[
1-1/
1-2/
2-1/
2-2/
3-1/
3-2/
4/
5]
[10>0]
LE BAL DE L'INCAL
アンカルのダンス
[10>1]
"AU CREDIT SEXUEL DE LA REGION PARISIENNE"
TOUT A FAIT LE GENRE "ETABLISSEMENT RESPECTABLE"
QU'IL ME FAUT...
「セクシャル・クレジット・カード、パリ地区のやつで払うよ」、
住人全員が管理されている仕組み、
彼が提示を求めてるのは、そいつのカードさ。
ENTREZ "MONSIEUR" LE CREDIT SEXUEL EST A VOTRE SERVICE
ようこそムッシュー、セクシャル・クレジット・カードをご提示いただけますか?
[10>2]
JOHN B12
DIFOOL
21760037
CREDIT
CART
ジョン B12
ディフール
21760037
クレジット・カード
[10>3]
CRRZZZ
カタカタカタ
[10>4]
JE VAIS CARREMENT ME PAYER LE MODELE DE LUXE!
MERDE, J'EN AI BAVE...
JE MERITE BIEN CA!
今日は思い切って豪勢に行ってやる。
ちくしょう、たまんねぇ……。
ようし、これだ!
[10>5]
PLUS TARD
それからしばらくして……
MMH... UNE BOUTEILLE DE OUISKI, UNE BOITE DE SPV*,
UN CIGARE ET UN BAIN CHAUD... QUE DEMANDER DE PLUS?
ふぅ~、ウイスキーとSPV*、
葉巻と熱い風呂……、もう他には何にも要らねーな。
*「OUISKI」というのは「ウイスキー」のことだと思うのですが、
フランス語でウイスキーは「WHISKY」とつづります。
● My Tailor Irish > "whisker(prononcez "ouiski",...
● BabyCenter > "Ouiski Bayou(pronounced Whisky),... (google cache)
上記のページの記述から判断するに、
「OUISKI」は「WHISKY」の発音をそのまま写した語だと思われます。
おそらく俗語的なニュアンスを出すために、
わざとこのように綴ってあるのはないでしょうか。
*HALLUCINOGENE LEGER DE CONSOMMATION DOURANTE
*日常的に用いられている軽度の幻覚剤の名。
[10>6]
GOUZZI
CHERI...
イラ、イラッシャイマセ。
*「GOUZZI>GOUZI」というのは、オノマトペで、
「ゴシゴシ」と何かをこする音のようです。
また、「グーグー」と寝息をたてる音も表すようです。
● gouzi(http://michelcambon.free.fr/hahaha/bd/...)
● Megalol>PHOTOS>ANIMALES>Gouzi Gouzi!
● ben qui c ceux la????>les potos>gouzi gouzi
この娼婦はロボットなので、おそらく
ロボットがしゃべる際に出るノイズのようなものを表現しているのだと
思います。
YAOOU! VOILA CE QUI MANQUAIT
イェーイ! お待ちかねだぜ。
[10>7]
MAIS CE JOUR-LA, LE GAZOUILLIS DE L'HOMEOPUTE EST IMPUISSANT A
DISTRAIRE TOTALEMENT JOHN DES PENSEES QUI
ROULENT DANS SA TETE...
しかしその日、ロボット売春婦の甘いささやきはジョンの耳にはまったく入らず、
いろいろな考えが彼の頭のなかを駆け巡って、
まったく気晴らしにはならないのであった。
*「HOMEOPUTE」は、「HOMEO(類似)」と
「PUTE(売春婦)」の合成語でしょう。
DAMNATION!
くそっ!
[10>8]
...DES IMAGES QUI DEFILENT...
TOUT CE QU'IL A CACHE AU POLICIER MECANIQUE
……いろいろなイメージが浮んでは消えていった。
全部、ロボット警官には言わないでおいたことだ。
MERDE! QUELLE HISTOIRE!
くそっ! 何だったんだ、あれは?!
QU'EST CE QUE C'EST QUE CETTE BETE LA?
何だこの怪獣は?
EPINGEE COME UN PAPILLON!
こりゃあまるで、ピンで留められた蝶々の標本だな。
VDAM
バタン
[11>1]
OUSTA!
オラッ!
BORDEL!
J'AURAIS JAMAIS CRU QUE LES CONDUITS D'AERATION DE
CETTE PUTAIN DE VILLE SOIENT SI PEUPLES!
