいのですが、
絵の内容との関連から、
個々の例をそのつど違う原理で説明したうえで、
「すべての例を絵の内容との関連から説明できる」
とする反論も認めるわけには行きません。
ほぼ全ての例を“統一的な”原理で説明できてはじめて、
荒木割りを解明したと言い得るはず
です。

僕の考察を検証していただけること自体はうれしく思っています。
(僕の提案した問題を一緒に考えてくれる、というのは、
 いただける反応のなかでも特にうれしいものです)
議論の反復を避けるように配慮していただけると、
さらにうれしく思います


なお、
議論の進展にしたがって、本章を増補するかもしれません。



あ、あと、そのぅ、
ここはあくまでメビウスのファンサイトなので、
メビウスの方もよろしく、とか言ってみたりして……。



┏━┓
┃め┃「メビウス・ラビリンス」管理人
┗━┛
サイトの更新自体は停止してしまっているので、
ご連絡をいただいても返信できないかもしれません。
(ごめんなさい)
あらかじめご了承ください。


◆ 返信はもう出来ません
● [その4
● [追記
 *両記事へのSTさんからコメント参照。

書いた本人ですら、
「すでに過去のものであって、もはや顧みられるべきものではない」
と考えていた本考察に、
いまだにこうやって反応を頂けることに驚いています。

ただ、サイト上ですでに告知しているような理由から、
詳しく返信することは出来ません。
「そういう反論をあらかじめ予想していたからこそ、
 『その4』で展開した『ジョジョ』第三部の分析をしているのだ」
というのが僕からの返信の骨子なのですが、
詳述するだけの時間は取れません。

さすがにこれ以上責任が取れそうにないので、
本考察に関するコメントやトラックバックに、
僕から返信することはもう出来ない

とここで明言しておきたいと思います。
きりがなくなってしまうので、
これ以降の、本考察へのコメントとトラックバックは、
見つけ次第削除することにします

遺憾ながらメールもチェックしなくなって随分経つので、
メールを頂いても僕が読むことはないと思います。

当サイトの記事は非商用なら無断で転載していただいて構いませんので、
どうしても本考察について発言したい方は、
自分のサイトに本考察を転載したうえで、
僕とは違う人に向かって自分の考えを問うて下さい

このサイト自体は可能なかぎり公開しておくつもりなので、
転載せずにリンクだけでも構いませんし、
もちろん引用して頂くのも自由です。

自分の考察にいまだに反応を頂けること自体はとても嬉しいですし、
光栄にも思っています。
くわしく返信できないのが残念でなりません。




荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - もくじ
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - その1
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - その2
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - その3
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - その4
荒木飛呂彦のコマ割りの原理 - 追記
# by moebius-labyrinth | 2007-05-20 07:40 | - 番外篇 -
追加『メトロポリス』:メトロポリスはクリミアにある
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の追加記事です。

メトロポリスはクリミア(東ヨーロッパ黒海にある半島)にあるようです。
32:38
ジグラットから太陽に向けて光線が発射される場面で、
宇宙から地球を望む絵が映されますが、
これは東ヨーロッパ黒海沿岸を東上空から眺めた絵であるようです。
● 「グーグル・マップ」内「黒海沿岸」
● ウィキペディア日内「クリミア半島」
追加『メトロポリス』:メトロポリスはクリミアにある_b0012291_8355316.jpg

ということで
メトロポリスの所在地自体はクリミア半島で間違いないと思うのですが、
クリミア半島に映画の内容と直接かかわりのありそうな事柄は
見つけることが出来ませんでした。
これまではメトロポリスの所在地をマンハッタンに比定してきましたが、
その見方は改める必要があるようです。
(ただし、
 メトロポリスに複数の都市のイメージが重ね合わされていること自体は
 間違いないと思うので、
 マンハッタンもそのようなイメージのひとつとして捉えておけば
 良いのでしょう)
クリミア半島の歴史なり何なりを参照すれば、
この作品の新たな観方を提案できるはずだとは思うのですが、
残念ながら今そこまでの余裕はありません。


あーもう、更新しないって言ってたのに……。
これが最後これが最後。
# by moebius-labyrinth | 2007-03-10 09:01 | メビウスの子孫たち
「BRUTUS」のメビウスのコメントは立ち読みでOK
雑誌「BRUTUS」2007年1月1日・1月15日合併号(第28巻第1号、No608)に、
メビウスのコメントが掲載されています。


◆ メビウスはどうでもいい、大友克洋が漫画を描いた!

