前回の記事での、
「宮崎駿―メビウス」展カタログに出て来る
『天空の城ラピュタ』のセリフっぽい文章についてですが、
さっそくDVDを借りて確認してみました。
◆ 『天空の城ラピュタ』のセリフ
レンタルのDVDで、
再生時間1:53:00にそれらしいセリフが出て来ます。
シータのセリフを引いておきましょう。
どんなに恐ろしい武器を持っても、
たくさんの可哀想なロボットを操っても、
土から離れては生きられないのよ。
◆ カタログの文章
カタログは仏語と英語の併記で記されています。
《Ceux qui ont oublie leurs attaches
sont condamnes a disparaitre》
Miyazaki
"Those who have forgotten their origins
are doomed to disappear."
Miyazaki
仏語、英語ともに、文章の意味に違いはありません。
英語の文章のほうは特に難しいものではないので、
いちいち解説をつけなくても多分理解してもらえるでしょう。
直訳体で訳すなら、
「自らの起源を忘れてしまった人達は、
消え去る運命である」
という感じになるでしょうか。
仏語の文章の方も、構文から単語まで、
英語の文章に使われている語に相当する仏語の語が
そのまま使われています。
問題になるのは「attaches>attache」でしょうか。
英文では「origins>origin」が使われていますが、
「attache」は、
「留め具、つながり、縁故、愛着、執着、手首、足首」
といった意味の語です。
「origin」(起源)とはニュアンスが少々異なります。
ただ、この文章は
「TERRE NOURRICIERE」(母なる大地)と題された章の
冒頭に掲げられている文章ですので、
「attaches」にしろ「origins」にしろ、
ここは、「大地、土」と意訳しておいて良いように思います。
つまり、『ラピュタ』のシータのセリフを
そのまま仏訳、英訳した文章として読めるわけです。
もしかしたら宮崎駿が他のところで同じような発言をしていて、
それを引いて来ているのかもしれませんが、
ここは、シータのセリフをそのまま参照しておきたいと思います。
とりあえずは、以下のように訳しておきます。
「人は、土から離れては生きられないのよ。」