で、次はこれだよ。
このクソみたいな街の通風管に人が住んでるなんて、
思いも付かなかったぜ。
...ET JE RARIE QUE VOILA LES GARS QUI LUI ONT GENTIMENT PLONGE
L'EPINGLE DANS LE DOS
ああ、つまり、あの可愛い坊やたちが、
ご丁寧にもここに潜り込んで、こいつの背中にピンを刺した、
ってことなのか。
[11>2]
OUSTAAAAA
オラオラァァァァァ!
CHACUNE DE CES CHARMANTES BESTIOLES DEVAIT
PESER DANS LES HUIT CENTS LIVRES...
その可愛い怪物ちゃんどもときたら、
一匹あたり400キロはありそうなデカブツばかりだ……。
[11>3]
ZTOMPPP!!
ズドンッッッ!!
PAS LA PEINE DE GUEULER COMME CA!
まあ、そうガナリたてんなよ!
HEUREUSEMENT, J'AVAIS DE QUOI LES CALMER...
JE REGLAI MON VIPER-POLICE SUR
LA POSITION "BALAYAGE PARALYSANT SPECIAL ANTI-EMEUTE"!
MEME PAS LA PEINE DE VISER...
ついてたのは、そいつらを黙らせる道具を持ってたってことだ。
俺は、自分のヴァイパー・ポリスガンの出力を
「対暴動掃射用スペシャル・スタン・モード」に調整した。
これだといちいち狙いを定める必要がないからな。
*「VIPER-POLICE」というのは英語で、直訳すると「毒ヘビ警官」です。
たぶん「VIPER-POLICE」で、「無軌道な警官、アウトローな警官」
というようなニュアンスがあるのではないかと思います。
ここでは、ディフールがぶっぱなしている銃(のようなもの)
の名前と見て間違いないでしょう。
[11>4]
JAMAIS VU CE GENRE D'HORREURS AUPARAVANT!
PEUT-ETRE UNE NOUVELLE RACE DE MUTANTS...
こんなおぞましい奴ら見たことないぜ。
新種のミュータントか何かか?
ILS EN AURAIENT POUR UNE PETITE HEURE ET
SE REVEILLERAIENT AVEC UNE BONNE GUEULE DE BOIS...
小一時間もすれば意識を取り戻すはずだ。
しばらくは足腰立たないだろうがな。
OU ALORS UNE VARIETE NON REPERTORIEE D'EXTRA-TERRESTRES?
...QUELLE EPOQUE!
それか、何かの変種か? 新発見の地球外生物とか?
えらい時代になったもんだぜ。
EEEK! EEEK!
ウゥゥゥ~、ウグゥゥゥ~。
[11>5]
LA SURPRISE, C'EST QUAND J'AI CONSTATE QUE
MON EPINGLE VIVAIT TOUJOURS...
MEME QU'IL PARLAIT "CITIZEN" COMME VOUS ET MOI
驚いたことに、標本ピンのやつはまだ生きていやがった。
そのうえさらに、俺やあんたらと同じように
「市民語」を話し始めやがったんだ。
AVEC UNE PETITE TRACE D'ACCENT BAS-NIVEAU...
地下階なまりがあったな。
[12>1]
JOHN DIFOOL EEK... ECOUTE!
ATTENDS! J'AI QUELQUE CHOSE POUR TOI!
ジョン・ディフール、ウググ……、聞いてくれ!
たのむ! あんたに渡したい物があるんだ!
?
?
AH OUAIS! HEU... ET... MAIS... DIS DONC!
COMMENT TU CONNAIS MON NOM?
えっ? えーと……、その……、でも……、何なんだよ、まったく!
なんでお前が俺の名前を知ってるんだよ!
[12>2]
PRENDS CA! J...JOHN DIFOOL! C'EST IMPORTANT
これを! ジョ、ジョン・ディフール! 大切な物なんだ。
ALORS, CETTE... CETTE... CHOSE CONNAIT MON NOM...
CA.. CA C'EST LA MEILLEURE!
何? これ? これって……、これに、俺の名前でも書いてあるのか?
これは……、こ、こりゃあすごい。
VITE!
はやく!
[12>3]
GARDE-LE! PRECIEUSEMENT!