 ◆ 「BRUTUS」の綴じ込み付録
● 雑誌「BRUTUS」公式サイト
● 同上内「最新号情報」
● 同上内「ピックアップ」
● 同上内「バックナンバー一覧」
● 同上内「バックナンバー常設店リスト」
雑誌本体ではなく、
「別冊特別付録 WHO IS KATSUHIRO OTOMO? 大友克洋 新解説」
という綴じ込み付録に、メビウスのコメントが掲載されています。
28ペイジにメビウスのコメントが掲載されているほか、
33ペイジの大友克洋のインタビューのなかでも
メビウスについて言及されています。
ただし、
いずれも量が少なく、特に目新しいことも述べられていないので、
(メビウスのコメントだけが目的なら)
立ち読みで充分だと思います。

 ◆ メビウスがはじめて大友作品を読んだ時期
個人的に気になったところをメモしておきます。
[初めて大友作品を体験したのは]1984~85年頃。

 初めて手にした大友氏の作品は、当時住んでいたロサンジェルスの書店で見つけた『さよならにっぽん』でした。

メビウスは1984年から1988年にかけて
アメリカに移住して活動していました。
はじめて大友作品を読んだのは1984~1985年頃とありますが、
ほぼ同じ時期に宮崎駿の作品(『風の谷のナウシカ』の海賊版ビデオ)も
はじめて観たことが分かっています。
● [メビウス、宮崎駿に出会った時のこと:「CineLive」:《付記》
ちょうど日本でも、
メビウスをはじめベデが積極的に受容されていた時期です。

 ◆ メビウスと大友克洋が実際に会った時期
大友氏とは3回ほどお会いして、お互いに親交を深めました。

メビウスと大友克洋がはじめて出会ったのは、
おそらく1991年ではないかと思います。
● [メビウス&大友克洋対談記事:「OTOMOEBIUS」1>注8

その後、
メビウスの作品が映画化される企画に大友克洋が参加したことがあるので、
おそらくこの時に1回会っているのではないかと思います。
この映画は『The Airtight Garage』という題名で、
1995年のクリスマスの公開を目指していたものの
けっきょく頓挫してしまったので、
90年代前半に会っているということになるでしょう。
● [メビウス&大友克洋対談記事:「OTOMOEBIUS」1>注7

3回目に会ったのは2004年9月7日です。
● [大友克洋「スチームボーイ」展とメビウス

僕の調べたかぎりでは
上記の3回以外に実際に会ったという情報はないので、
これでメビウスのコメントどおり「3回ほどお会いし」たということに
なるのでしょう。


なお、コメントの最後の人物紹介欄に
『デューン 砂の惑星』の製作に参加したとありますが、
メビウスが参加した映画は
『デューン 砂の惑星』(デイヴィッド・リンチ監督)ではなく、
アレハンドロ・ホドロフスキー監督の『DUNE』(映画化は頓挫)です。
● ウィキペディア日内「デューン」
● [バイオグラフィー訳案14


雑誌本体なんか要らないから、綴じ込み付録だけ売ってくれ!


