フランスの漫画家
メビウスについて
日々調査してゆくブログ

by moebius-labyrinth
メビウスの似顔絵-クリックで紹介記事へ
宮崎駿や大友克洋にも影響 を与えた、世界的に有名な フランスの漫画家です。
まずはこちらへどうぞ。
基本用語解説
おすすめ記事
タダで読もう
メビウス作品リンク集
メビウスの作品をオンラインで読むためのリンク集。
↓オススメ
Mystere Montrouge
The Long Tomorrow
和訳
毎日すこしずつ和訳を作っています。
『Inside Moebius』
《全画像付き》メビウスの 入門に最適な一篇。洒落た 雰囲気とちょっとシュール なストーリー。メビウスは いかにしてベデを描くに至 ったのか?
『STARDOM STORY』
《全画像付き》スケッチ風 の短篇ベデです。
メビウス「漫画は好き?」
ユニコーン「もちろん!」
『The Long Tomorrow』
《全画像付き》私立探偵のピートは、ドールという美女から仕事を依頼される。しかし彼女が暗殺され、ピートにも追っ手が。はたして事件の真相とは……?
『L'Incal 1』
《全画像付き》メビウスの代表作。謎の物体アンカルをめぐって、私立探偵のジョン・ディフールが冒険を繰り広げます。
メビウスが動く
メビウス作のアニメを、
タダで見よう。

『アルザックラプソディ』
『時の支配者』
『MOEBIUS STRIP』1
『MOEBIUS STRIP』2
「ランカル」が動く
「starwatcher」他メモ
メビウスの壁紙
あなたのパソコンにも
メビウスを!
くわしくはこちらまで。
作品解説
こちらから、各作品の解説に飛んでください。

『アルザック』
「ランカル」
「ブルーベリー」
『アルザックラプソディ』
メビウスが話す
インタビュー動画です。


メビウス&宮崎駿 対談動画
 ├全和訳1
 ├全和訳2
 └『ハウル』DVD
宮崎駿を語る
「ランカル」が動く
チャット:france 5
『ダスト』を語る
Roland Collection
creativ tv
紹介動画:france 5
PUBLIC SENAT
アメコミを語る
特集:宮崎駿
メビウス&宮崎駿 対談動画
 ├全和訳1
 ├全和訳2
 └『ハウル』DVD
「宮崎-メビウス」展全訳
 ├会場での二人の動画
 ├出品作品の画像
 ├カタログ購入ガイド
 └関連記事インデックス
メビウスとの対談
娘の名はナウシカ
ナウシカちゃんの写真
メビウス作ナウシカ
『リトル・ニモの野望』
初めて宮崎作品を観た時
特集:大友克洋
対談「OTOMOEBIUS」訳
『メトロポリス』を語る
「大友克洋」展とメビウス
インタビュー動画
 └全和訳
特集:手塚治虫
82年の邂逅
特集:谷口ジロー
『イカル』原画展
谷口ジロー特集@Epok
番外篇
仏語なんて不要です
エンキビラルと荒木飛呂彦
荒木割りの原理
ゲームでメビウス
メビウスが関わった映画
『トロン』のフリーゲーム
を紹介します。
最近の企画
こちらを参照して下さい。
いまは『Arzach』の訳を作っています。
カテゴリ説明
こちらから各記事へ飛んでください。
メール
こちらまでお願いします。
アドレスの中の「AntiSpam」を取り除いてから送信してください。
・購入の相談について
検索
以前の記事
最新のトラックバック
老若にゃんこ
from 梅labo memo
ヨーロッパ向け送金時の留意点
from 国家破綻研究ブログ
ヨーロッパ向け送金時の留意点
from 国家破綻研究ブログ
Le Petit Mon..
from tNKG
海外で流通する日本のマンガ
from BLOGtext TRANS..
ライフログ
メビウス、『メトロポリス』を語る:その2
フランスのアニメ専門誌「AnimeLand」の公式サイトで公開されていた、
メビウスの『メトロポリス』評の訳です。
この記事にはインタビューの後半が収められています。

かなり長い記事になってしまったので、
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ インタビュー対訳:後半
AL:
Pour ainsi dire,
c’est un peu aussi la dream-team de l’animation japonaise
que l’on retrouve au générique de ce film,
et avec, pour tous, un même esprit humaniste dans leurs créations.
アニメランド:
映画のクレジットタイトルを観てみると、
これは本当に日本のアニメのドリームチームですよね。
しかも、どの作家の作品にもおなじヒューマニズムの血が流れている。

M: Oui,
c’est pour cela
que je pense que ça n'est pas le film d’un seul auteur,
ou même d’un groupe d’auteurs,
mais plutôt le film du Japon, d’un peuple,
qui est rentré dans la modernité
par une voie que l’on ne connaît pas, dont on a pas idée.
Il y a un livre, qui s’appelle Le choc des civilisations,
qui est le résultat d’une recherche approfondie
qu’on trouve dans la tradition anglo-saxonne,
qui consiste à essayer de décoder l’Histoire du monde,
à apposer des grilles de perceptions
qui ne soient pas « nationales » mais « extra-terrienne ».
A ce niveau,
les Japonais sont un peu les Anglais du troisième millénaire.
Et cela se voit dans leurs créations.
Ils ont expérimenté ce que seront les problèmes de la planète,
car d’une certaine manière la Terre est une île,
entourée du vide sidéral,
qui est une mer beaucoup plus difficile à traverser qu’un océan.
On est dans un ordre croissant
d’isolement et de difficulté qui est phénoménal.
Quelque part, dans cette perspective des civilisations,
on voit que ce qu’on appelle la civilisation occidentale
(même si on est toujours les occidentaux de quelqu’un)
a ouvert la boite de Pandore du développement technologique et laïque,
et toutes les autres civilisations de la planète sont
confrontées à ce problème que nous avons créé.
C’est ça qui est troublant et excitant quand on observe,
non pas le Japon, mais le regard que pose le Japon sur le monde,
surtout à travers des auteurs populaires.
Ils portent sur le monde un vrai regard,
ils s’approprient l’Histoire du monde
comme quelque chose que l’on peut légitimement explorer.
Chose que les autres civilisations n’ont pas expérimenté.
On n’a pas encore vu d’histoire
par exemple qui serait racontée par l’Islam
et qui prendrait des blancs comme vecteur d’humanité.
Nous on peut faire cela,
comme KIPLING l’a fait avec le Livre de la Jungle,
et raconter une histoire avec un indien dans une forêt
qui devient un mythe fondamental et mondial.
Les Japonais n’ont, de fait, aucun complexe,
ils prennent cette attitude,
qu’ils considèrent comme une attitude de maître de Jeu
et ils la jouent sans la moindre peur, sans complexe.
Ce qui leur permet de faire des histoires de mousquetaires,
avec un sens du détail très approximatif, une fantaisie certaine,
mais en tout cas un sens de l’universalité confondant.
On retrouve cette même démarche
dans la façon d’aborder les thèmes de Métropolis.
メビウス:
そう。でも単にチームというだけじゃないよ。
僕は、この作品には、
西洋人が思いも付かないやり方で近代化を果たした
日本という国や人々の姿が刻印されていると思っているんだ。
特定の作家には還元できない何かがある。
『文明の衝突』という本は読んだ?
いかにもアングロ・サクソンらしい詳細な調査に基づいて、
世界の歴史を分析しようとしているものだ。
“国家”という枠組みをはなれて、
“超地球的”な視野から世界を読み解こうとしているこの本に従うなら、
日本人はさながら、新世紀のイギリス人の観を呈していると思うんだ。
当然、彼らの作品にもそういった性質が反映している。
地球というのは、いわば虚空に浮かぶ一つの島のようなものだろう?
他の星々とのあいだには、
行く手を阻む大海原という名の宇宙が横たわっている。
そういう意味では、島国日本は、
世界がこれから直面する問題をすでに経験してしまっている国とも言える。
世界は孤立化が進んでいる。
どうしようもない困難も増すばかりだ。
『文明の衝突』のなかで、
西欧文明
(もっとも、どこを基準に「西」と言うかによるけれど)
が技術の発達と世俗主義というパンドラの箱を空けてしまって以来、
世界中の他の文明のすべてが、
我々西洋人の引き起こしたこの問題に直面するようになってしまった、
という一節があっただろう?
日本という国を世界とのかかわりのなかで観察してみると、
このことがよく分かるよ。
とくにサブカルチャーの作家を通して観てみるとね。
とても興味深くて、なおかつ厄介な問題だ。
日本人は透徹した目で世界を観ている。
世界の歴史を一国で体現している国でもある。
だから、日本を分析することは、世界の歴史を分析することでもあるんだ。
他の文明ではこうは行かない。
たとえばイスラム文明からは、
白人にヒューマニズムを教えてもらう、
なんて物語は生まれて来ていないよね。
西洋にはキプリングの『ジャングル・ブック』がある。
森に住むインド人の物語で、
人間の本質を描き出した、普遍的なお話に仕上がっている。
思うに、日本人には一切の気負いというものが無いんだと思う。
達観とでも言うのかな、
とにかく少しのためらいも無く軽やかに遊んでみせる感性。
そういう姿勢を持っているから、
日本人は、たとえば戦争を描くときなんかも、
細部の詰めがおそろしく大雑把で現実離れしているにもかかわらず、
おどろくほど普遍性をもった作品を描き得てしまうんだと思う。
『メトロポリス』のテーマの扱い方にも同じことが言えるよね。
 *『文明の衝突』と『ジャングル・ブック』については、
 以下の記事を参照してください。
 [訳注『メトロポリス』:『文明の衝突』『ジャングル・ブック』...
 (の引用とメビウスの日本論 - その1)
 *「anglo-saxonne」(アングロ・サクソン)は、
 イギリスやアメリカの文化を指す語です。
 欧米の文化はおおまかに、
 大陸系(フランスなど。理論を重んずる合理主義の文化)と
 イギリス系(アメリカも含む。実践を重んずる経験主義の文化)の
 二つに分けられることがあります。
 『文明の衝突』は多くの具体的な調査にもとづいた本なので、
 こう言われているのでしょう。

