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[『L'Incal 1』和訳 第1章(1)]からのつづき
[6>1]
JE L'AI DONC EMMENEE A LA CEINTURE ROUGE...
TOUJOURS PLUS BAS!
ELLE ETAIT INSATIABLE... CA, JE DOIS DIRE QUE,
QUESTION BAMBOULA, ELLE M'EN A BOUCHE UN COIN...
ENFIN... TOUT AVAIT L'AIR DE DEVOIR SE PASSER,
PAS TROP MAL LORSQU ELLE A VOULU TERMINER EN BEAUTE
AU "DAREDEVIL"!
C'EST LA QU'ELLE EST TOMBEE SUR KILL "TETE-DE-CHIEN"
そういうわけで、おれは彼女を「赤い環」まで送り届けてやった。
そうすると、さらに地下まで潜れとか言いやがる。
まったく注文の多いレディだよ。そうだろ?
バンブーラとか言うところまで行けとか言うんだが、
辺鄙な場所だとか何だとか言うだけでさ。
結局、みんな彼女の言うなりさ。
最後に「デア・デビル」ってクラブに行き着いた。
彼女にはまんまとしてやられたけど、まああれで済んで良かったと思うよ。
で、そこが、
彼女が犬頭族のキルってやつに偶然出会った場所だった、ってわけさ。
*「BAMBOULA」というのがよく分かりません。
参照→
■■■■
「BAMBOULA(バンブーラ、バンブラ)」は地名、
もしくはダンスの名前のようです。
ただ、今回のこの文脈には関係しそうにないものばかりです。
架空の地名だと思います。
[6>2]
MM! KILL,
TON MUSEAU NOIR ME DONNE DES IDEES ROSES!
HIHIHI...
ああ、キル、
あなたの黒いお顔を見てるとなんだか心がバラ色になるわ、
うふふふふ……。
MON LOUP!
愛してるわ、狼さん!
MA REINE!
俺もだぜ王女さま!
PLUS QUE DIX MINUTES
あと十分少々だぞ。
C'EST PAS SOUVENT QUE KILL
DEVAIT LEVER DES ARISTOS DE CETTE CLASSE!
IL LUI A SORTI LE GRAND JEU!
キルがこのクラスのお偉いさんに本気になるなんてことは
まずないことだ。
ちょっと火遊びが過ぎるんじゃないか?
[6>3]
RRM!..RRM!.. DAME QUINQ!!
PLUS QUE DIX MINUTES AVANT MINUIT...
IL EST TEMPS DE RENTRER CHEZ VOUS!
A BELLEVUE...
おいおい、キンクさんよ!
午前零時まであと十分ちょっとしかないんだぜ……。
そろそろお家に帰る時間じゃあなかったっけ?
ベルヴュまで戻らなきゃやばいぜ。
*「A(綴り字記号アクサン・グラーヴ付き)」は
その後ろに場所を表わす名詞をともなって
「~まで」という意味なので、
「BELLEVUE」というのは地名だと思います。
ナーブ・シュペール・キンクがコナプトを構えている
土地の名前なのでしょう。
[5>3]の訳注も合わせて参照してください。
[6>4]
RIEN A FAIRE!
SI CETTE CINGLEE CONTINUAIT COMME CA JE POUVAIS DIRE ADIEU
A MES CINQUANTE CUBLARS...
まったくお手上げだ!
もし、この気違い沙汰がこのまま続くんなら、
50キュブラにはバイバイしてもいいかもな……。
[6>5}
BON SANG!
JE DOIS TROUVER UN MOYEN!
ちくしょう!
こうなったら何か手を打たなきゃ!
...SURTOUT QU'AVAC LA VITALITE LEGENDAIRE DE KILL,
CA POUVAIT DURER COMME CA TOUTE LA NUIT...
しかも、キルの野郎の絶倫さと言ったら尋常じゃないからたまらない。
見てみろよ、このまま一晩中でもやりまくりやがるぜ。
[6>6]
IL ALLAIT FALLOIR EMPLOYER LES GRANDS MOYENS!
どうやら、こいつにお出まし頂かなきゃならないようだ!
[6>7]
MINUIT MOINS DES POUSSIERES!
LE COUP DEMANDAIT UNE PRECISION PARFAITE!
午前零時までもう間がない!
一発で完璧に決めなきゃな!
S'IL NE REMUAIT PAS TANT!
頼むから騒がないでくれよ!
STONN!
バァァン!
[6>8]
BON DIEU!
MAIS CE CON M'A TROUE L'OREILLE!
くそっ!
このマヌケはどこのどいつだ?
LAISSE-MOI T'EXPLIQUER, KILL!
J'AI SIGNE UN CONTRAT AVEC LA PETITE...
ET C'EST LE...
この場は私に任せて! 事情を説明しよう、キル!
わたしはそこのレディーと契約を交わしている者です。
つまり、これは……
LE SALAUD! LE SALAUD!
JUSTE AU MOMENT OU J'ALLAIS ENFIN AVOIR MON ORGASME!