「BRUTUS」の情報は、
当サイトの訪問者、真さんから教えていただきました
ありがとうございました&返信がおくれてすいませんでした

# by moebius-labyrinth | 2007-01-13 14:52 | メビウスの子孫たち
私信:「ANIMELAND」12号の大友克洋インタビュー抄訳

 ◆ 他の人のための注
本記事は、当サイトの訪問者の真さんに宛てた私信ですが、
興味深い内容なので公開することにします。
フランスの雑誌に掲載された大友克洋のインタビューの抄訳です。
残念ながら完訳をつくる時間は取れません。
メモ程度の抄訳です。
とくに重要だと思われる箇所(および、訳に自信のない箇所)は
原文を提示しておきます。
ちゃんとした訳をつくってくれる人が出て来てくれることを願います。
インタビューの元記事の画像を僕が再配布することは出来ません。
どうしても元記事を参照したい方は、
自分で入手して自分で訳すことを考えてください。
フランスのアニメ専門誌「Animeland」の12号(93年10-11月号)に
掲載されているインタビューです。
この件に関して僕が質問に答えることは出来ません。
また、この件で真さんを困らせるようなこと(画像の配布を迫る、など)は、
絶対に止めてください。
なお、ここで述べられている「最新作」等は、
あくまで93年当時のものであることに注意してください



Katsuhiro Ôtomo parle !
大友克洋インタビュー

・表題の下に書かれている文章は大友克洋の紹介文。
「son recent voyage à Barcelone」
(大友克洋が最近バルセロナに来た際)にインタビューが行われた、とある。

質問:
『AKIRA』誕生秘話を教えて。

大友:
大人向けの雑誌を創刊する企画に合わせて誕生した。
まったく新しい「漫画」が求められていたので、
『AKIRA』のアイデアはまさに理想的だった。
第一話(sa pagination prévue)は200ペイジだったが、
幸いヒットして、読者の期待も高くなっていたので、
最終話(sa conclusion)の掲載は遅れてしまった。
結局全六巻になって、2000ペイジを超えるボリュームになった。
どこにでも居るような男の子を主人公にして、
彼が未知の世界に分け入ったり、
超能力の実験をしている政府組織と渡り合ったりする話を描こう、
というのが大本のアイデアだった。

質問:
アシスタントとはどのように仕事をしているのか?

大友:
En réalité, il n'existe pas de vraie subdivision,
étant donné que j'exécute tout le travail principal.
じつはアシスタントは使っていない。
ほとんど一人で製作している。
Tout simplement, il y a deux assistants pour les retouches finales.
最後の仕上げのためのアシスタントが二人いるだけ。
一人はスクリーントーンの貼り付けを担当していて、
もう一人(Steve Oliffという名のアメリカ人)は彩色を担当している。
スティーブはさらにアシスタントを雇っているが、
彼らが仕事に加わっているかどうかは僕は知らない。

質問:
『AKIRA』は日本の「漫画」の典型的なストーリーから逸脱している。
最初読んだときは日本の「漫画」だとは信じられなかった。
物語の構成の仕方についてはどう考えているか。

大友:
なにか変なものを創ろうと思って『AKIRA』を描いたわけではない。
自然とそうなっただけだ。

質問:
あたらしいアニメを制作する予定はないのか?

大友:
題名は決まっていないが、いま新しいアニメを制作している。
三つのエピソードから成る映画だ。
漫画版はスペインでもすでに出版されていて、『Memories』という題名だ。
僕の短編をアニメ化する。
日本では講談社から『彼女の想いで…』という題で出版されている。
他の二編は映画のために新たに創られたものだ。

質問:
Il me semble avoir lu dans une interview datant de l'année dernière
que le scénariste chilien Alexandre Jodorowsky a affirmé
vous avoir suggéré la fin d'Akira lors d'une fête.
たしか去年のインタビューで、
チリの原作者アレハンドロ・ホドロフスキーが、
休暇中に、『AKIRA』の最後についてあなたに示唆を与えた、と
はっきり言っていたと思う。
それは本当なのか?
あたらしい漫画を描く予定はないのか?