AL:
Il faut dire aussi
que la particularité des manga est
de se pencher beaucoup sur les personnages et leurs psychologies.
アニメランド:
キャラクターや心理描写を重視するのも、
日本の「漫画」の特徴なんじゃないでしょうか。

M:
Oui mais pour en arriver là,
cela dénote une libération pour être à même de considérer
que rien de ce qui est humain ne nous est étranger,
peu importe les critères de civilisation,
la morale, les religions, les couleurs de peaux.
Et cela c’est vraiment la leçon de ces peuples.
メビウス:
そうだね。でもそれを言うなら、
僕たちだって、ヒューマニズムを学ぶべき立場なのかも知れない。
文明の違いだとか、モラルの違い、
宗教や、肌の色の違いなんて関係ないんだよね。
そういったことは、僕たちが日本人から学ぶべきことなんだ。

AL:
Au niveau des références du film,
il y a un véritable jeu permanent tournant au jeu de piste
par rapport à
tout ce que l’on peut voir d’écrit sur les murs de Métropolis.
アニメランド:
この映画にはいろいろと出典があるようですが、
街の壁に落書きがしてあったり、
サウンド・トラックにお遊びがあったりと、
いろいろと面白い試みがなされているようですね。
 *落書きとサウンド・トラックについては、
 以下の記事を参照してください。
 [訳注『メトロポリス』:落書きとサウンド・トラック

M:
Oui, d’ailleurs
dans une des phases de la découverte de son expression par Tima,
elle écrit le nom de son aimé sur tous les murs de sa chambre.
Ca veut dire
que l’écriture, le hiéroglyphe manifesté est
porteur du fond d’elle même.
Il y a une allusion également à Victor HUGO
et au personnage de Gavroche avec le personnage d’Atlas,
chef de la révolution.
On voit le tableau de DELACROIX,
« La Liberté guidant le Peuple » à un moment dans le film.
Rendez vous compte quelle connaissance,
et quelle générosité il y a,
dans l’acceptation que d’autres aient pu lancer
au monde des symboles valables.
Comment aussi
les Japonais ont ils « osé » s’emparer du mythe de BABEL ?
C’est magnifique d’avoir osé ça !
Comme on retrouve aussi l’image du Che Guevara en divers endroits.
On voit bien que Métropolis, c’est une leçon aussi.
C’est une très grande leçon pour nous occidentaux
de voir comme ça paie d’ouvrir son regard
sur une perception planétaire.
Enfin !
メビウス:
そうそう。
ティマが、自分の気持ちを表わそうとして、
自分の部屋の壁一面に愛する人の名前を書く場面もあったよね。
書かれた文字が彼女の内面そのものを表わしているんだろう。
革命の主導者のアトラスが、
ヴィクトル・ユゴーのガヴローシュを思わせる場面もあった。
ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』が出てくる場面もあったよね。
こういったシンボルにちゃんとした意味を読み取れるかどうか、
観る側の豊かな教養が期待されているんだと思うよ。
それにしても、まさか日本人が、
バベルの神話を我が物にしてしまうとはね!
すばらしい。
チェ・ゲバラのイメージも何回か出て来ていたな。
もちろんフリッツ・ラングの『メトロポリス』も意識しているはずだ。
ラングの『メトロポリス』が1927年、
日本の『メトロポリス』が2001年だから、
人々が世界的な視野を得るのにこんなにも長い時間がかかったことになる。
このことからも、僕たち西欧人は多くのことを学ぶべきだと思うね。
 *ここで挙げられている「出典」(des références)については、
 以下の記事を参照してください。
 [訳注『メトロポリス』:ティマが部屋の壁一面に愛する人の名前を...
 [訳注『メトロポリス』:アトラスとユゴーのガヴローシュ
 [訳注『メトロポリス』:ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』
 [訳注『メトロポリス』:バベルの神話
 [訳注『メトロポリス』:チェ・ゲバラ
 [訳注『メトロポリス』:フリッツ・ラングの『メトロポリス』




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 22:30 | メビウスの子孫たち
訳注『メトロポリス』:『I Can't Stop Loving You』
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ 『I Can't Stop Loving You』
『I Can't Stop Loving You』は、
アメリカの有名なソウル歌手レイ・チャールズが
1962年にヒットさせた曲です。
● ウィキペディア米内「I Can't Stop Loving You」
  *オリジナルは
  ドン・ギブソン(Don Gibson)が1957年に発表したものです。
  レイ・チャールズはこれをカバーしたものです。
● ウィキペディア日内「レイ・チャールズ」
● ウィキペディア米内「Ray Charles」
● レイ・チャールズ公式サイト(英語)

以下のサイトで歌詞を参照することが出来ます。
● 「うたまっぷ」内『I CAN'T STOP LOVING YOU』
歌詞なので多くは語られていませんが、
決してハッピーエンドの内容ではないということは
押さえておいて良いかもしれません。
「But time has stood still since we've been apart」
(君と別れてから、時は止まったままなのに)
とあるので、むしろ、
愛する人と別れた人の心情を歌ったものだと思います。
それでも
「君を愛することを止められない」(I Can't Stop Loving You)
というわけです。
「だから、君と出会う前まだ一人だった頃の寂しさを抱えて、
 これからは生きて行かなきゃならないんだ」
(So I've made up my mind To live in memories of old lonesome time)
というのが、歌詞のおおまかな内容です。
I Can't Stop Loving You
So I've made up my mind
To live in memories
of old lonesome times
I Can't Stop wanting you
It's useless to say
So I'll just live my life
in dreams of yesterday
君を愛することを止められない。
だから、君と出会う前の寂しさを抱えて、
これからは生きて行かなきゃならないんだ。
君が欲しくてたまらない。
そんなこと言ったって無駄だから、
僕はこれから、あの時の夢のままに
生きて行くことにするよ。

Those happy hours
that we once knew
Though long ago
still make me blue
They say that time
heals a broken heart
But time has stood still
since we've been apart
君と出会ったころの、
あの幸せな思い出。
もうこんなに経つんだね。
まだ悲しみは癒えないのに。
あのころの思い出が、
心の傷を癒してくれるさ、って?
君と別れてから、
時は止まったままなのにね。

ケンイチがティマを助けようと必死になっている場面で、
BGMによって既に、
ケンイチがティマを失うことが予告されているわけです。
この選曲は確かに、
メビウスが「sublime」(崇高だ!)と言うだけのことはあると思います。
なお、以下の記事の『St. James Infirmary』も参照してください。
訳注『メトロポリス』:落書きとサウンド・トラック




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 22:20 | メビウスの子孫たち
訳注『メトロポリス』:「大量破壊のトラウマ」
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ 「大量破壊のトラウマ」
「le traumatisme de la destruction de masse」
(大量破壊のトラウマ)は、
第二次世界大戦の日本の敗戦を指しているのでしょう。
● 「La Septieme Ombre」内「Debat>Manga et animation japonaise : une vision du monde」
2003年にフランスで開かれたディベートの記録ページです。
第二次世界大戦(la seconde Guerre mondiale)で日本が受けた
大量破壊(une destruction de masse)が「漫画」に与えた影響について、
「Le traumatisme de la guerre」(戦争のトラウマ)という題で
討議されています。
具体的には、「広島の原爆」(l’explosion atomique d’Hiroshima)と
『はだしのゲン』(Gen d’Hiroshima)などが挙げられています。

第二次世界大戦の敗戦の影響というのは、
欧米の人が日本の「漫画」の歴史を語るばあいに
必ずと言ってよいほど出される話題です。
個人的には、
『メトロポリス』から敗戦のイメージなんて全く連想しないのですが、
欧米の人が観るとそういう解釈になるのでしょう。




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 22:10 | メビウスの子孫たち
訳注:『メトロポリス』での『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用とメビウスの日本論 - その1
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


この記事では、
「メビウス、『メトロポリス』を語る」での
『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用と、
メビウスの日本論について検討します。
後半の以下の記事に続きます。
訳注『メトロポリス』:『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用とメビウスの日本論 - その2

率直に言って、引用は結構いい加減で、
メビウスの日本論も凡庸なものだと思います。

以下のプログラムに従います。
(項目のクリックで該当箇所に飛びます)

 0 インタビューの原文

 1 『文明の衝突』とメビウスの日本論
  1-1 『文明の衝突』についての基本的な情報
  1-2 『文明の衝突』の内容
  1-3 『文明の衝突』を引用している箇所
  1-4 メビウスの日本論