DE CET OBJET DEPEND NON SEULEMENT LE SORT DE CETTE PLANETE,
MAIS CELUI DE CET UNIVERS!
これを守ってくれ! 大切なものなんだ!
この物体にこの星の命運が掛かっている、
いや、宇宙全体の命運が掛かっているんだ!
DE CET UNIVERS!?
宇宙全体の!?
LE MUTANT N'ALLAIT PAS FORT...
IL... IL "FONDAIT" MAIS JE COMMENCAIS A EN AVOIR MA CLAQUE ET
FIS CELUI QUI N'AVAIT RIEN VU...
ミュータントの言っていたことは誇張なんかではなかった。
ヤツは確かに本当のことを言っていた。
しかし、そのとき俺はいい加減ヤツの話にうんざりし始めていて、
ほとんど耳を貸しちゃあいなかったんだな。
C'ETAIT UNE PETITE BOITE SANS RIEN DE PARTICULIER...
A PART CETTE CURIEUSE SENSATION...
それは、なんとなく変な雰囲気を持ってはいたものの、
どこといって特徴のない、ありふれた一つの小さな箱でしかなかった。
[12>4]
QU'EST-CE QU'IL Y A DANS CETTE FOUTUE BOITE?
このぼろい箱のなかに何か入ってでもいるのか?
L'INC... L'INCAL! ARGGH..
アンク……、アンカルだ! ウググゥゥ……。
*「INCALCULABLE」(数え切れない、はかり知れない)
という語があるのですが、
この「INCAL」という名前は、そういった語との連想から、
「何か得体の知れないもの、はかり知れないもの」
というようなニュアンスを持ちうる語なのではないかと思います。
L'INCAL!? QU'EST-CE QUE C'EST QUE CET ENGIN, ENCORE?
アンカル? だからさ、それって何なんだよ?
LA! ON DIRAIT QUE CA SOUVRE
なんか凄そうなシロモノだな。
*「souvre」という語がよく分かりません。
前後の文脈から推測して訳文を作ってあります。
[12>5]
?
?
[12>6-7]
セリフなし
[13>1]
JAMAIS JE NE M'ETAIS SENTI SI MAL DANS TOUTE MA PUTAIN DE VIE!
CETTE LUEUR M'AVAIT TRANSPERCE LE CRANE DE PART EN PART!
ET C'ETAIT PAS TOUT!
PENDANT CE TAMPS LA,
L'EPINGLE S'ETAIT MIS A SE DECOMPOSER A TOUT ALLURE!
気分が悪くなるとか、そういうことはほとんど無かったんだが、
まるでその光に、俺の頭のなかを刺し貫かれるようだった。
しかも問題はそれだけじゃあなかった。
俺がそうしている間に、
標本ピンのヤツが見る見るうちに腐って行ってやがったんだ。
TU N'ES PAS DROLE GOUZI GOUZI...
TU N'ARRETES PAS DE PENSER A AUTRE CHOSE!
モウ、困ッチャウワ。
ズ~ットウワノ空ジャナイ。
JE PENSE A CE QU'IL Y AVAIT A L'INTERIEUR DU CORS DE LA BETE
で、その怪物の死体の中から出てきたもの、ってのが問題なんだよな。
*「CORS」というのは「COR」の複数形で、
「角笛、らっぱ、ホルン、鹿の角の枝」
もしくは「うおのめ、たこ」というような意味の語です。
つまり、上の文を直訳すると、
「俺はあの怪物のラッパのなかにあったものについて考え事をしていた。」
というような意味になります。
これでは全く意味が通りません。
「CORS」というのは「CORPS(死体)」の誤りだと思います。
[13>2]
...ET QUAND JE REVINS A "MOI"
……で、俺が正気に戻って見ると……
UN CORPS FACTICE, MEERDE!
うわっ、何なんだ、この死体のありさまは?
?!
?!
[13>3]
ET... A L'INTERIEUR DE CE CORPS FACTICE EN DECOMPOSITION...
で、すっかり腐っちまったその奇妙な死体のなかに……
UN BERG!
バーグ族じゃないか!
[13>4]
C'ETAIT LE BOUQUET!
J'AVAIS MIS LE DOIGT DANS UN ENGRENAGE A
EMMERDEMENTS D'UNE TAILLE REELLEMENT COSMIQUE...
まったく何てことだ!