大友:
En vérité, la fin d'Akira était déjà décidée depuis le début.
『AKIRA』の最後は最初から決まっていた。本当だ。
『Mega Next Walls』という題名の漫画を描くつもりだ。
(インタビュアーの注:大友の発音がはっきりしなかったので、
 この題名については自信がない)
日本とフランスで同時発売される予定だ。
スペインでも出版しろってことなら言ってよ。
作者がここにいるわけだからさ(笑)。

質問:
「空間」や「視点」「奥行き」といった概念は、
あなたにとってどれくらい重要か?
建築家の資格を持っているんじゃないのか?
[訳者注:大友克洋の超絶的なデッサン力について質問したいのだろう]

大友:
たしかにものすごく重要な概念だ。
未来都市のような実在しないものをリアリスティックに描く場合にはとくに。
Mais en ce qui concerne l'architecture,
je l'ai seulement étudiée, sans obtenir de diplômes.
しかし、建築学については、勉強はしたけど資格はもってないよ。

質問:
『AKIRA』のアメリカ版ではなぜ最終話の刊行が遅れたのか?
スペインやフランス、イタリアといったヨーロッパでも遅れたが?
アメリカ版で修正した点があるのではないか?

大友:
説明しようとすると少しややこしいんだが、
Il y avait un accord avec la maison d'édition Marvel
(qui publie Akira aux USA)
pour publier un tableau mensuel de 60 pages.
『AKIRA』のアメリカ版を出版したマーヴェル社との間に協定があって、
月に60ペイジずつ絵を出版しなければならなかった。
共同出版につきものの問題がいろいろと起こって、
遅れてしまった。
いろいろと修正しなければならない箇所もあった。
おかげで改良できた箇所もいくつかあったけどね。

質問:
大友克洋クラスになると、原稿料はいくらか?
新人のころはいくらだったか?

大友:
Top secret.
トップシークレットだ。

質問:
「漫画」とアニメ、比べるとしたらどちらが好きか?

大友:
うーん、いろいろある表現手段のうちの二つだから、
どちらも好きだね。

質問:
たとえば
『AKIRA』のなかに出て来る武器や監視衛星などで暗示されている
軍国主義というテーマは、日本社会の現実の姿を映しているのか?
それとも単に見栄えが良いからそういったものを登場させているのか?

大友:
そういったテーマを暗示しているわけではない。
それよりも、長年の親友だった二人の人間が離ればなれになる、
という問題が基調になっている。
でも、その問題も最終話で解決する。

質問:
仕事をするときの
「大先生」(«star»)とアシスタントの間の上下関係はどういったものか?
「師匠」(«maître»)と弟子のような関係なのか?

大友:
とくに決まりごとはない。
日本では、出版社と契約して「漫画」を出版すれば
自動的に「先生」(«maître»)と呼ばれるようになる。
僕はそういう風に呼ばれてもあんまり嬉しくないけどね。
講談社では、
漫画の作者のことを普通は「先生」(«sensei»)と呼ぶことになっている。
「«maître»」(メートル、英語のmaster、マスター)に当たる語だ。
でも、仲良くなると「先生」じゃなく「さん」づけで呼ぶようになる。
「«monsieur»」(ムッシュー)に当たる語だ。

質問:
A-t-il jamais été envisagé d'abandonner le travail sur Akira,
alors qu'au contraire vous avez du le continuer
pour des raisons commerciales ?
『AKIRA』の制作を断念しようと思ったことは無いのか?
商業上の理由で制作を続けざるを得なかったとか?

大友:
Oui, je l'ai ressenti ainsi la veille d'écrire la dernière partie.
あるよ。昨日も最後の仕事を仕上げるのを止めようかと思った。
でも、結局止めなかったからこそ、
今こうやって君たちの前に居られるってわけだ。

質問:
Pensez-vous que
le grand succès d'Akira et des manga en Occident soit
dû au fait que les manga ait été dernièrement occidentalisés,
ou bien parce qu'il y a une nouvelle ouverture de l'Occident
envers une forme de lecture différente de celles traditionnlelles ?
『AKIRA』や東洋の漫画の成功は、
漫画が西洋から東洋に伝わってまだ日が浅いことに起因すると思うか?
もしくは、東洋において、伝統的な形式とは違う
あたらしい読書のスタイルが受け容れられたからなのか?
 *原文「une forme de lecture」は直訳するなら
 「読書の一形式、解釈の一形式」という意味。