 2 『ジャングル・ブック』と白人至上主義・人間中心主義
  2-1 『ジャングル・ブック』についての基本的な情報と内容
  2-2 『ジャングル・ブック』を引用している箇所
  2-3 白人至上主義・人間中心主義

 3 総括


◆ 0 インタビューの原文
インタビューの当該箇所を原文で挙げておきます。

M:
Oui,
c’est pour cela
que je pense que ça n'est pas le film d’un seul auteur,
ou même d’un groupe d’auteurs,
mais plutôt le film du Japon, d’un peuple,
qui est rentré dans la modernité
par une voie que l’on ne connaît pas, dont on a pas idée.
Il y a un livre, qui s’appelle Le choc des civilisations,
qui est le résultat d’une recherche approfondie
qu’on trouve dans la tradition anglo-saxonne,
qui consiste à essayer de décoder l’Histoire du monde,
à apposer des grilles de perceptions
qui ne soient pas « nationales » mais « extra-terrienne ».
A ce niveau,
les Japonais sont un peu les Anglais du troisième millénaire.
Et cela se voit dans leurs créations.
Ils ont expérimenté ce que seront les problèmes de la planète,
car d’une certaine manière la Terre est une île,
entourée du vide sidéral,
qui est une mer beaucoup plus difficile à traverser qu’un océan.
On est dans un ordre croissant
d’isolement et de difficulté qui est phénoménal.
Quelque part, dans cette perspective des civilisations,
on voit que ce qu’on appelle la civilisation occidentale
(même si on est toujours les occidentaux de quelqu’un)
a ouvert la boite de Pandore du développement technologique et laïque,
et toutes les autres civilisations de la planète sont
confrontées à ce problème que nous avons créé.
C’est ça qui est troublant et excitant quand on observe,
non pas le Japon, mais le regard que pose le Japon sur le monde,
surtout à travers des auteurs populaires.
Ils portent sur le monde un vrai regard,
ils s’approprient l’Histoire du monde
comme quelque chose que l’on peut légitimement explorer.
Chose que les autres civilisations n’ont pas expérimenté.
On n’a pas encore vu d’histoire
par exemple qui serait racontée par l’Islam
et qui prendrait des blancs comme vecteur d’humanité.
Nous on peut faire cela,
comme KIPLING l’a fait avec le Livre de la Jungle,
et raconter une histoire avec un indien dans une forêt
qui devient un mythe fondamental et mondial.
Les Japonais n’ont, de fait, aucun complexe,
ils prennent cette attitude,
qu’ils considèrent comme une attitude de maître de Jeu
et ils la jouent sans la moindre peur, sans complexe.
Ce qui leur permet de faire des histoires de mousquetaires,
avec un sens du détail très approximatif, une fantaisie certaine,
mais en tout cas un sens de l’universalité confondant.
On retrouve cette même démarche
dans la façon d’aborder les thèmes de Métropolis.


◆ 1 『文明の衝突』とメビウスの日本論

 ◆ 1-1 『文明の衝突』についての基本的な情報
『文明の衝突』
(THE CLASH OF CIVILIZATIONS AND THE REMAKING OF WORLD ORDER)
は、1996年にアメリカで発表された政治学書です。
今後の世界情勢を占う書として非常に注目された本です。
● ウィキペディア日内「文明の衝突」
フランス語版は『Le Choc des civilisations』
(「THE CLASH OF CIVILIZATIONS」の直訳)の題で
1997年に発行されています。
● 出版社Odile Jacob社公式サイト内『Le Choc des civilisations』のページ
● アマゾン仏内『Le Choc des civilisations』のページ
メビウスは英語も読めるので、英語の原書を読んでいるかも知れません。
● アマゾン日内『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order』のページ
 *「なか見!検索」(本の内容を検索できるサービス)が
 適用されているので、原書の内容を部分的に確認するのに非常に便利です。
● アマゾン日内『The Clash of Civilizations and the Remaking of World Order (ハードカバー) 』のページ
 *僕が参照したのはこちらの版です。
 「なか見!検索」は上記のペイパーバック版に飛びます。

僕は日本語版(鈴木主税訳)と英語の原書を参照しました。
残念ながらフランス語版は参照するに至っていません。
● アマゾン日内『文明の衝突』のページ

なお、インタビューは2002年に行われたのではないかと思います。
『メトロポリス』の日本公開は2001年、
フランスでの公開とDVDの発売は2002年です。
● ウィキペディア日内「メトロポリス」
● ウィキペディア仏内「Metropolis」
● アマゾン仏内『Metropolis』DVDのページ

 ◆ 1-2 『文明の衝突』の内容
まずは『文明の衝突』の内容を確認しておきましょう。
ひとことで要約するなら、
“今後、世界の国々は文明ごとにまとまるようになり、
 異文明間の争いが起こるようになる”
ということになります。
 本書の中心的なテーマをひとことで言うと、[中略]文明のアイデンティティが、冷戦後の統合や分裂あるいは衝突のパターンをかたちづくっているということである。
[邦訳版21ペイジ。以下同様]

21~22ペイジにかけて本書の全五章の内容が要約されているので、
僕なりに纏(まと)めたうえで示しておきましょう。

 第一部:近代化というのは西欧化することではなく、
     非西欧社会が西欧化するわけでもない。
 第二部:相対的な影響力という意味では、西欧は衰えつつある。
     非西欧文明は全般的に自分たちの文化の価値を再確認しつつある。
 第三部:文明に根ざした世界秩序が生まれはじめている。
 第四部:文明の断層線において文明の衝突が起きる。
 第五部:異文明間の世界戦争を避けるためには、
     世界政治の多文明性を理解し、
     尊重するようにしなければならない。

では、メビウスのインタビューとの関係を見て行きましょう。

 ◆ 1-3 『文明の衝突』を引用している箇所
『文明の衝突』を引用している箇所を直訳とともに挙げたうえで、
具体的な引用本文を検討して行きます。

  ◇ (A)-「国家」という枠組みの限界
Il y a un livre, qui s’appelle Le choc des civilisations,
qui est le résultat d’une recherche approfondie
qu’on trouve dans la tradition anglo-saxonne,
qui consiste à essayer de décoder l’Histoire du monde,
à apposer des grilles de perceptions
qui ne soient pas « nationales » mais « extra-terrienne ».
ここに一冊の本がある。その名前は『文明の衝突』で、
これは、人々がアングロサクソンの伝統のなかに見出す
詳細な調査の結果である。
それは、世界の歴史を解読しようとすることと、
「国家」ではなく「超地球的」という
認識の格子を当てはめようとすることから成り立っている。

『文明の衝突』に
「超地球的」(extra-terrienne)という語は出てきませんが、
「文明」(英civilization/仏civilisation)という枠組みによって
世界全体の情勢を分析しているので、
その点では「超地球的」な研究書と言えるかもしれません。
● アマゾン日「なか見!検索」での"extra"の検索結果

なお、メビウスは、
世界情勢を分析する際の枠組みとしては
「国家」(nationales)は適切ではない、
と言っていますが、これは本書の内容に沿ったものです。
 世界を七つか八つの文明で成り立つと見れば、こうした難点の多くが避けられる。[中略]国家[statist]パラダイムや混沌パラダイムのようにリアリティに固執するあまり簡略さをあきらめる必要もない。
[邦訳版44ペイジ/ペイパーバック版36ペイジ、以下同様]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

ただし、この場合の「国家」には「statist」が使われていて、
フランス語の「nationales」に相当する
英語の「nationals,national」には該当する使用例はありません。
● アマゾン日「なか見!検索」での"nationals"の検索結果
● 同上"national"の検索結果

  ◇ (B)-誰にとっての「西」か、技術の発達と世俗主義、孤立化
On est dans un ordre croissant
d’isolement et de difficulte qui est phenomenal.
Quelque part, dans cette perspective des civilisations,
on voit que ce qu’on appelle la civilisation occidentale
(même si on est toujours les occidentaux de quelqu’un)
a ouvert la boite de Pandore
du développement technologique et laïque,
et toutes les autres civilisations de la planète sont
confrontées à ce problème que nous avons créé.
人々は、
孤立と驚くほどの困難が増大する秩序のなかに居る。
どこだったか、文明に関するこの視点のなかで、
西欧文明と呼ばれているものが
(たとえ、今日では人々は誰かにとっての西欧人だとしても)
技術の発達と世俗主義というパンドラの箱を開けて、
地球の他のすべての文明が
我々が創り出したこの問題に直面している、
という箇所があった。
 *「この問題」(ce problème)は、
 「孤立と驚くほどの困難が増大する秩序」
 (un ordre croissant
  d’isolement et de difficulte qui est phenomenal)
 を指しているのでしょう。

この箇所の内容は比較的『文明の衝突』に忠実です。
ただし、すべてがそのまま該当するような本文はありません。
本文を要約して部分的につぎはぎしている感じです。

  ◇ (B-1) 誰にとっての「西」か
「même si on est toujours les occidentaux de quelqu’un」
(たとえ、今日では人々は誰かにとっての西欧人だとしても)は、
以下の一節に基づいているのでしょう。
「西洋」["the West"]という言葉はいまや多用され、西側キリスト教圏と呼ばれていた世界をさすようになった。したがって、西洋[the West]文明は特定の民族や宗教あるいは地理的な場所の名前ではなく、羅針盤の方位で認識される唯一の文明である。
[邦62/英46-47ペイジ]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