その時俺は、本当に宇宙規模の厄介ごとに巻き込まれちまっていたんだ。
ENFIN, APRES DEUX BONNES HWURES DE CAVALDACE
たっぷり二時間は走り回った後に……。
HAAAA! UNE SORTIE
ふぅ~~、出口だ。
[13>5]
CA FAISAIT DES ANNEES QUE LES SONDES SPATIALES
NOUS REBATTAIENT LES OREILLES AVEC
UN SOIDISANT EMPIRE BERG QUI PARAIT-IL,
DEBOULAIT DE LA CONSTELLATION DU CYGNE DANS L'INTENTION DE
NOUS RAYER DE LA CARTE DU CIEL!
CE QUE JE VENAIS DE VOIR ETAIT PLUS CONVAINCANT QUE
LES VAGUES CLICHES PRIS JUSQU'A PRESENT PAR SATELLITE!
俺たち人類の宇宙観測船が、
いわゆる「バーグ」帝国の存在を最初に確認してからもう何年も経つ。
ヤツらは白鳥座から、
人類を宇宙空間から抹殺するために襲来して来たのだ。
俺がたったいま見聞きしたことは、
いままで星団中で囁(ささや)かれて来たどんな噂よりも、
事の核心に迫っているはずだ。
AINSI, CES FOUTUS BERGS EXISTENT VRAIMENT!
C'ETAIT DONC PAS UN BOBARD DE LA PROPAGANDE
まさか本当にバーグ族のやつらが居やがったとはな。
あの話は嘘じゃなかったんだ。
[14>1]
MAIS SI... C'ETAIT TRES BIEN, CHERIE!
TRES CHOUETTE!
アラッ、ドウシタノ? トッテモ良カッタワヨ、ネエッテバ!
トッテモ素敵ヨ。
GOUZI GOU!
ネエ、ネエッテバ!
[14>2]
LE TRAJET JOSQU'A MON CONAPT FUT SANS HISTOIRE!
自分のコナプト(アパートメント)に着くまでは、
とくに何の問題もなかった。
*「CONAPT」はアパートメントの一種です。
くわしくは
[
『The Long Tomorrow』和訳>〔1/5>3>4〕の注]
を参照してください。
SALUT DEEPO!
C'EST BON D'ETRE CHEZ SOI, A L'ABRI! EN SECURITE!
よう、ディーポ!
自分の家まで来りゃあもう大丈夫だろう。安心しろ、もう安全なはずさ。
A L'ABRI... EN SECURITE...
C'EST CE QUE J'AI CRU PENDANT UNE BONNNE DOUZAINE DE SECONDES
安心しろ……、安全なはず……、
そう思ったのも束の間……
[14>3]
SDOOM SDOOM OUVRE!
ドンッ! ドンッ! 開けろ!
QUE FAIRE DE CE TRUC!?
COMMENT EN TIRER UN PAQUET DE FRIC?!
こいつのせいで一体何が起こってるってんだ?!
大金でも絡んでんのか?
MERDE! QU'EST CE QUE C'EST ENCORE?
くそっ! 今度はいったい何だ?
[14>4]
IL ME FAUT UNE CACHETTE GENIALE DANS LA SECONDE QUI VIENT...
やばいな、どこか上手い隠し場所でもあれば……、
CROOOU!
クルゥゥゥ~!
SDOOM SDOM
ドンッ ドン
[14>5]
ROCHT!
ボコッ!
[14>6]
EVIDEMMENT,
ILS ETAIENT EQUIPES DE GENERATEURS DE CHAMPS DE FORCES
ANTI-ANTI-EMEUTE
JE POUVAIS ROUTRE MON INHIBEUR A LA POUBELLE!
ET JE SAVAIS DEJA CE QU'ILS VENAIENT CHERCHER!
どう見たってそいつらは、
「反・反・暴動」とか言いながら無茶をやらかす類のやつらだった。
俺はそのカス野郎どもに威嚇発射を食らわしてやった。
やつらの目的はもうはっきりしていたしな。
DES TUEURS DE L'AMOK!
AMOKの殺し屋どもだな!
C'EST BIEN LUI! SURTOUT NE TIREZ PAS!
IL DOIT RESTER VIVANT! ET CONSCIENT!
ヤツだ! 銃は使うな!
生け捕りにしろ! 意識も失わせるな!
[
1-1/
1-2/
2-1/
2-2/
3-1/
3-2/
4/
5]