毎回フランスの漫画のことばっかり言ってるから、
たまには気分を変えてアメコミも読もうじゃないか、
っていうのが今回の趣旨です。
◆ ヤフー・ニュース米でストリップ(短篇漫画)を読もう
日本のヤフーにはないサービスですが、
じつはアメリカのヤフーの「ヤフー・ニュース」というサービスでは、
毎日短篇の漫画が連載されています。
日本でも新聞や雑誌に短篇漫画が連載されていますが、
アメリカではこういう漫画のことを、
とくに「ストリップ」(Strip, comic strip)と呼んでいるようです。
日本で近いものを探すなら
「四コマ漫画」ということになるでしょうか。
● ヤフー・ニュース米内「News Home>Comics」
ページ上のほうの「COMIC HIGHLIGHT」(おすすめ作品)欄に、
ストリップの画像が表示されています。
ここに選ばれる作品は毎回ランダムに変わるようです。
その下の左側の「COMICS」(作品一覧)のなかに
リストアップされているテキストが、
作品の名前の一覧です。
これだけたくさんの作品が毎日更新されているわけです。
◆ 『ガーフィールド』を読もう
今日はこの中から、
『Garfield』(ガーフィールド)という作品を見てみたいと思います。
該当するテキストをクリックしてください。
(作品名はアルファベット順にならんでいます。
「Garfield」は「COMICS」の欄の左列の下の方にあります。
「EDITORIAL CARTOONS」は「風刺漫画」のことです)
「Garfield」(ガーフィールド)というのは、
主人公の猫の名前です。
ちょっと生意気なヤツで、
さながら日本の『クレヨンしんちゃん』のような作品です。
この中ではおそらくもっとも有名な作品でしょう。
つい最近映画にもなりました。
作品の画像の右下、
「View Comic by Date」(過去の作品を見る)
とあるところのプルダウンメニューのなかから
バックナンバーを選択することが出来ます。
◆ 『ガーフィールド』の試訳
さすがに毎日訳文を用意することは出来ませんが、
こころみに四日分だけ訳を付けてみました。
訳文には、コマ数を[ ]でくくってインデックスを付けてあります。
日本の「漫画」とはちがって、
左上から右下の方へ向って読むようになっているので
注意してください。
ちょうど「Z」の字の形でコマを追って行く要領です。
画像をクリックすると、別窓で拡大されます。
◆ 「Mon May 9」(5月9日、月曜日)の『ガーフィールド』
[1]
WOMEN...
みんな、ガールフレンドと……。
[3]
ぼくのガールフレンドは……
MOST LIKELY IN HIDING
隠れてんじゃねーの?
《注記》
以下、画像ファイルがちょっと重いので、
記事を二つに分けてあります。
つづきを読むばあいは、
↓の「もっとガーフィールド!」をクリックしてください。
◆ 「Sun May 8」(5月8日、日曜日)の『ガーフィールド』
[0]
GARFIELD
ガーフィールド
[2]
CLICK
ポチッ
[3]
I LOVE THIS SHOW
このドラマ、
いま来てんだぜ。
[4]
IT ALWAYS HAS A HAPPY ENDING
最後まで眼が離せねーのよ、
これが。
[6]
DING
チンッ
SEE?
見たぁ?
[7]
COOKIES ARE DONE!
クッキー焼けたぜ!
◆ 「Sat May 7」(5月7日、土曜日)の『ガーフィールド』
[1]
INJURIES ARE SOMETHING WE ATHLETES HAVE TO LIVE WITH
ま、アスリートに怪我は付きモンだから。
[3]
GOT A PAPER CUT PLAYING CHESS BY MAIL
チェスで突き指って、どうよ?
◆ 「Fri May 6」(5月6日、金曜日)の『ガーフィールド』
[1]
I ASKED THAT CUTE LIBRARIAN OUT AGAIN TODAY
図書館で会ったあの娘にさ、
今日思い切って、話し掛けて見たんだ。
[2]
AND?
で?
[3]
SHE TOLD ME TO BE QUIET AND FINED ME
「シィーッ、お静かに!
あと、罰金ですよ」
だってさ。カウンター越しに。
I'M SURE IT WAS LONG OVERDUE
あんだけ延滞してればな……。
《訳注》
本当はあんまりこういうことに訳注は挟まずに、
単体で読んでもらうだけで分かってもらえるような訳文を
作らなきゃいけないとは思うのですが、
一応、気を付けるべき点をメモしておきます。
一つ目の作品は、
世の中には女の子がいっぱい居るのに、
自分のガールフレンドになってくれる娘は一人もいない、
ということで、特に問題はないんじゃないかと思います。
二つ目の作品は、
テレビだと思っていたものが
じつはクッキーを焼いているオーブンだった、
というのがオチなわけですが、
セリフの上では「SHOW」という語が
一種のヒネリになっています。
テレビだと思っている読者にとっては
「テレビ番組」という意味を持つ語として、
オーブンだと分かっているガーフィールドにとっては
比喩的な意味での「見せ物」という意味を持つ語として、
二重の意味を持つ語になっているわけです。
僕は上手い訳し方が思い付かなかったので、
「ドラマ」としておきました。
三つ目の作品は
「GOT A PAPER CUT PLAYING CHESS BY MAIL」
というのが難しくて、
直訳すると、
「手紙でチェスをやっていて、その手紙の紙で指を切った」
という程の意味になります。
「手紙でチェスをする」(PLAY CHESS BY MAIL)というのは
日本ではまったく馴染みがないと思いますが、
どうやら、
手紙で一手ずつ指し手をやり取りしてチェスをする、
という、おそろしく手間のかかるチェスのやり方があるようです。
● 「Mercury Games Play-By-Mail」内「What is PBM ?」
相手と距離が離れていてもチェスが出来る、
ということなのでしょう。
今ならさながらオンライン・ゲームでしょうか。
飼い主の男の子が「アスリート」と気取っているところに、
ガーフィールドが水を指しているわけです。
さすがにこれを短いセリフとして訳すのは不可能なので、
思い切って意訳しておきました。
四つ目の作品の「LIBRARIAN」というのは、
「図書館の司書」のことです。
「CUTE」(かわいい)が付いているので女の人だと分かります。
作品のオチとしては、
「話し掛けてみた」(ASKED OUT)というのは、
デートにさそったわけじゃなくて、
単に延滞していた本を返しに行っただけ、
ということなのでしょう。
最初に「司書」と訳してしまうとオチがバレちゃいそうなので、
あえて意訳しておきました。
ストリップでは、
「SHOW」(テレビ番組/見せ物)や
「ASK OUT」(デートに誘う/話し掛ける)
と言うような、
ダブルミーニングによるヒネリが多用されているように思います。
最初はちょっと戸惑ってしまうのですが、
ストリップに出て来る英語自体は基本的には簡単なものばかりなので、
このダブルミーニングの理解の仕方さえコツをつかめば、
毎日ストリップを楽しめるんじゃないかと思います。
● 「英辞郎」
オンラインの英和・和英辞書でもっとも充実したものです。