「東」と「西」["West"]という言葉を使って地理的な場所を限定するのは混乱を招くし、自民族中心主義だ。「北」と「南」にはあまねく受け入れられて基準となる定点が南北の極にある。「東」と「西」にはそのような基準点がない。問題はどこの東であり、西であるかということだ。すべてはその人の立っている場所しだいである。
[邦63/英47ペイジ欄外の注。前出の箇所への注である]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

なお、フランス語の「les occidentaux」に相当する
英語の「occidental, occident」等については、
該当する使用例はありません。
● アマゾン日「なか見!検索」での"occidental"の検索結果
● 同上"occident"の検索結果
「西欧」の訳語についてはとくに以下の訳注に従っています。
(訳注ー日本では一般に西洋より西欧がよく使われており、この文明の起源をあらわすにも適切だと考えられるので、本書では西欧で一致した)
[邦62ペイジ、本文中の割注]


  ◇ (B-2) 技術の発達と世俗主義
「ce qu’on appelle la civilisation occidentale(中略)
 a ouvert la boite de Pandore
 du développement technologique et laïque」
(西欧文明と呼ばれているものが、
 技術の発達と世俗主義というパンドラの箱を開けた)については、
以下の一節を挙げることができます。
 このように、西欧が独自の劇的な発展をとげた要因には、[中略]西欧社会では君主と三身分(僧侶、貴族、平民)あるいは世俗[secular]の権力者と宗教的な権力者に力が比較的分散していたこと[中略]などもある。しかし、西欧が拡大した直接の原因は技術[technological]だった。
[邦68~69/英51ペイジ]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

フランス語の「laïque」に相当する
英語「laic,laicism」(世俗、世俗主義)は、
『文明の衝突』では使われていません。
● アマゾン日「なか見!検索」での"laic"の検索結果
● 同上"laicism"の検索結果
その代わりに
「secular,secularism」(世俗、世俗主義)という語が使われています。
● アマゾン日「なか見!検索」での"secular"の検索結果
● 同上"secularism"の検索結果
「技術」「世俗主義」の訳語は邦訳版に従っています。
なお、「パンドラの箱」(la boite de Pandore)という表現は
『文明の衝突』では使われていません。
● アマゾン日「なか見!検索」での"pandora"の検索結果

  ◇ (B-3) 孤立化
メビウスは、
世界は「孤立化」(isolement)の問題に直面している、と言っていますが、
これは「文明の衝突」(異文明間の世界戦争)の問題に相当する
と考えてよいかも知れません。
文化を共有する国家群が冷戦時代の東西ブロックにかわって登場し、世界政治のなかで、文明の断層線[ルビ:フォルト・ライン]を境界として紛争が起こるようになっている。
[邦185/英125ペイジ]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

文明ごとに世界の国々がお互いに「孤立」するようになるわけです。
ただし、フランス語の「isolement」(孤立)に相当する
英語の「isolation」については、
該当する使用例はありません。
● アマゾン日「なか見!検索」での"isolation"の検索結果


以下の記事につづきます。
訳注『メトロポリス』:『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用とメビウスの日本論 - その2




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 22:00 | メビウスの子孫たち
訳注:『メトロポリス』での『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用とメビウスの日本論 - その2
以下の記事のつづきです。
訳注:『メトロポリス』での『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用とメビウスの日本論 - その1


◆ 1 『文明の衝突』とメビウスの日本論

 ◆ 1-4 メビウスの日本論
つぎに、メビウスが展開している日本論を見て行きましょう。
該当箇所を直訳とともに挙げておきます。
(a)-西洋人が思いもよらないやり方で近代化した日本
[前略]qui est rentré dans la modernité
par une voie que l’on ne connaît pas, dont on a pas idée.
人々が知らない、人々の察しのつかない方法で
近代に入った[日本人]

(b)-日本人はイギリス人に似ている
A ce niveau,
les Japonais sont
un peu les Anglais du troisième millénaire.
このレベルにおいては、
日本人は第三千年紀のイギリス人のようなものだ。
 *「第三千年紀」(troisième millénaire)については
 以下のページが参考になります。
 ● ウィキペディア日内「ミレニアム」
 要するに、日本人はイギリス人に似ている、
 と言いたいわけです。
 同じ島国からの連想なのでしょう。

(c)-日本は世界の歴史を先取りしている
Ils ont expérimenté
ce que seront les problèmes de la planète,
彼ら[日本人]は、地球の問題になるであろうことを
すでに経験している。

(d)-日本の大衆作家に孤立化の問題が現れている
C’est ça qui est troublant et excitant quand on observe,
non pas le Japon,
mais le regard que pose le Japon sur le monde,
surtout à travers des auteurs populaires.
日本ではなく、日本を世界のなかに据える視点を観察すると、
それは、やっかいで興味深いことだ。
とくに、大衆作家を通して観察してみると。
 *「それ」(C’est)は、
 (B)の、技術の発達と世俗主義、
 孤立化の問題を指しているのでしょう。

(e)-日本は世界の歴史を体現している
Ils portent sur le monde un vrai regard,
ils s’approprient l’Histoire du monde
comme quelque chose que l’on peut légitimement explorer.
Chose que les autres civilisations n’ont pas expérimenté.
彼ら[日本人]は、真のまなざしを世界に注いでいる。
彼らは、人々が当然のように調査できるようなものとして、
世界の歴史をわが物としている。
他の文明が体験しなかったことだ。

(f)-日本人が持っている遊びの態度
Les Japonais n’ont, de fait, aucun complexe,
ils prennent cette attitude,
qu’ils considèrent comme une attitude de maître de Jeu
et ils la jouent sans la moindre peur, sans complexe.
日本人は、実際、コンプレックスをまったく持っていない。
彼らは、遊びの達人の態度だと見做している
この態度を持ち合わせている。
そして彼らは、すこしの恐れもコンプレックスも持たずに、
この態度を遊ぶ。

いずれも『文明の衝突』の内容からは離れたものです。
この本のなかで
日本は一国で一文明を成すものとして特別な扱いをうけていますが、
(この本では世界の国々が八つの文明に分類されています。
 日本以外の国は複数の国で一つの文明に分類されています)
だからといって、
メビウスの言う

 (c)-日本は世界の歴史を先取りしている
 (d)-日本の大衆作家に孤立化の問題が現れている
 (e)-日本は世界の歴史を体現している

というような性質は認められていません。
強いて挙げるなら以下のような一節でしょうか。
[前略]文化的に孤立[lone]している日本は、今後は経済的にも孤立[lonely]していくかもしれない。
[邦201/英135ペイジ]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

 最も重要な孤立国[lone country]は、日本である。日本の独特な文化を共有する国はなく、[後略]
[邦204/英137ペイジ]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

日本の孤立[loneliness]の度がさらに高まるのは、日本文化は高度に排他的で、広く支持される可能性のある宗教(キリスト教やイスラム教)やイデオロギー(自由主義や共産主義)をともなわないという事実からであり、そのような宗教やイデオロギーをもたないために、他の社会にそれを伝えてその社会の人びとと文化的な関係を築くことができないのである。
[邦204/英137ペイジ]
● アマゾン日「なか見!検索」での該当箇所

いずれの例においても、
日本の「孤立」(lone,loneliness)と世界の歴史とのあいだに
類似性は指摘されていませんし、
世界情勢を予測するうえでの特別な意味あいなども含められていません。
メビウスが独自に読み取った結果なのでしょうが、

 (a)-西洋人が思いもよらないやり方で近代化した日本
 (f)-日本人が持っている遊びの態度

と併せて、
こういった特別な思い入れは過大評価でしかないと思います。

 (b)-日本人はイギリス人に似ている

も、俗流の日本論としてありふれたものです。

総じて、ここで展開されているメビウスの日本論は、
いわゆるオリエンタリズムの一種として
批判されてしかるべきものだと思います。
● ウィキペディア日内「オリエンタリズム」
西洋の東洋に対する差別の裏返しとして、
日本を過度に祭り上げているだけなのではないでしょうか。


◆ 2 『ジャングル・ブック』と白人至上主義・人間中心主義

 ◆ 2-1 『ジャングル・ブック』についての基本的な情報と内容
『ジャングル・ブック』
(英The Jungle Book/仏Le Livre de la jungle)は、
イギリスの作家キプリング(Kipling)が1894年に発表した有名な小説です。
● ウィキペディア日内「ラドヤード・キップリング」
● 同上「ジャングル・ブック (小説)」
狼に育てられた少年の物語、と要約されることが多いのですが、
実際にはこのほかにもいろいろな動物の物語が収録されていて、
オムニバス形式になっています。
● アマゾン日内『ジャングル・ブック』(角川文庫)のページ
  *僕が実際に参照したものです。
● 「Project Gutenberg」内「The Jungle Book by Rudyard Kipling」
  *原文を読むことが出来ます。
● アマゾン仏内『Bibliotheque de la Pleiade / Kipling : Oeuvres, tome 2』のページ
  *仏訳版はこれを参照しました。