KILLY! MON LOUP, FAIS-LUI LA PEAU A CE SALAUD!
この馬鹿! 馬鹿!
もうちょっとでイキそうだったってのに!
キルちゃん、ねぇ、キルちゃん、そんなやつ殺っちゃって!
[7>1]
KILLY! TUE-LE!
JE VEUX SA PEAU!!! JE VEUX...
EARG! RAG! KOF KOF!
キル! 殺しちゃって!
殺っちゃて!!! 思い切って……、
殺し、うぐっ、げぇ、ゲホッ、ゲホッ!
GRRR!
ガルルル!
LA... LA FILLE!
お、おい、彼女が!
QUOI, LA FILLE?
何? 彼女?
[7>2]
BON DIEU!
クソっ、何なんだよこれは!
OUCH
痛てっ
[7>3]
EN FIN DE COMPTE, NIMBEA SUPER QUINQ ETAIT UNE VIEILLARDE
DONT L'HOLOMAQUILLAGE TOMBAIT A MINUIT
結局のところ、ネーベ・シュペール・キンクってのは実は老婆で、
彼女のホログラフィック・メイクは、午前零時までしか持たない代物だった、
というわけさ。
*「HOLOMAQUILLAGE」は「HOLO(類似)」と
「MAQUILLAGE(化粧)」の合成語でしょう。
「HOLO」は英語の「hologram(ホログラム、立体画像」などの
構成要素となっている接頭語です。
検索しても見事に『L'Incal』の解説しかヒットしないので(→
■)、
この作品での造語と考えてよいと思います。
思い切って「ホログラフィック・メイク」という言葉を
新規に作ってみました。
VOUS ETES TOUS QUE DES SALAUDS DE BATARDS
このふにゃチンどもがっ!
LA FOUGUE AMOUREUSE DE KILL "TETE-DE-CHIEN"
AVAIT FAIT PERDRE LA TETE A CETTE SORDIDE CENDRILLON
というわけで、犬頭族キルの熱烈なる愛情は、
この醜いシンデレラへの愛情へと成り果てたのだった。
[7>4]
JE NE VOIS PAS LE RAPPORT ENTRE CETTE HISTOIR
ET CELLE DE SUICIDE-ALLEE! ALORS?
その話と自殺通りの事件との間にどういう関係があるんだ?
それでどうなった?
C'EST-A-DIRE QUE "TETE-DE-CHIEN" EST DEVENU COMME FOU...
IL S'ETAIT MIS DANS L'IDEE QUE C'ETAIT MOI LE RESPONSABLE DE
LA TRANSFORMATION DE NIMBEA...
IL S'EST MIS A ME COURIR APRES A TRAVERS LA FOULE DU "DAREDEVIL"
まあこういうわけで、犬頭族のやつは気が狂ったように怒り出しやがった。
やつは、ナーブの変化は俺に責任があると思ったようだ。
そこで、クラブ「デア・デビル」の人ごみを押し分けて
俺を追いかけて来やがったんだ。
IL Y A AUSSI UN TRUC...
IL GUEULAIT QU'IL SE VENGERAIT EN M'ARRACHANT LES OREILLES
POUR ME LES FAIRE MANGER
そのうえこうも言ってたな。
必ず復讐してやる、お前の耳を引きちぎって、
お前自身に食わせてやる、とか何とか。
[7>5]
JE REUSSIS ENFIN A LUI ECHAPPER EN UTILISANT UNE CONDUITE DE VENTILATION...
KILL ETAIT TROP GROS POUR ME SUIVRE
どうにか逃げ出すことが出来て、通風管にもぐり込んだ。
キルってのはとにかくでかいやつだから、俺を追っては来れなかったってわけさ。
[7>6]
セリフなし
[7>7]
UNE HEURE PLUS TARD, J'ETAIS COMPLETEMENT PERDU
一時間後、今度は俺が道に迷っちまってた。
[7>8]
LORSQUE SOUDAIN, UN FRACAS DE COURSE RESONNA
DANS L'IMMENSE ET NAUSEABOND COULOIR
突然、何かが走る大きな音が、
吐きそうなほど汚い大通路の中に響きわたったんだ。
SERAIT-CE KILL?
キルか?
[8>1]
CE N'ETAIT PAS KILL,
MAIS CA M'AVAIT TOUT L'AIR D'ETARE PIRE!
それはキルじゃなかった、
でも、俺にとっちゃそれよりも悪いものだったね。
QU'EST-CE QUE C'EST QUE CA?
な、何なんだありゃ?
[8>2]
JE N'AVAIS JAMAIS ENTENDU PARLER D'UN MONSTRE SEMBLABLE
..IL ME FONCAIT DESSUS COMME UN BULLDOZER
AVEC UNE EXPRESSION AUSSI AMICALE DANS LE REGARD!
あんな怪物見たことも聞いたこともなかったね。
やつはまるでブルドーザーのように俺に襲いかかって来やがった、
しかも、その目の中に愛(いと)おしそうな表情を浮べながらだぜ!
