「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
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目次:メビウス、『メトロポリス』を語る]
◆ ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』
フランスの画家ドラクロワ(DELACROIX)が19世紀に発表した絵画
『民衆を導く自由の女神』(La Liberté guidant le Peuple)のことです。
● ウィキペディア日内「ウジェーヌ・ドラクロワ」
● 同上内「民衆を導く自由の女神」
● 同上内「画像:Delacroix Liberty Leading the People 1830.jpg」(作品の大サイズの画像を見ることが出来ます)
画面の中央でフランス国旗を掲げている女性が
フランスという国を象徴するイメージとして受け容れられていて、
フランス人なら誰でも知っている作品です。
● ウィキペディア日内「マリアンヌ」
七月革命という実際に起こった革命を題材にしていて、
フランスの市民革命の精神を象徴する作品と考えられています。
● ウィキペディア日内「フランス7月革命」
この作品が登場するのは以下の場面です。
[35:21]
左側の壁に書かれている文字は、
「FREEDOM PHLANTHROPY EQUALITY」(自由・博愛・平等)が
見切れたものでしょう。
フランス国旗が象徴する理念です。
(『メトロポリス』作中の女神は旗は持っていませんが)
● ウィキペディア日内「フランスの国旗」
七月革命(1830年)に先立つフランス革命(1789~1794年)で制定されました。
まさしく「一瞬」(un moment)しか映らないので、
メビウスがかなり注意深く『メトロポリス』を観ていることが伺えます。
なお、
『メトロポリス』作中の絵では見切れていますが、
『民衆を導く自由の女神』の女神の右側で銃を振り上げている少年は、
『レ・ミゼラブル』のガヴローシュを描いたものとして非常に有名です。
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訳注『メトロポリス』:アトラスとユゴーのガヴローシュ]
アトラスがガヴローシュを暗示する場面も、
じつはこの絵画から採られているわけです。
(ウィキペディア仏のガヴローシュの画像もこの絵から切り取られたものです)
● グーグル日での「Gavroche」のイメージ検索の結果
● グーグル仏での「Gavroche」のイメージ検索の結果
ただし、七月革命は1930年、
ガヴローシュが参加したのは1932年のパリでの共和派の蜂起です。
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