「メビウス、『メトロポリス』を語る」の訳注です。
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目次:メビウス、『メトロポリス』を語る]
◆ チェ・ゲバラ
チェ・ゲバラ(Che Guevara)は南米の有名な革命家です。
● ウィキペディア日内「チェ・ゲバラ」
作中では革命団の本部の場面で登場するのですが、
ゲバラは共産主義
(労働者が資本家を倒して平等な社会を作ろうとする考え方)に
傾倒していた革命家なので、
同様の革命を目指す革命団の団員にも
信奉されているということなのでしょう。
「少佐の階級章(一つ星)をつけたベレー帽は
後年チェのシンボルマークとなる。」
とあるところも注意しておいて下さい。
1960年に撮られたポートレイトが有名で、
ポップカルチャーの重要なモチーフになっています。
● ウィキペディア日内「画像:Cheicon.jpg」
作中に登場する
「チェ・ゲバラのイメージ」(l’image du Che Guevara)も
このポートレイトを指しているようです。
僕が見たかぎりでは9例登場しています。
(場面が変わっても同じ対象を映している場合は合わせて1例)
(1)
[47:15]
微妙な例ですが、ゲバラの写真だと思います。
(2)
[47:58~48:50]
ゲバラの写真の上に英文が書かれていますが、
残念ながらこの英文の出典を確認するには至りませんでした。
英文はおそらく以下のようになっていると思います。
THE LAW OF REVOLUTION
SICKNESS IS THE MIRROR OF
HEALTH
DISCRETION IS FOR THE
PROLETARIAT
FRETUDKE[この一語不明] IS FOR THE
BOURGEOISIE
革命の原則
病(やまい)は身体の兆候なり
プロレタリアートは思慮深くあれ
ブルジョワジーは[不明]たり
ゲバラの主著『ゲリラ戦争』と『ゲバラ日記』を見てみましたが、
参考になりそうな箇所は見つけられませんでした。
● アマゾン日内『ゲリラ戦争―武装闘争の戦術』のページ
● 同上内『ゲバラ日記』のページ
(3)
[50:02]
写真の下の星のマークは、
ゲバラのシンボルマークの少佐の階級章でしょう。
(4)~(8)
ティマが革命団の一室で字の練習をする場面にも
5枚のゲバラの写真が登場しますが、
非常にややこしい例なので、
この部屋の見取り図を描いてみました。
図の左側の壁の構造が少しややこしいのですが、
(角のところが下から上にかけてせり上げてくる構造になっている。
階段を下から見上げた構造に似ている)
部屋を上から見下ろすと以下の図のようになっていると思います。
見取り図内のローマ数字のI~Vが、
それぞれ通し番号の(4)~(8)に対応します。
[50:37~52:08]
各スクリーンショットは小さくなってしまいましたが、
実際に映像を観ながら確認して見てください。
(9)
[59:09]
また、アトラスは右足に星のマークを付けていますが、
これはゲバラのシンボルマークの一つ星(五角)ではなく、
六角のダビデの星です。
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