日本の漫画とフランスのBDとの違いと、
メビウスの作品のストーリーの特徴について
参考になりそうな文章を見つけたので、貼り付けておきたいと思います。
この文章によれば、「日常の物語」を描こうとする日本の漫画に対して、
フランスのBDはまず何よりも「絵」を重視する傾向にあるようです。
また、メビウスの作品は
「過去のクリエーションからの出典や引用による表現」が多く出てくるため、
日本の読者がストーリーを楽しむのが難しい側面があるようです。
「ヌーベルまんが宣言」より抜粋。
日本で漫画家を志す者は、何よりもストーリーを語ろうとします。
対照的に、フランスでは絵を描くことが好きで
BD(ベーデー/フランス=ベルギー漫画)作家になる者が大半です。
日本漫画の半数はおそらく、男と女の、
そしてその日常生活をシンプルに描いたものでしょう。[中略]
この「日常」というテーマが、日本漫画には昔から存在し、
BDには長い間なかったものでした。
日本漫画と比べると、BDは絵を重視しています。
BD作家はまず何よりもイラストレーターであり、
ストーリーよりグラフィックにこだわります。
読者自身もそのグラフィックの“価値”が重要だと思っています。
それを“助長”するように、絵が美しく巧みに、
魅惑的に描かれたアルバム(単行本)は、
たとえそれがくだらない、お粗末な話であったとしても、
フランスでは常に買い手がいます。
SFものにしばし見受けられることですが、
メビウスの作品は過去のクリエーションからの出典や引用による表現が
多く出てきます。
本来の意味を理解するには、ある種の教養・ノスタルジーを必要とし、
さらにはBDの文化・“メビウス”的カルチャー・70年代末頃のBDの知識も
持っていなければなりません。
ともかく、それはほとんどの日本人読者にはないものです。
「ヌーベルまんが宣言」は、
東京在住のフランス人漫画家フレデリック・ボワレ氏が提唱する
新しい漫画のスタイル「ヌーベルまんが」についての宣言文です。
「BDのように描かれてはいるが、日本漫画のように読めるもの」としての
「ヌーベルまんが」について語るために、
日本の漫画とフランスのBDについての概括がなされています。
かなり読み応えあり。
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フレデリックボワレの公式サイト