 ◆ 2-2 『ジャングル・ブック』を引用している箇所
『ジャングル・ブック』を引用している箇所を
直訳とともに挙げておきましょう。
On n’a pas encore vu d’histoire
par exemple qui serait racontée par l’Islam
et qui prendrait des blancs comme vecteur d’humanité.
Nous on peut faire cela,
comme KIPLING l’a fait avec le Livre de la Jungle,
et raconter une histoire avec un indien dans une forêt
qui devient un mythe fondamental et mondial.
人々はまだ、
たとえば、イスラム文明によって話されていて、
また、白人を人間性の仲介者として据えているような物語を、
見たことがない。
我々は人々にそのことをすることが出来る。
たとえば、
キプリングが『ジャングル・ブック』によって彼らにそれをして、
根本的で世界的なひとつの神話になっている、
森のなかの一人のインド人の物語を話すように。

メビウスは
「une histoire avec un indien dans une forêt
 qui devient un mythe fondamental et mondial」
(森のなかの一人のインド人の物語で、
 根本的で世界的なひとつの神話になっている)
と言っていますが、
『ジャングル・ブック』の要約としては標準的なものだと思います。

 ◆ 2-3 白人至上主義・人間中心主義
しかしながら、
『ジャングル・ブック』を
「白人を人間性の仲介者として据えているような物語」
(d’histoire[中略]
 qui prendrait des blancs comme vecteur d’humanité)
とするのは大いに問題があります。
『ジャングル・ブック』には、
狼に育てられたインド人の少年が白人に人間性を教えてもらう、
というような場面はありません。
ただし、
1994年に実写映画化された際にそのようなアレンジがなされているので、
メビウスはこの映画を想定しているのかも知れません。
● 「goo映画」内「ジャングル・ブック(1994)>あらすじ」
  *映画のあらすじがすべて書かれているので注意してください。
  ほとんど別作品と言ってよいほどに大胆にアレンジされています。
  原作には「英国軍将校ブライドン少佐」や「ブライドン少佐の娘キティ」、
  「彼女に恋するブーン大尉」は登場しません。

さらに、原作との食い違い以外にも、
「白人を人間性の仲介者として据えているような物語」という内容自体に
大きな問題があります。
こういった考え方は、
いわゆる「人間中心主義」として批判されているものに当たるからです。
「人間性」(humanité)
「ヒューマニズム」(英humanism/仏humanisme、人間性を重視する考え方)
と言うと一見良いものに見えますが、
その裏には“人間以外のもの”に対する差別が隠されています。
ここで言う“人間以外のもの”は動物や植物には限られません。
西洋の白人にとっての“人間以外のもの”、
すなわち、東洋に住む有色人種も、
“人間以外のもの”に分類されてしまう場合があるのです。
たとえば、白人が黒人を奴隷として酷使したり、
アメリカに渡った白人がインディアンを虐殺したりする場合に、
「有色人種は人間ではないから」という理由で、
大々的に正当化されていた時代がありました。
● ウィキペディア日内「人種差別」
● 同上内「有色人種」
● 同上内「白人至上主義」
メビウスは、
「白人」に「人間性」を教えてもらわなければならない人達として
イスラムの人や日本人を想定しているわけですから、
問題は決定的です。
メビウス自身に悪意は無いのでしょうが、
メビウスの発言には白人至上主義・人間中心主義が透けて見えてしまいます。
「1-4 メビウスの日本論」において僕は、
メビウスの日本論は
「西洋の東洋に対する差別の裏返しとして、
 日本を過度に祭り上げているだけ」
なのではないかと評しましたが、
メビウスによる日本の過大評価は、
こういった白人至上主義・人間中心主義と表裏をなしている
のではないかと僕は思います。
訳注:『メトロポリス』での『文明の衝突』『ジャングル・ブック』の引用とメビウスの日本論 - その1


◆ 3 総括
総じて、このインタビューのなかの
『文明の衝突』と『ジャングル・ブック』の引用には不正確な部分があり、
メビウスの日本論にも大きな問題があると言わざるを得ません。

もっとも、これはあくまで
訳文を作るために可能なかぎり厳密に検証したからなのであって、
メビウスを妄信する必要がないのと同様に、
必要以上に責める必要もないと思います。
公的な論文などではなく、
あくまでインタビューで映画の感想を述べているだけなのですから、
この程度はフランス人としては標準的なのではないでしょうか。




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 21:50 | メビウスの子孫たち
訳注:『メトロポリス』の落書きとサウンド・トラック
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ 落書きとサウンド・トラック

 ◆ 原文と問題点
インタビュー原文を直訳とともに挙げておきます。

AL:
Au niveau des références du film,
il y a un véritable jeu permanent tournant au jeu de piste
par rapport à
tout ce que l’on peut voir d’écrit sur les murs de Métropolis.
アニメランド:
映画の諸々の出典についてですが、
人々がメトロポリスの壁のうえに書かれたものを見ることができる
こと全てとの関連で、
サウンド・トラックのうえで
ひっきりなしの本当の遊びがあります。

要点は三つです。

 1, 壁の落書き
 2, サウンド・トラックのお遊び
 3, 落書きとサウンド・トラックのお遊びとの間に関連がある

1については、
メトロポリスの地下世界の諸所で落書きを見つけることが出来ます。
2の「jeu de piste」(サウンド・トラックのお遊び)については、
『I Can't Stop Loving You』と
([訳注『メトロポリス』:『I Can't Stop Loving You』])
ジャズ風のBGMをおもに挙げることが出来るでしょう。
問題は3で、
「par rapport à」(~に比べて、~との関連で)を
どう解釈するかによるのですが、
アニメランドのインタビュアーは、
落書きとサウンド・トラックのお遊びとのあいだに
「rapport」(関係)があると言っています。
これがよく分かりません。

 ◆ ジャズ風のBGMとスタイルの使い分け
まず、ジャズ風のBGMについて確認しておきましょう。
本作の音楽は
本多俊之という有名なジャズ・ミュージシャンが担当しています。
● ウィキペディア日内「本多俊之」
● 本多俊之公式サイト
このジャズ風のBGMは、
たんにジャズというだけではなくて、
作品のテーマと関連させたうえで
意識的にスタイルが使い分けられていると思います。
「漫画」にギャグや劇画等のスタイルの違いがあるのと同様に、
ジャズにも色々なスタイルの違いがあるのです。
本作では三つのスタイルが使い分けられていると思います。

  ◇ ディキシーランド・ジャズと狂騒の20年代
『メトロポリス』の地上世界の街並みは、
1920年代に流行ったアール・デコという美術の様式を
模したものになっているのですが、
ジャズ風のBGMは、この時代にアメリカで流行っていた
ディキシーランド・ジャズのスタイルを模したものになっています。
● ウィキペディア日内「アール・デコ」
● 同上内「ディキシーランド・ジャズ」
映画の最初のほう、
「METROPOLIS」という表題がおおきく映し出される前後の場面で
メトロポリスの喧騒が映し出されますが、
[レンタル版DVDで再生時間00:01:36~00:04:30、以下同様]
ここで鳴っているのがディキシーランド・スタイルのジャズです。
この場面はまさに、
「永遠の繁栄」(Great Prosperity)「狂騒の20年代」(Roaring Twenties)
「ジャズ・エイジ」(Jazz Age)などと呼ばれる、
もっとも繁栄を極めていた頃のアメリカを彷彿とさせる
仕掛けになっています。
● ウィキペディア日内「アメリカ合衆国の経済>2.2 第一次世界大戦と永遠の繁栄」
● ウィキペディア米内「Roaring Twenties」
● 同上内「Jazz Age」
なお、ニューヨークの摩天楼がこの時期に建設されていること、
このあとすぐ大恐慌が起こって
「永遠の繁栄」が未曾有の大不況に変わることも、
押さえておいて良いかもしれません。
● ウィキペディア日内「超高層ビル>3.1.2 ニューヨーク」
● 同上内「エンパイアステートビルディング」
  *摩天楼を代表するアール・デコ調の超高層ビルです。
  『メトロポリス』作中のジグラットのモデルをあえて特定するなら
  これでしょう。
● 同上内「クライスラービル」
  *エンパイアステートのすぐとなりに建つ
  アール・デコ調の超高層ビルの傑作です。
● ウィキペディア米内「Empire State Building」
  *上記二つのビルが一緒に写っている写真を見ることが出来ます。
● ウィキペディア米内「Chrysler Building」
● 同上内「世界恐慌」

  ◇ エリントンとハーレムの退廃
「ZONE」と名づけられている地下世界でも
ジャズ風のBGMが鳴る場面がありますが、
これはディキシーランド・スタイルではありません。
ケンイチ、ヒゲオヤジ(伴俊作)、ペロが
はじめてZONEに降りる場面[13:18~15:07]、
火災からティマを救ったケンイチが目を覚ます場面[25:32~27:05]
で鳴っているのは、
おそらくデューク・エリントン楽団のスタイルを模したものです。
● ウィキペディア日内「デューク・エリントン」
エリントンは
ニューヨークのマンハッタンにあるハーレムという地区を
活動の拠点にしていたのですが、
このハーレム地区は当時、
ギャングが牛耳る非常に治安の悪い土地でした。
● ウィキペディア日内「ハーレム (ニューヨーク市)」
エリントン楽団のダークでミステリアスな作風は、
ハーレムの退廃的な雰囲気を彷彿とさせるものです。
● 『メトロポリス』公式サイト内「MAP」
  *「超近代的な地上都市と退廃的な地下都市」
エリントン楽団が最盛期を迎えるのは1940年前後なのですが、
すでに1927年にはハーレムで活動を開始しているので、
ディキシーランドとエリントンという二つのスタイルの使い分けは、
狂騒の20年代に沸くニューヨークの
光と影を想起させる狙いがあるのでしょう。
 *[13:47]ヒゲオヤジのセリフ
 「ほほう/光ある所に影は生まれる… か」

