この記事は大友克洋とメビウスの対談記事の全訳の準備稿です。
全訳が完成しましたので、
よろしければ以下の記事を参照して見てください。
[
メビウス&大友克洋対談記事:「OTOMOEBIUS」1]
苦労して手に入れられた記事を提供していただいて、
このままではあまりに申し訳ないので、
ほんの少しずつですが、全訳の作成に取り組みたいと思います。
A L'OCCASION DE LA SORTIE DE "STEAMBOY"
SON AUTEUR, KATSUHIRO OTOMO, DIALOGUE AVEC
L'UN DE SES INSPIRATEURS ET PRESQUE COMPLICE,
LE DESSINATEUR MOEBIUS.
PROPOS RECUEILLIS PAR MATHIEU CARRATIER
映画『スチームボーイ』の公開にのぞんで、
大友克洋監督がメビウスと対談を行った。
メビウスこそは、大友克洋が多大な影響を受け、
ともに漫画の世界に革命を起こし続けてきた、
ベデ・アーティストその人なのだ。
記事:マシュー・カラティエ
OTOMOEBIUS
オートメビウス、大友とメビウス
*大友(OTOMO)とメビウス(MOEBIUS)のつづりを
縮約してみせたものなのでしょう。
大友:いま何をしていたんですか?
メビウス:「ブルーベリー」の原稿を描いていたところさ。
『スチームボーイ』を観たけどすばらしい映画だね。日本での観客の反応はどうだい?
大友:なかなか良い感じですよ。
メビウス:『スチームボーイ』って、つくるのに10年間くらいかかってるんだろう? どうだった?
大友:もうくたくたですよ。
「プレミア」誌:二人がはじめて出会ったのはいつのことですか?
大友:もうずいぶん前のことになりますね。初めて出会ったのは電車の中だったんじゃないかと思います。
メビウス:たしかアングレーム市だったと思う。君が「MEMORIES」をつくってた時だった。
「プレミア」誌:大友さんはメビウスの作品についてはどうお考えですか?
大友:はじめてメビウスさんの作品に出会ったとき、それはもうとてもショックを受けました。すごく影響を受けてますね。
メビウス:僕だって君の作品には影響を受けてるよ。大友さんはまさしく日本の漫画の革命児だよ。『AKIRA』は世界中の漫画に影響を与えているしね。
『AKIRA』がフランスのアニメにも革命を起こしたことについて、二人が意見を述べます。
大友:あんまり実感がわきませんね。
「プレミア」誌:大友さんはどのような映画がお好きなのですか?
大友:好きな映画はいっぱいありますよ。いろんな国の映画を観ています。
まあ、黒澤明とか、Philippe de Brocaとかですかね。William Friedkinも大好きだな。
メビウス:ローランド・エメリッヒとかはどう?
大友:『Godzilla』はあんまり感心しなかったなぁ(笑)。
『AKIRA』がアメリカで実写映画化されるようですが?
大友:シナリオを受取っています。でもあんまりな出来だったなぁ。新しい脚本のためにライターをあらたに雇うらしいですよ。Dream Worksからお話をいただいています。
メビウス:宮崎さんはどう?
大友:宮崎さんのスタッフはもっと新人を起用すべきなんですよ。
『パーフェクト・ブルー』の今敏監督についてはどうお考えですか?
大友:独自の境地を切り拓いていると思いますよ。
『イノセンス』の押井守監督についてはどうですか?
大友:ほんとうにすばらしい作品ですよ。
メビウス:『Les Triplettes de Belleville』[訳注:『ベルヴィル・ランデブー』のことか?]はどう?
大友:すばらしい。とても興味深い作品でした。
『スチームボーイ』を気に入って、ジェームズ・キャメロンが協力を申し出ていたそうですが?
大友:かなり前のことですね。でも実現には至りませんでした。
メビウス:アメリカと協力して映画をつくるってのは、とても一筋縄では行かないことだからね。スチームパンクものの文学とかはよく読むの?
大友:名前を聞きはするんですが、ぜんぜん読んでませんね。
メビウス:そうなの? 僕はてっきり『スチームボーイ』って題名は「スチームパンク」にかけてあるものとばっかり思ってたよ。よく似てるじゃないか。
大友:『スチームボーイ』というのは、手塚治虫先生の『鉄腕アトム』(アストロボーイ)にかけてあるんですよ。
メビウス:これからはどうするの?
大友:『スチームボーイ』の続編をつくろうと思っています。でもまだ脚本を描いている段階です。題名は『スチームガール』って言うんですよ。
メビウス:本当に?
大友:本当ですとも!