大友:
J'ai toujours souhaité travailler en Europe,
et j'ai depuis toujours suivi la production trançaise.
Mais je dois dire que, du moins dans mons cas,
mes manga sont typiquement japonais,
bien que j'introduise quelques éléments européens.
ヨーロッパで仕事したいといつも思っている。
ずっと前からフランスの作品に倣(なら)ってきた。
だが、すくなくとも僕のばあいは、
僕の「漫画」は典型的な日本のスタイルだと思っている。
ヨーロッパ的な要素を取り入れることはあるけどね。

質問:
Akira et Legend of Mother Sarah,
vos deux oeuvres les plus connues,
ont été conçues en pensant uniquement à réaliser des BD d'aventures,
『AKIRA』と『Legend of Mother Sarah』という
あなたの最も有名な二つの作品は、
ベデで冒険ものをやったらどうなるか試してみたものだと思う。
他のテーマを手がけてみたいとは思わないか?

大友:
J'y ai pensé en cherchant à les rendre très complexes,
avec beaucoup de références à la société actuelle,
et en particulier à celle japonaise.
たしかにそういうことを考えていた。
そういう作品を、現実の社会、
とりわけ日本の社会から多くの題材を採りながら、
もっと複雑にしてみようと考えていた。
そしてそれを実現するために、大量の登場人物を盛り込んで、
そういった状況を出来るだけ細密に描こうと思っていた。
もちろん一つのテーマだけに拘(こだわ)るつもりはない。
勇者がドラゴンからお姫さまを助けてめでたしめでたし
――なんて物語を描いてるだけじゃ満足できないよ。

質問:
漫画や映画をつくっていて、大きな困難に出会うことはないか。

大友:
漫画と映画では話がまったく違う。
もっとも違う点は、漫画はひとりで描かなきゃならない、ということだ。
漫画を描くときは、困難に出会っても一人で解決しなければならない。
その反面、映画をつくるときは多くの人と共同で仕事をする。
成果も責任もみんなで分かち合う。
それぞれに長所もあれば短所もある。

質問:
なにを描いても『AKIRA』と比べられてしまう、と恐れたことはないか。

大友:
『AKIRA』を描くまえは『童夢』という作品を描いていた。
Quant j'ai fait lire Akira à un Français,
il m'a dit que cela ne lui avait pas plu autant que Domu..
あるフランス人に『AKIRA』を読んでもらったことがあるんだが、
そのフランス人は『童夢』の方が面白かったと言ってた。
新作を描けば、いろいろな評価や反応が返ってくるのは当たり前のことだ。
新作と旧作をくらべてどう言われようが、僕には関係ない。
未来のことしか頭にはない。
 *えーと、念のために確認しておきたいんですが、
 この「あるフランス人」(un Français)って
 メビウスのことではないですよね。
 メビウスは『AKIRA』大好きですから。

質問:
『Mother Sarah』をアニメ化したりはしないのか?

大友:
すぐには無いね。でも考えておくよ。

質問:
Les lecteurs français retrouvent dans Akira
des aspects de leur propre société.
フランス人はフランス人に特有の読み方で『AKIRA』を読んでいるように思う。
ホドロフスキーと組む企画でも、おなじような事は起こるのではないか?

大友:
「漫画」を描くときに読者のタイプを考えることはない。
それよりも作品のテーマに集中するようにする。

質問:
「漫画」の未来についてお聞きしたい。
将来的にはパソコンによる制作が主流になると思うか?

大友:
『AKIRA』では彩色にパソコンを使っている。
外国の出版社に送るために、原稿もデジタル化してある。
個人的には、パソコンは決して主流にはならないと思う。
数ある手法のうちの一つになるだろう。
パソコンはあくまで機械だから、パソコンそのものを問題にしても意味はない。
それを使う人間こそが問題だ。そうだろ?


《追記》
非常に興味深い内容で、個人的にも完訳を作れないのが残念です。
無念。
# by moebius-labyrinth | 2007-01-13 14:50 | メビウスの子孫たち
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