  ◇ ベイシーと30年代の希望
ラストの大崩壊のシーンの後に鳴るジャズ風のBGMはさらに巧妙です。
[01:38:53~01:42:32]
このBGMは前半と後半に分かれるのですが、
前半[01:38:53~01:40:43]はディキシーランド、
後半[01:40:44~01:42:32]はおそらく
カウント・ベイシー楽団のスタイルを模したものです。
この点はとくに大切なので強調しておきたいのですが、
後半部分でのサックス・セクションのシンコペーションの溜め方や、
いちばん最後のピアノのパターンは、
ベイシー楽団の専売特許です。
● ウィキペディア日内「カウント・ベイシー」
ベイシーは、大恐慌後の30年代に主流になった
スイング・ジャズを代表するプレイヤーで、
とにかくハッピーな作風を信条としています。
● ウィキペディア日内「スウィング・ジャズ」
狂騒の20年代から大恐慌を経て、
1930年代の希望を求めるアメリカの歴史の変遷が、
一曲のなかのスタイルの変化に込められているのではないでしょうか。
(同じ曲の途中でスタイルを変えるなんてことは普通はしないものです)
オープニングとの対比を与えるために、
オープニングの曲のメロディーをそのまま使って
アレンジだけを変えているところも巧妙です。

 ◆ 落書きとの関係?
このように、たしかに「出典」(des références)のある
「サウンド・トラックのお遊び」(jeu de piste)だとは思うのですが、
「壁の落書き」(écrit sur les murs)との「関係」(rapport)が
具体的にどういうものなのかが、良く分かりません。

僕が見た限りでは、
明確に音楽と関連のありそうな落書きは以下の3例です。
(看板も含めています。
 原文の「écrit」は「書かれたもの」という意味です)
11:55
[11:55]
マンハッタンに「RADIO CITY MUSIC HALL」という有名な劇場があります。
● ウィキペディア日内「ラジオシティ・ミュージックホール」
前述のニューヨークの摩天楼の一角にあります。
20:15
[20:15]
「BE BOP」というジャズのスタイルがあります。
● ウィキペディア日内「ビバップ」
なお、この場面で鳴っているBGMはビ・バップではありません。
とくにこれと特定できる作風ではありません。
55:31
[55:31]
「So What」というジャズの有名な曲があります。
● ウィキペディア米内「So What (composition)」
ジャズの歴史を変えた非常に有名な曲です。
曲そのものは作中では使われていません。
45:16
[45:16]
45:11
[45:11]
「So What」は
ZONE-1のEASTブロックとWESTブロックを結ぶ通りの名前
ではないかと思います。
くわしくは以下の記事を参照してください。
補足資料『メトロポリス』:ZONE-1の地図

また、明確に音楽と関係しているとは言えませんが、
上述のニューヨークのマンハッタンを想起させるものがあります。
45:15
[45:15]
「Park Avenue」(パーク・アヴェニュー)はマンハッタンの通りの名前です。
● ウィキペディア米内「Park Avenue (Manhattan)」
上述の摩天楼とハーレムをつなぐ通りです。
56:03
[56:03]
「MANHATTAN」(マンハッタン)の「TTAN」だと思います。
● 「あっとニューヨーク」内「基本情報・旅行情報>地図/地下鉄マップ>ニューヨークの地図(ニューヨーク区・マンハッタン島全域)」
  *ハーレムと摩天楼のあるミッドタウンの位置関係を
  確認することが出来ます。
● 同上内「>ミッドタウン(北側)の地図」
  *ロックフェラーセンターを赤丸で囲ってあるところに
  「Radio City Music Hall」とあります。
  クライスラービルは42nd StとLexington Aveの角、
  (Radio City Music Hallの南東)
  エンパイアステートビルディングは地図から見切れていますが、
  33rd,34th StとFifth Aveの角で、
  クライスラービルの南西に位置します。
  Radio City Music Hallとクライスラービルのあいだに
  「Park Ave」とあります。

ということで、
落書きとサウンド・トラックとのあいだに
とくにこれと言えるほどの関係を挙げることが出来ません。
「par rapport à」は、
たんに並列の意味として解釈するべきなのでしょう。

 ◆ 『St. James Infirmary』と『There'll Never Be Good-Bye』
「サウンド・トラックのお遊び」という意味では、
挿入歌の『St. James Infirmary』と『There'll Never Be Good-Bye』も
確認しておく必要があるでしょう。

  ◇ 『St. James Infirmary』
『St.James Infirmary』はブルースの古典的な曲です。
● アマゾン日内「ジャズ詩大全〈第7巻〉」のページ
  *この曲について解説されています。
  大型図書館で架蔵しているところがあります。
● 「Absolute Lyrics」内「Van Morrison>Saint James Infirmary」
● 同上内「The White Stripes Lyrics>St. James Infirmary Blues」
  *歌詞を参照することが出来ます。
  こういう曲の常として
  歌詞はその場の気分で歌い替えられる場合があるので、
  細かい点で相違があります。

『ジャズ詩大全』(第7巻)によると
この曲は全部で4番まであるようなのですが、
映画のなかで歌われているのは3番です。
上記の歌詞検索サイトで紹介されているのは3番と4番です。
実際に歌われている歌詞は以下のようになると思います。
I went down to St. James Infirmary,
I saw my baby there.
She was stretched out on a long white table,
so cold, so sweet, so bare.
Let her go, let'er go, God bless her,
wherever she may be.
She can look this wide world over,
she'll never find a sweet man like me.
聖ジェイムズ診療所へいって
そこで僕のあのこを見たよ
長い白いテイブルの上でのびていた、
冷たく優しい表情で裸だった
彼女を死なせてやってくれ、死なせてやってくれ
神よ、あのこに祝福を! あのこがどこへいくのであろうと
あのこが世のなかを見わたしたって、
僕より優しい男は見つけられっこないさ
[『ジャズ詩大全』第7巻204~205ペイジの原詩・訳をもとに私見により改めた。訳は村尾陸男]

(おそらく暴行を受けて病院に担ぎ込まれた)
瀕死の恋人を見送る歌です。
ティマを天使に見立てる場面[48:51~50:30]で、
「God bless her」(神よ、あのこに祝福を!)と歌いながら、
じつはティマが失われることを予告しているわけです。
非常に巧妙な選曲だと思います。

  ◇ 『There'll Never Be Good-Bye』
この曲は映画のために書き下ろされたのでしょう。
● アマゾン日内「THERE’LL NEVER BE GOOD-BYE~THE THEME OF METROPOLIS~」
エンディング・テーマとして使われているほか、
ティマがラジオを見つける場面[46:52~46:56]で、
この曲のサビの歌い出しが流れます。
(エンディングの[01:44:16~01:44:20]に相当)
オープニングや大崩壊後に流れるジャズ風のBGMも、
この曲をアレンジしたものになっています。

歌詞を真さんから提供していただいたのですが、
さすがに全文転載するのは問題がありすぎるので、
もっとも重要だと思われる箇所の訳詩だけ、
抜粋しておきたいと思います。
(サックスソロの次のサビ明けから最後まで、[01:46:17~01:47:18])
お叱りを受けた場合は即刻削除する所存です。
手を握っていてくれた時のように
私の心のそばにいて
私の命は終わっていくけれど
あなたは私のなかで生き続ける
私の心が私のものでなくなってしまうまで
でも堕ちていく私の姿をあなたには見せたくないから
ここから消えよう

そう、忘れないで、
これはさよならではないの

決して忘れないで、
さよならなんて
ないのだから。
[原詩はMinako "mooki"Obata、訳者不明]
 *個人的に気になるので注記しておきますが、
 訳詩中「堕ちて」とあるところの原詩は「fall」です。

ケンイチの心情に重ねあわされる
『I Can't Stop Loving You』と『St. James Infirmary』に対して、
ティマの側からのアンサー・ソングになっています。
深読みに過ぎるかもしれませんが、
映画のオープニング・テーマはこの曲をアレンジしたものですから、
この映画は全編にわたって、
BGMによって結末(もしくは結末以後)が予告されていることになります。
各場面にぴったりの音楽だけではなく、
あえて内容をずらせることによって、
音楽によって作品の世界が二重三重に広げられているわけです。

なお、
『There Will Never Be Another You』というジャズの有名な曲があるので、
もしかしたらこれを踏まえているのかも知れません。
(「There'll never be~」というのは慣用句ですが、
 『~Another You』はものすごく有名な曲なので、
 本田俊之が知らないはずがありません)
● 「ARTANIS」内「 There Will Never Be Another You...(Harry Warren) 」