[8>3]
...MAIS CHANCE INOUILE,
CETTE ENORME CHOSE N'ETAIT ARRIVEE JUSQUE LA,
QUE POUR S'ECRASER ET MOURIR
しかし、思い付きもしなかったことが起こった。
そのデカブツは俺のところまではたどり着けなかった。
途中でくずれ落ちて死んじまったんだ。
J'EUS LE TEMPS DE DISTINGUER UNE CURIEUSE LAME FICHEE
DANS LE DOS DU MONSTRE
そのとき俺は、変わった刀が怪物の背中に刺さっているのに気がついた。
[8>4]
LE CHOC FUT SI VIOLENT QUE JE TOMBAI AUSSI SEC DANS LES POMMES
しかし、怪物が倒れた衝撃があまりに激しかったおかげで、
その後すぐに、俺も一緒に倒れて気絶しちまったってわけさ。
[8>5]
JE NE DEVAIS REPRENDRE CONSCIENCE QU'A SUICIDE-ALLE,
AVEC CES TROIS ENFOIRES QUI ME TABASSAIENT...
TU CONNAIS LA SUITE...
で、気が付いたら自殺通り、
あの馬鹿三人に殴られてたってわけさ。
その後のことはあんたも知ってるだろ?
ET BIEN ENTENDU
TU NE LES CONNAISSAIS PAS...
ET TU N'AS AUCUNE IDEE DE CE QU'ILS TE VOULAIENT...
ああ、もちろんだとも。
ヤツらのことなんて何も知らないって言いたいんだろう?
ヤツらがお前に何を求めていたのかについても、何も分からないってことだな?
BEN NON! AUCUNE IDEE!
D'AILLEURS, ILS AVAIENT DES MASQUES... ET...
ああ、知らないね! 何も分からない!
だいたい、ヤツらはマスクを被ってたし……、それに……、
[8>6]
..TE FATIGUE PAS... ON LES A IDENTIFIES...
DE PETITS TUEURS IMMATRICULES A L'"AMOK"...
IMPOSSIBLE DE CONNAITRE LUER COMMANDITAIRE...
O.K.... TU ES LIBRE, DIFOOL...
MAIS TU AS TORT DE NOUS CACHER LA VERITE,
CETTE AFFAIRE EST PUANTE!
ET TOUT CE QUE TU RISQUE DE GANGER, C'EST...
……悪あがきはよせ。ヤツらの素性ならもう判明している。
「AMOK」に登録されているケチな殺し屋だ。
依頼主を割り出すのはたぶん不可能だろう……。
オーケー、帰っていいぞ、ディフール。
しかし、ウソをついても無駄だからな。
どうもきな臭い事件だ。
そこまでしたって、どうせお前が得るものなんてのは……
...MAIS, J'AI DIT LA VERITE!
JE N'AI RIEN A CACHER MOI...
D'AILLURES TU PEUX TOUT VERIFIER : L'HISTOIRE DE LA VIEILLE,
TETE-DE-CHIEN LE CADAVRE DU MONSTRE, ETC...
いや、本当のことを言ってるさ!
全部、つつみ隠さず言ってるとも。
そんなに言うんなら、全部調べてもらったって構わないんだぜ。
年寄りの話も、犬頭族も、怪物の死体も、それから……
C'EST TON "ETC" QUI SENT MAUVAIS, DIFOOL!
ああ、分かった、分かった、「それから、それに、他には……」、
君の話にはうんざりだよ、ディフール!
[8>7]
BON SANG... PY A RAISON! BAH...
LE PLUS URGENT MAINTENANT EST DE ME REFAIRE UNE BEAUTE,
TROUVER DE QUOI FUMER ET M'HUMECTER LE GOSIER...
EN COMPAGNIE DE QUELQU'UN DE DOUX,
ROSE ET TENDRE!
くそっ……。PYのやつ、感づいてやがる! ……まあ、いいさ。
さあて、とりあえずこのナリをどうにかしなきゃな。
たばこでも吸って、渇いた喉もうるおして、
おんなの肌も恋しいぜ。若くてピチピチしたやつがな!
*「ROSE ET TENDRE」というのがイマイチよく分かりません。
グーグルで検索するとそれなりにヒットする句なので(→
■)、
慣用句だとは思うのですが、はっきりした意味が分かりません。
形容詞を二つ並べた「バラ色で、年が若い」というような意味だと思い、
上記のように訳しておきました。
PLUS TARD DANS UNE GALERIE D'ANIMATION DU QUARTIER FRANCAIS
この後、フランス地区のアニメーション・ギャラリーの場面につづく。
*「GALERIE D'ANIMATION(アニメーション・ギャラリー)」というは、
この後ディフールが行く、いわゆるソープランドのことだと思います。
[10>4]でパネルの中から好みの女性のパーツを選んでいる場面がありますが、
これがまさしく「アニメーション・ギャラリー」なんじゃないでしょうか。
ちなみに大祝日「Jの日」なので、この女性もロボットか何かなのでしょう。
TIENS! VOILA D'AILLEURS CE QU'IL ME FAUT
ふんっ! それに、やつも肝心のことには気付いてないしな。
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