――どうでもいいことですが、
古典的な曲の中から絶妙の選曲をする監督の手腕も恐ろしいですが、
作詞者(Minako"mooki"Obata)と作曲者(本田俊之)は、
レイ・チャールズとブルースの古典に匹敵する曲を創ってくれ
と言われているのも同然なのですから、
よくもまあ、仕事を受けたよな、と思ったり思わなかったり……。
(普通は畏れ多くて出来ませんよね、やっぱり)

 ◆ その他
エンド・クレジットによると、
ジャズ風のBGMを演奏しているバンドの名前は
「METROPOLITAN RHYTHM KINGS」となっていますが、
(メンバーも豪華です)
これはディキシーランド・ジャズのバンド名を意識したものだと思います。
● ウィキペディア米内「New Orleans Rhythm Kings」
そしてなんと、
りんたろう監督がバスクラリネット(B.Cl)でクレジットされています。
ロートン博士の研究所が映し出される場面[14:47~15:07]の、
右チャンネルでトリルを吹いているバスクラリネットが
りんたろう監督だと思うのですが、いかがでしょうか。
とにかく、
音楽にしっかりとした意味づけがなされているのは間違いないようです。

また、じつは主人公のケンイチの声も、
有名なジャズ・シンガーの小林桂が担当しています。
● 小林桂公式サイト
映画公開の2001年は、
ちょうど小林桂が精力的に売り出していた時期に当たります。
声優の才能まであるとは恐ろしいかぎりですが、
サウンド・トラックに参加していないのが実に惜しいっ。
せっかくだから本多俊之と競演して欲しかったのに……。

なお、ヒップ・ホップのグラフィティ風の落書きを
作品の諸所で見つけることができますが、
ヒップ・ホップとの関連は考えなくても良いでしょう。
● ウィキペディア日内「グラフィティ」
● 同上内「ヒップホップ」




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 21:40 | メビウスの子孫たち
訳注『メトロポリス』:ティマが部屋の壁一面に愛する人の名前を書く場面
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ ティマが部屋の壁一面に愛する人の名前を書く場面
以下の場面のことでしょう。
01:08:39(1)01:08:39(2)
01:08:4001:08:42
[01:08:39(1)][01:08:39(2)]
[01:08:40][01:08:42]
メビウスは、
「Ca veut dire
 que l’écriture, le hiéroglyphe manifesté est
 porteur du fond d’elle même. 」
(これは、
 この書かれた文字、表出された象形文字が、
 まさに彼女の内面そのものを伝えるものだということを
 意味している。)
と言っています。




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 21:30 | メビウスの子孫たち
訳注『メトロポリス』:アトラスとユゴーのガヴローシュ
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ アトラスとユゴーのガヴローシュ
アトラス(Atlas)は『メトロポリス』の登場人物、
ガヴローシュ(Gavroche)は
フランスの小説家ヴィクトル・ユゴー(Victor Hugo)の
小説『レ・ミゼラブル』に登場する少年のことです。
● 『メトロポリス』公式サイト内「CHARACTER>アトラス」
  *アトラスの紹介画像として
  特にこの画像が選ばれていることに注意しておいて下さい。
● ウィキペディア日内「ヴィクトル・ユーゴー」
● 同上内「レ・ミゼラブル」
  *1800年代前半のフランス、
  とくに1830年の七月革命前後が主な舞台になっています。
● 「Project Gutenberg」内「Les misérables Tome I」
● 同上内「Les misérables Tome II」
● 同上内「Les misérables Tome III」
● 同上内「Les misérables Tome IV」
● 同上内「Les misérables Tome V」
  *『レ・ミゼラブル』のフランス語原文を読むことが出来ます。
  全五巻の長大な作品です。
● アマゾン日内『レ・ミゼラブル』(新潮文庫)第一巻のページ
  *僕はこの邦訳を参照しました。全五巻です。
● ウィキペディア仏内「Gavroche」
  *ここで挙げられている画像がガヴローシュの一般的なイメージです。
  ガヴローシュは
  パリに住む浮浪児の典型的なイメージとして知られています。
  「ABC」(仏語で「アベセー」と発音)という革命団と仲良くなって、
  1832年のパリ市での蜂起に参加、12歳で銃弾に倒れます。
  口は悪いが憎めない小僧、という感じの人物です。

『レ・ミゼラブル』から特に関連のありそうな箇所を引いておきます。
 この物語の第二部で述べた出来事から、およそ八、九年たったころ、タンプル大通りや、シャトー・ドーの近辺で、十一、二歳の男の子が見受けられた。[中略]この子は大人のズボンを変な具合にはいていたが、それは父親譲りのものではなかったし、女ものの上着を着ていたが、それも母親譲りではなかった。
[中略]
 言い忘れたが、この子は、タンプル大通りではプチ・ガブローシュと呼ばれていた。
 Huit ou neuf ans environ après les évènements racontés dans la deuxième partie de cette histoire, on remarquait sur le boulevard du Temple et dans les régions du Château-d'Eau un petit garçon de onze à douze ans [中略]Cet enfant était bien affublé d'un pantalon d'homme, mais il ne le tenait pas de son père, et d'une camisole de femme, mais il ne la tenait pas de sa mère.
[中略]
 Nous avons oublié de dire que sur le boulevard du Temple on nommait cet enfant le petit Gavroche.
[佐藤朔訳、新潮文庫第三巻32~35ペイジ、第三部第一章13、以下同様]
 *ガブローシュの初登場場面です。

[前略]パリにはこの種の結社の数ある中で、ABCの友の会というのがあった。
[中略]
 ABCの友と自称していたが、つまり「下層の者」[ルビ:アベセー]で、民衆のことだった。その民衆を立ち上がらせようとしたのである。
[中略]
 ABCの友のいつもの秘密集会は、キャフェ・ミュザンの奥の部屋で行われた。
il y avait à Paris, entre autres affiliations de ce genre, la société des Amis de l'A B C.
[中略]
 On se déclarait les amis de l'A B C.—L'Abaissé, c'était le peuple. On voulait le relever.
[中略]
 Les conciliabules habituels des Amis de l'A B C se tenaient dans une arrière-salle du café Musain.
[第三巻110~111ペイジ、第三部第四章1]
 *革命を志す秘密結社の名前は
 「下層の者」との掛詞になっています。
 (仏語ではどちらも「アベセー」と発音)
 この結社の団員の一人マリユスが
 ガヴローシュの家の隣に住んでいたことから、
 ガヴローシュが革命団の団員に可愛がられるようになります。

このとき、ぼろをまとった一人の少年が、メニルモンタン通りからやって来た。[中略]骨董屋のおかみさんのいる店先で、乗馬用のピストルを発見した。彼は花のついた枝を敷石に捨てて、叫んだ。
「おばさん、こいつを借りるよ」
 そして彼はそのピストルを持って逃げ出した。
[中略]
 それは戦いに行くプチ・ガヴローシュだった。
 大通りまで来たとき、彼はピストルに撃鉄がないことに気がついた。
En ce moment un enfant déguenillé qui descendait par la rue Ménilmontant,[中略]avisa dans la devanture de boutique d'une marchande de bric-à-brac un vieux pistolet d'arçon. Il jeta sa branche fleurie sur le pavé, et cria:
 —Mère chose, je vous emprunte votre machin.
 Et il se sauva avec le pistolet.
[中略]
 C'était le petit Gavroche qui s'en allait en guerre.
 Sur le boulevard il s'aperçut que le pistolet n'avait pas de chien.
[第四巻391~392ペイジ、第四部第十一章1]
 *ガヴローシュが蜂起に加わる場面です。
 一般的なイメージではガブローシュは銃を持っていますが、
 じつは、彼は子供なので
 なかなか銃を持たせてもらえていません。
 この銃にも撃鉄が付いていないとあります。

 だが、一弾が、ほかのよりも狙いがよかったのか、陰険だったのか、とうとう鬼火のような子供にあたった。ガヴローシュはよろめいたと見るままに、くず折れた。[中略]一筋の血が顔に長く糸をひいた。両手を空中にあげ、弾丸の来る方を見つめて、歌いだした。

 俺は地面に倒れた、
 そりゃ、ヴォルテールのせいだ、
 どぶに鼻をつっこんだ、
 そりゃ、ルソーの……

 彼は歌い終わらなかった。同じ射手の第二弾が、それをぴたり止めたのだ。[中略]この小さな偉大な魂は、今飛び去ったのである。
 Une balle pourtant, mieux ajustée ou plus traître que les autres, finit par atteindre l'enfant feu follet.[中略]un long filet de sang rayait son visage, il éleva ses deux bras en l'air, regarda du côté d'où était venu le coup, et se mit à chanter.

 Je suis tombé par terre,
 C'est la faute à Voltaire,
 Le nez dans le ruisseau,
 C'est la faute à....

 Il n'acheva point. Une seconde balle du même tireur l'arrêta court.[中略]Cette petite grande âme venait de s'envoler.
[第五巻77~78ペイジ、第五部第一章15]
 *ガヴローシュの死の場面です。
 ガヴローシュはよく歌を歌う人物でもあります。


アトラスがガヴローシュを暗示(allusion)している場面というのは、
以下の場面を指しているのでしょう。
57:42
[57:42]
なお、以下の記事も参照してください。
訳注『メトロポリス』:ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 21:20 | メビウスの子孫たち
訳注『メトロポリス』:ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』
フランスの画家ドラクロワ(DELACROIX)が19世紀に発表した絵画
『民衆を導く自由の女神』(La Liberté guidant le Peuple)のことです。
● ウィキペディア日内「ウジェーヌ・ドラクロワ」
● 同上内「民衆を導く自由の女神」
● 同上内「画像:Delacroix Liberty Leading the People 1830.jpg」(作品の大サイズの画像を見ることが出来ます)
画面の中央でフランス国旗を掲げている女性が
フランスという国を象徴するイメージとして受け容れられていて、
フランス人なら誰でも知っている作品です。
● ウィキペディア日内「マリアンヌ」
七月革命という実際に起こった革命を題材にしていて、
フランスの市民革命の精神を象徴する作品と考えられています。
● ウィキペディア日内「フランス7月革命」

この作品が登場するのは以下の場面です。
35:21民衆を導く自由の女神
[35:21]
左側の壁に書かれている文字は、
「FREEDOM PHLANTHROPY EQUALITY」(自由・博愛・平等)が
見切れたものでしょう。
フランス国旗が象徴する理念です。
(『メトロポリス』作中の女神は旗は持っていませんが)
● ウィキペディア日内「フランスの国旗」
七月革命(1830年)に先立つフランス革命(1789~1794年)で制定されました。

まさしく「一瞬」(un moment)しか映らないので、
メビウスがかなり注意深く『メトロポリス』を観ていることが伺えます。

なお、
『メトロポリス』作中の絵では見切れていますが、
『民衆を導く自由の女神』の女神の右側で銃を振り上げている少年は、
『レ・ミゼラブル』のガヴローシュを描いたものとして非常に有名です。
57:42民衆を導く自由の女神
訳注『メトロポリス』:アトラスとユゴーのガヴローシュ
アトラスがガヴローシュを暗示する場面も、
じつはこの絵画から採られているわけです。
(ウィキペディア仏のガヴローシュの画像もこの絵から切り取られたものです)
● グーグル日での「Gavroche」のイメージ検索の結果
● グーグル仏での「Gavroche」のイメージ検索の結果
ただし、七月革命は1930年、
ガヴローシュが参加したのは1932年のパリでの共和派の蜂起です。




目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 21:10 | メビウスの子孫たち
訳注『メトロポリス』:バベルの神話
「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
他の関連記事については以下のインデックスを参照してください。
目次:メビウス、『メトロポリス』を語る


◆ バベルの神話
これはもちろん、聖書のバベルの塔の挿話でしょう。
● ウィキペディア日内「バベルの塔」
● 「日本聖書協会ホームページ」内「メインページ>聖書を読む>聖書本文検索>訳名選択:新共同訳, 書名選択:創世記, 章選択:11で検索」
  *聖書の該当箇所を読むことが出来ます。
  残念ながら検索結果に直接リンクすることが出来ないようなので、
  上記の手順で検索しなおしてください。
  聖書の邦訳にはいくつものバージョンがありますが、
  新共同訳が現在もっともポピュラーなものです。
● 「La bibliothèque du Cherf」内「La Traduction œcuménique de la Bible (nouvelle édition)> LA GENÈSE」」
  *仏訳版聖書の該当箇所です。
  表示されているのは「創世記」(LA GENÈSE)の冒頭です。
  ページ右上の「>>page suivante」(次のページ)をクリックして、
  表示される本文の右肩に「11, 3」と表示されるまで移動してください。
  創世記冒頭が65ページ、バベルの塔が81ページに相当します。
  (「>>page suivante」を16回クリックする)
  「La tour de Babel」とあるところから、
  次のページに移って「De Sem à Abraham」とある直前までが
  バベルの塔の挿話になります。
  仏訳版にも多くのバージョンがあるのですが、
  この「Traduction Oecuménique de la Bible」
  (「新共同訳」に相当)が、もっともポピュラーのようです。
  メビウスがどの宗派でどの訳を想定しているのかは分かりませんが、
  (おそらくカトリックだとは思いますが)
  この版は宗派にかかわらず参照できるものとして作られているので、
  フランスでもっともポピュラーな聖書として、
  ひとまずはこの版を想定しておけばよいでしょう。
バベルの塔
La tour de Babel

創世記 / 11章
LA GENÈSE / 11

世界中は同じ言葉を使って、同じように話していた。
La terre entière se servait de la même langue et mêmes mots.

東の方から移動してきた人々は、
シンアルの地に平野を見つけ、そこに住み着いた。
Or en se déplacant vers l'orient,
les hommes découvrirent une plaine dans le pays de Shinéar
et y habitèrent.

彼らは、「れんがを作り、それをよく焼こう」と話し合った。
石の代わりにれんがを、
しっくいの代わりにアスファルトを用いた。
Ils se dirent l'un à l'autre :
«Allons ! Moulons des briques et cuisons-les au four.»
Les briques leur servirent de pierre et
le bitume leur servit de mortier.

彼らは、
「さあ、天まで届く塔のある町を建て、有名になろう。
そして、全地に散らされることのないようにしよう」と言った。
«Allons ! dirent-ils,
bâtissons-nous une ville et une tour
dont le sommet touche le ciel.
Faisons-nous un nom afin de ne pas être dispersés
sur toute la surface de la terre.»

主は降って来て、人の子らが建てた、塔のあるこの町を見て、
Le SEIGNEUR descendit pour voir la ville
et la tour que bâtissaient les fils d'Adam.

言われた。
「彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、
このようなことをし始めたのだ。
これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。
«Eh, dit le SEIGNEUR,
ils ne sont tous qu'un peuple et qu'une langue
et c'est là leur première oeuvre !
Maintenant,
rien de ce qu'ils projetteront de faire
ne leur sera inaccessible !

我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、
互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。」
Allons, descendoons et brouillons ici leur langue,
qu'ils ne s'entendent plus les uns les autres !»

主は彼らをそこから全地に散らされたので、
彼らはこの町の建設をやめた。
De là,
le SEIGNEUR les dispersa sur toute la surface de la terre
et ils cessèrent de bâtir la ville.

こういうわけで、この町の名はバベルと呼ばれた。
主がそこで全地の言葉を混乱(バラル)させ、
また、主がそこから彼らを全地に散らされたからである。
Aussi lui donna-t-on le nom de Babel
car c'est là que le SEIGNEUR brouilla
la langue de toute la terre,
et c'est de là que le SEIGNEUR dispersa les hommes
sur toute la surface de la terre.





目次:メビウス、『メトロポリス』を語る
[PR]
# by moebius-labyrinth | 2006-11-15 21:00 | メビウスの子孫たち
Merci pour votre visite :o) Un manuel pour envoyer votre commentaire :
http://moebius.exblog.jp/2993114/

カテゴリ
リンク(メビウス関連)
書店

紀伊国屋

 ├洋書詳細検索ページ
 └洋古書詳細検索ページ
丸善
パピエ
 ├メビウスのページ
 └「商品のご購入手順」
アマゾン日
アマゾン仏
 └書籍詳細検索ページ
アマゾン英
アマゾン米
BD NET
fnac.com
 └書籍詳細検索ページ
オークション
eBay仏
eBay米
出版社

Stardom(Moebius-plus)*
 └復活版
HUMANO ASSOCIES
 ├メビウスのページ
 └メビウスの伝記
DARGAUD
 └メビウスのページ
Casterman
 └メビウスのページ
公式サイト

INSIDE MOEBIUS
 └和訳付解説
Moebius-plus(新)*
 └復活版
Moebius-plus(旧)
「ブルーベリー」(ベデ)
『ブルーベリー』(映画)
「Le Monde d'Edena」
『アルザックラプソディ』
「宮崎駿-メビウス」展
 ├全訳
 ├出品作品の画像
 └関連記事インデックス
『MOEBIUS STRIP』
ファンサイト
メビレンジャー*
 ├作品レビュー*
 ├著作目録*
 └掲示板*
テクノドローム
 └作品レビュー
ベデ知事
MAJOR GRUBERT
 └サイト内検索
BIBLIOGRAPHIE ILLUSTRE
 └簡易解説
MOEBIUS Fatal
Obsesion MOEBIUS
Pierre Tritten
 └サイト内検索
CANYON DE BLUEBERRY
ベデ全般
データベース

BD NET
BD GEST'(B'd'd)
BD GEST'
BULLEDAIR.com
 ├メビウス作品一覧
 └検索ページ
ENCYCLO'BD
GUEULE DU LOUP
 └サイト内検索
BD Oubliees
 └検索ページ
Originaux BD
 └メビウスのページ
ベデ作家一覧
漫画家一覧
ベデ雑誌名一覧
ニュース
メビウスML(仏)
 └概要解説
Actua BD
 └ニュース
ANGREAL.COM
CoinBD.COM
 └ニュース
sceneario.com
 ├ニュース
 └検索ページ
COMIC.DE
 └サイト内検索
a.bd.com
BD Paradisio
 └検索ページ
メタサイト
ANNUAIRE BD
 └検索ページ
neuvieme-art.net
人気ジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
リンク(その他)
おぼえがき
*は現在閉鎖中
デッドリンクも
あえて消去していない。
下訳1
公式サイト不通状態の調査
バイオグラフィー訳まとめ

惚れた